
株式会社リクルートマネジメントソリューションズは、2025年6月23日に「新入社員意識調査2025」の結果を発表した。今回発表したのは、同社が提供する新入社員研修を受講した25卒(Z世代)社員を対象に実施した、2つの意識調査を分析した結果である。回答者数は、「公開型新入社員導入研修:8つの基本行動」の受講者718名と「インハウス型新入社員導入研修:F-BT」の受講者2,795名となる。本調査結果から、組織がZ世代の個性や価値観を受け止め、心理的安全性の高い職場環境を構築することの重要性が浮き彫りとなった。
働く上で重要視すること:「組織風土の理解」は最下位に
時代の変化とともに、各社で従来の考え方や育成方針の限界が顕在化してきている。この傾向は、新入社員採用や受け入れにおいても同様で、時代に合わせた人材マネジメントが求められている。本調査では、まず「Z世代が働くうえで最も大切にしたいこと」を聞いている。最も多かったのは「社会人としてのルール・マナーの習得」(53.6%)で、この結果は2010年以降の同社調査において過去最高値だったという。一方、「会社の文化・風土を尊重すること」(2.6%)や「会社の理念や価値観に沿った行動」(0.5%)は最下位となり、従来型の組織順応志向が薄れている実態が明らかになった。

次に、「仕事において重視すること」を尋ねると、「成長」(35.1%)と「貢献」(23.8%)が上位を占め、「競争」(3%)は最下位となった。

Z世代が求める職場観―『助け合い』『やりがい』『共感』
「就職先を選ぶうえで重視していたものは何か?」を尋ねた結果の上位は、1位が「職場の人間関係が良い」(39.4%)、3位が「自分らしく働ける」(35.8%)だった。個の尊重や協働性を重視する傾向が強いことがうかがえる結果だ。
さらに、「どのような特徴を持つ職場で働きたいか?」と質問した結果では、1位が「お互いに助けあう」(69.4%)で、他と比べて圧倒的多数を占めていた。また、「アットホーム」は32.5%と中位の結果だったが、同社によると、2010年の調査以来最低だったという。

自らの強みや個性を活かすためにも「心理的安全性」を重視する傾向
ここまでの結果について、同社が【理想の職場】と【理想の上司】という軸で過去10年間の結果を比較したところ、25卒新入社員の結果は「個性を尊重しながら助けあう職場」や「よいことをほめながら丁寧に指導する上司」を理想として挙げていた。同社によると、上司に対しても「意見や考え方に耳を傾けること」を約半数が期待していたという。このような価値観は、従来のトップダウン型や同調圧力の強い組織文化とは一線を画すもので、心理的安全性が高い職場を求めているといえる。
今回の調査結果について、同社の主任研究員・桑原正義氏は「Z世代の変化を受け止め、その個性や持ち味を生かすことで、組織のアップデートにつなげていくことが重要」と指摘している。そのカギを握るのが「心理的安全性」だろう。心理的安全性が確保されている職場であれば、若手が自らの強みや個性を発揮しやすくなり、失敗や意見の違いを恐れずに挑戦や協働ができる。結果として、イノベーションや生産性の向上、エンゲージメントの強化といった組織全体のパフォーマンス向上につながる。
不確実性が高いVUCAの時代に持続的な組織成長を続けるためには、変化に柔軟に対応できる「学習する組織」であることが求められる。心理的安全性を高める施策や、個と組織の相互成長を促す環境整備において、今回の調査結果を参考にしてみてはいかがだろうか。
不確実性が高いVUCAの時代に持続的な組織成長を続けるためには、変化に柔軟に対応できる「学習する組織」であることが求められる。心理的安全性を高める施策や、個と組織の相互成長を促す環境整備において、今回の調査結果を参考にしてみてはいかがだろうか。
心理的安全性を高める目的(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ資料より転載)
