2025年度は、360度フィードバックの活用目的に「タレントマネジメント」「人的資本開示データ活用」が拡大し、職場においてはコミュニケーション向上の効果も明らかになりました。
「フィードバックと対話で、すべての人と組織、社会をアップデートする」をミッションに掲げるHRサーベイクラウドサービスの株式会社シーベース(本社所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:深井幹雄)は、360度評価や多面評価、マネジメントレビューなどと呼ばれる"360度フィードバック"の企業での活用状況の実態を把握するための調査を実施し、「データでわかる! 360度フィードバック導入・活用状況」として結果をまとめましたので、お知らせいたします。先行き不透明な時代における企業経営や事業拡大には、従業員と組織の成長が不可欠です。組織の継続的な成長のための施策として、企業規模に依らず導入が当たり前になってきた360度フィードバックの人事部門が感じている活用実態と、施策を受ける従業員の視点での効果を分析しています。
本年は、360度フィードバックの活用目的として「タレントマネジメント」が昨年比で約1.3倍に増加、人事が満足している点でも「タレントマネジメント活用」がトップになるなど、人的資本経営に向けた人事データ活用が活性化している実態が明らかになりました。さらに従業員の視点で見ると、「職場での相互の意思疎通や信頼を高める」施策として360度フィードバックの満足度が向上していることがわかり、さまざまな人事施策の中でも相互コミュニケーションをサポートする有用性が明らかになってきました。
調査結果と分析はこちらからご確認いただけます。https://www.cbase.co.jp/download/10128/
本レポートによる360度フィードバックの導入・活用状況の分析が、多くの企業や組織に役立てていただけることを願っております。
■2025年版 調査結果サマリー
企業の4割強が360度フィードバックを導入しており、例年通り大手企業ほど導入率が高い結果となりました。主な活用目的は「人材開発」「人事評価・目標管理」「人的資本開示」となり、特に「タレントマネジメント」も含めて人的資本開示のためのデータ活用の目的が昨年と比較して1.3倍と拡大しています。また、360度フィードバック導入企業と非導入企業では、抱えている企業課題の違いがあることも明らかになりました。運用面では、「結果フィードバック」「フォローアップ面談」などが上位となりましたが、「アクションプラン策定」や「継続支援」の実施は半数未満にとどまり、企業ごとの対応の差が浮き彫りとなりました。人事の実施における満足度は6割強で増加傾向となり、理由として「タレントマネジメントのデータとして活用」がトップに。「人事評価・目標管理への活用」「仕事に対するモチベーションへの効果」などに満足を感じる声が多いことがわかりました。
また、従業員が施策について良いと感じる点では、「上司/同僚に思いを伝えられる」「周囲からの評価・フィードバックを受けられる」などが昨対比で1.2倍以上に増加し、「職場での相互の意思疎通や信頼を高める」効果がうかがえます。一方、従業員の実施意義の実感は6割弱で、昨年より増加傾向ではあるものの、引き続き運用方法の有無により回答に大きな差が見られました。今後も360度フィードバックの定期的、継続的な実施は拡大が見込まれるものの、行動化・習慣化支援の仕組み強化が課題となっていると言えそうです。
調査結果全体の中では、昨年結果との比較や、導入時の障壁などの結果も公開しています。ぜひダウンロードして参照してください。
※調査結果を引用いただく際には出所として「株式会社シーベース」と明記をお願いいたします
■分析コメント
「360度フィードバックは”価値ある人事データ”としての活用が広がりを見せ、現場ではコミュニケーション活性化の起爆剤としても存在感を高めている」(シーベース代表取締役社長 深井幹雄)
人的資本開示元年と言われた2023年から二年経ち、本年の調査結果では「タレントマネジメント活用」「人的資本開示」を360度フィードバックの目的や満足度に挙げ、人事データとして活用する人事の割合が拡大したことが大きなトピックと言えます。人的資本経営への関心が高まるなかで、360度フィードバックは“価値ある人事データ”としての重要性を一層増しています。また、運用方法を工夫することで実施意義が大きく増加する傾向は昨年同様となりました。
一方で、職場には依然としてマネジメント層の負荷増大や生産性低下など多くの課題が残り、現代の多様な働き方の中ではコミュニケーション不足や一体感低下などの新たな課題も次々と生まれています。近年は、360度フィードバックが人材育成や評価制度の枠を超え、上司・部下・同僚間の対話を促す“コミュニケーションツール”としても機能し始めています。これらの課題を感じている企業にとっても、導入の意義はますます大きくなっていくといえるでしょう。
不透明で変化の激しい時代においてこそ、人と組織が互いに理解し合い、成長し続けるための“土台づくり”として、360度フィードバックを積極的に活用していただきたいと考えています。
対話によるフィードバック文化を定着させ、さらに多くの組織が成長を続けるための取り組みの推進に、本調査結果をぜひ活用いただきたいです。
■調査概要
・調査手法:インターネットリサーチ
・都道府県:全国
・実施期間:2025年8月
◆スクリーニング調査対象者
・全国、男女20歳以上
・企業の社員・経営者(人事調査のみ請負社員も対象)
◆調査対象者・サンプル数
①社員調査1,000:360度評価(多面評価)を会社が導入、回答者or対象者
②人事調査300:経営/人事業務関与 & 組織開発/人材開発/人事評価業務関与 & サービス導入等に関与
