『丸亀製麺』のトリドールHD、飲食業界の省人化に逆行する「心的資本経営」を始動。 “人の力”を最大化する経営改革とは

株式会社トリドールホールディングス(以下、トリドールHD)は2025年9月17日、人的資本経営をさらに深化させた独自の経営手法として、人の“心”を起点とする「心的資本経営」を、2025年9月より始動すると発表した。同社は本取り組みを将来に向けて持続的な成長につながるものとして、心的資本経営に基づき、従業員の内発的動機を高め、唯一無二の感動創造に挑戦していく構えだ。

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セルフレジ、AI注文…飲食業界の時流に逆らい「人の力」に焦点を当てる経営

労働人口の減少や人材獲得競争の激化を背景に、外食業界では省人化・自動化の波が急速に押し寄せている。セルフレジやAI注文、調理ロボットなどの導入が進み、「人を介さない仕組み化」が標準になりつつある。

しかし丸亀製麺を展開するトリドールHDは、こうした流れとは一線を画し、あえて「人の力」に焦点を当てる独自の経営思想「心的資本経営」を2025年9月より始動した。従業員の幸福と顧客の感動を経営資源として位置づけ、双方の好循環を創出する試みであるという。


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背景は効率化一辺倒の外食産業と「人材課題」

近年、外食産業では人材不足が構造的課題となっている。厚生労働省のデータによれば、飲食業界の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り、慢性的な人手不足が常態化しているようだ。こうした状況を受け、多くの企業は「省人化」や「自動化」に投資を進めている。

一方で、トリドールHDは「外食の原点は人が人に提供する体験にある」との考えを重視。特に丸亀製麺では、打ち立てのうどんを目の前で提供するライブ感や温もりある接客を長年大切にしてきたという。同社は、これこそが競争優位の源泉であり、効率化では代替できない価値だと捉えている。

同社が掲げる「心的資本経営」とは、従業員の“心の幸せ”と顧客の“心の感動”を資本とみなし、事業成長の基盤に据える経営思想である。社内での実践がすでに成果を見せ始めており、従業員の離職率は前年比12.9%低下、顧客からの好意的な声は24.5%増加したという。定量的な効果が見え始めたことは、この考え方の有効性を裏付けている。

実践モデル「ハピカン繁盛サイクル」と具体的な施策

同社は「ハピネス(幸福)」と「カンドウ(感動)」を組み合わせた「ハピカン経営」を定義。その具体的な実践モデルとして下記のとおり「ハピカン繁盛サイクル」を設計している。

1.顧客の感動体験が支持を生み、店舗の繁盛につながる
2.成果を従業員へ還元し、幸福感を高める
3.幸福度の高い従業員が、さらに質の高い感動体験を創出する


この循環を企業活動に落とし込み、持続的な成長を実現する狙いだ。
ハピカン繁盛サイクル
また、同社は心的資本経営を体現するため、下記の施策をスタートさせている。

●「ハピカンオフィサー」制度
従来の店長制度を刷新し、単なる店舗管理ではなく「感動創出」を担う役割に再定義。年収上限2,000万円という報酬制度を導入し、挑戦と成果を正当に評価する仕組みとした。2025年11月から丸亀製麺で「ハピカンキャプテン」として導入予定。

●「家族食堂制度」
従業員の子ども(15歳以下)に、グループ店舗で無償で食事を提供。仕事と家庭を両立する従業員を支援し、家族ぐるみで幸福を共有できる仕組みを整えた。

●「ハピネススコア」導入
音声対話型AIを活用し、従業員の幸福度を数値化。顧客の「感動スコア」との関係性を分析し、心の状態が業績にどう影響するかを可視化する。
「心的資本経営」は、従業員のエンゲージメント強化や定着率改善に直結するだけでなく、顧客体験価値の向上と事業成果に結びつける点に特徴がある。効率化や省人化が進む時代において、「人の心」こそが差別化要因であるという同社の姿勢は、人的資本経営の次のステージを示唆している。トリドールHDの試みは「人を介さない経営」が広がる時代に、逆に「人を介する価値」を武器にする挑戦といえる。今後、同様の発想が他業界へ広がる可能性も大いにあるだろう。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000230.000028440.html

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