学習院大学

海外研修(留学)経験が、
その先の学びやキャリア選択に大きく影響する

伊藤
若いうちから異なる環境に飛び込むことは、グローバルな舞台で活躍する上で非常に重要です。そのため本学部では、海外研修(留学)の時期や場所、学校を自分で決め、1カ月以上海外研修(留学)に行くことを必修としています。海外研修(留学)の期間はおおよそ6割が4〜6週間の短期、3割が約半年の中期、1割が約1年の長期です。2人はいつ、どこに、どのくらいの期間、海外研修(留学)に行きましたか。
岡根
私は、アメリカのオレゴン大学に、2年生の後期に半年間行きました。アメリカの中でも都市部ではなく、日本人が少ないところに行こうと思って選択しました。
小栗
世界的にも会計学のレベルが高い場所で学びたいと考え、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学に、3年生の前期に海外研修(留学)に行きました。期間は半年間です。
伊藤
海外研修(留学)中、どんなことを学びましたか。学ぶ姿勢や考え方は変わりましたか。
岡根
前半は大学付属の語学学校で、母国語や文化が異なる人々と共に学び、大きな刺激を受けました。後半は、大学の学部でマネジメントを学びました。学部の授業ですから、当然アメリカ人が多いです。最初は授業のスピードやレベルの高さについていけず、苦労しました。しかし、黙って授業を聞いているだけでは取り残されるばかりです。完璧な英語ではなくても、自分の考えを発信することの大切さを身に染みて感じました。また、アメリカの学生は、「学んだことを将来どう活かすのか」を意識して学んでいます。その姿勢に大きな影響を受けました。
小栗
私は最初から学部の授業に入りました。大人数で講義を聞くだけではなく、10人前後のグループに分かれて議論を深めるクラスもあります。そこでは、発言しなければ成績はもちろんのこと、出席も認められないような厳しい環境でした。だからこそ必死で学び、管理会計や国際会計に関する理解を深めることができたと思います。また、「会計の仕事に就きたい」という将来への想いも一層強くなりました。海外研修(留学)後は、授業で学ぶことが将来の仕事やキャリアにどう繋がるのかを見据えて取り組むようになりました。
伊藤
昔は偏差値の高い大学に入って、いい会社に入ることが最良の道だと言われたこともありました。しかし、そんな画一的な時代はすでに終わり、今は一人ひとりが自分自身のキャリアを考える必要があります。本学部で学び、さらに海外研修(留学)を経験することで、その意識が確かに育っているのですね。海外研修(留学)先の選定を支援する授業もありますので、興味を持った高校生の方は臆せずに国際社会科学部に飛び込んでいただきたいと思います。さて、本学部では3年生から専門的な領域を学びますが、2人は何を専攻していますか。
岡根
組織行動論・人的資源管理のゼミに所属し、3年生ではワークモチベーションをテーマに、日本の学生と海外の学生を比較して、働くモチベーションの違いを研究しました。4年生では、海外研修(留学)経験とキャリアとの関係性をテーマに卒業論文を作成中です。
小栗
私は国際会計のゼミで、3年生の時は製薬会社が国際会計基準を採用したことによる影響を研究しました。4年生ではより実用的な領域で、国際会計における監査とAIなど先進技術の活用について研究を進めています。この4年間で、基礎的な英語から実社会で使える英語へと、語学力は随分鍛えられました。それだけではなく、ロジカルシンキングや問題解決力など、ビジネススキルの基本も学ぶ機会があり、社会人になる準備ができたと思います。

「大学の学びは社会で役に立たない」
という意識を覆す活躍を

伊藤
卒業後の未来についても聞かせてください。就職活動はどう進めましたか。
岡根
先入観を捨て、あらゆる業界に視野を広げて、国際的に活躍できるチャンスの多い分野に絞りこんでいきました。最終的には海外駐在が多く、社会的にインパクトの大きな仕事ができると考え、総合商社への入社を決めました。
小栗
日本の企業は総合職採用が多いですが、私は最初から財務・会計領域で職種別採用をしている企業で絞りました。そこで、ある企業の財務部門のサマーインターンに参加し、自分に合っていると感じたため、そのまま選考に進んで内定をいただきました。
伊藤
就職活動において、新設学部ならではの苦労はありましたか。
岡根
同じ学部の先輩がいないことで、情報収集に苦労しました。だからこそ、自分で動かねばならないと考え、大学の他学部の先輩や、他大学の友人など、自分で繋がりを作っていきました。
伊藤
どんな組織でもそうかもしれませんが、一期生はパイオニア精神があり、頼もしいですね。将来は、どんな社会人になりたいと考えていますか。
小栗
大学4年間で積み重ねた知識や経験をベースに自分の力を発揮して企業に貢献したいです。将来的には英語と会計を武器に、国際的に活躍するプロフェッショナルになることが目標です。
岡根
パッションや夢を持ち続けて、周囲に伝播させることで、社会的に価値ある仕事をしたいです。一期生として後輩からも注目されていると思いますから、ロールモデルになれるよう頑張ります。
伊藤
2人とも企業ブランドや憧れで就職先を決めるのではなく、しっかりと自分に合ったキャリアを意識していることが分かりました。では、最後に後輩へのアドバイスと、企業に対する意見があればぜひ聞かせてください。
岡根
勉強でも海外研修(留学)でも就職活動でも、受け身にならず自分で行動をすることが大切です。また、この学部では入学時にやりたいことが定まっていなくても、様々な学問に触れることで、キャリアのヒントを掴むことができます。ぜひ、様々なことに興味を持って学び、悔いなく過ごして欲しい。それが後輩へのアドバイスです。
企業に対しては、もっと国際社会科学部のことを知ってほしいです。そのためには、私たちが頑張って社会にアピールすることが大事だと思います。
小栗
国際社会科学部では、海外研修(留学)に対するサポート体制、奨学金制度が充実しています。海外研修(留学)で、学び方や考え方が大きく変わりますから、後輩には半年〜1年間の海外研修(留学)に挑戦して欲しいです。
企業には、面接の時にもっと学問について聞いていただきたいです。学生の本分は勉強であり、今の学生はその中で色々なことを吸収していますから、「何を学び、考えているのか」もっと知っていただきたいです。そして、職種別採用の推進もぜひお願いします。
伊藤
これまで、大学での学問は企業で働く際には役に立たないと言われることもありました。しかし、国際社会科学部では、社会がどのような力を求めているかを考え、国際社会で活躍できるような人材の育成を目的とした教育にチャレンジしています。授業や海外研修(留学)経験を通して、学生たちに将来のキャリアに対する考えや社会への問題意識を醸成しているのもその一環です。ぜひ、企業にもそれを知っていただきたいと思います。
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学習院大学国際社会科学部とは

学習院大学国際社会科学部は2016年4月に新設された、同大学で最も新しい学部である。国際的なビジネスコミュニティで活躍できる素養を身につけた即戦力のある人材の育成を目指し、社会科学の5分野「法学・経済学・経営学・地域研究・社会学」を幅広く学ぶカリキュラムを通じて、国際経済・社会が直面する課題を理解し、さらにそれを解決する力を養う。2020年春に第1期生が卒業を迎える。

学習院大学国際社会科学部
Profile
伊藤 元重 氏

伊藤 元重

学習院大学国際社会科学部教授

1974年東京大学経済学部卒業。1979年米ロチェスター大学大学院経済博士号取得。専門は国際経済学。東京大学大学院教授を経て2016年4月より学習院大学国際社会科学部教授。6月より東京大学名誉教授。税制調査会委員、復興推進委員会委員長、経済財政諮問会議議員、社会保障制度改革推進会議委員、公正取引委員会独占禁止懇話会会長などの要職を歴任。

男子学生

小栗 弥一郎

学習院大学 国際社会科学部 一期生
大手通信企業内定

女子学生

岡根 珠緒

学習院大学 国際社会科学部 一期生
総合商社内定

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