【男性育休白書2023】男性の育休取得率は5年間で約2.5倍、取得日数は約10倍に。有子家庭やマネジメント層などの意識変化とは

積水ハウス株式会社は2023年9月19日、男性の育休取得実態について調査した結果を、「男性育休白書2023」として発表した。調査期間は2023年6月9日~20日で、パパ・ママ層の9,400名、マネジメント層の400名、一般社員層の800名より回答を得ている。本調査により、5年間の男性の育休取得率や取得日数の推移、パパ・ママ層とマネジメント層、一般社員層の育休取得に対する意識のほか、2023年度「男性の家事・育児力」の全国ランキングなどが明らかとなった。

男性育休取得率・取得日数は5年間でいずれも増加傾向に

積水ハウスは、男性の育児休業取得をよりよい社会づくりのきっかけにしたいと考え、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定し、2019年より企業で働く男性の育休取得実態を探る「男性育休白書」を発行している。5回目となる今回は、これまでの「男性の家事・育児力」全国ランキングに加え、これまでの白書を振り返った男性育休取得の変化をまとめている。

なお、調査対象者の詳細は以下の通りだ。

(1)パパ・ママ層
全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20~50代の男女200名、計9,400名(人口動態に基づきウェイトバック集計)

(2)マネジメント層
従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400名

(3)一般社員層
パート・アルバイトを除く有職者、かつマネジメント層を除く20~50代の男女800名


はじめに同社は、「5年間の男性の育休取得率の変化」として、その推移を示した。すると、2023年の育休取得率は24.4%と、約4人に1人が取得していることがわかった。2019年の育休取得率9.6%から徐々に増加し、5年間で約2.5倍に伸長した。

また、「5年間の男性の育休取得日数の変化」を見ると、2023年は平均23.4日となり、2019年の平均取得日数2.4日から約10倍となった。さらに、2022年の平均8.7日と比較しても約3倍と、大きく伸長していることがわかった。
【男性育休白書2023】男性の育休取得率は5年間で約2.5倍、取得日数は約10倍に。有子家庭やマネジメント層などの意識変化とは

男女ともに「男性の育休取得」に関する意識が向上

次に同社は、パパ層における「自分自身が育休を取得したい」との回答率を比較した。その結果、2023年は69.9%と7割に迫り、2019年の60.5%と比べると約10ポイント上昇していることがわかった。

また、ママ層における「パートナー男性に育休を取得してほしいか」との回答率を比較すると、2019年の49.1%から2023年は64.7%へと、5年間で約15ポイント上昇していることが明らかとなった。男女ともに、男性の育休取得への意欲が向上していることが見て取れる。
【男性育休白書2023】男性の育休取得率は5年間で約2.5倍、取得日数は約10倍に。有子家庭やマネジメント層などの意識変化とは

男性育休への取り組みは確立されつつあり「取得しやすい環境」へと改善か

続いて同社は、働くパパ・ママ層の中で「職場の男性育休の取得に対するルールや仕組みがある」とした回答率を2020年からの4年間で比較した(19年度は非聴取)。すると、2020年の37%から2023年は42.1%と、約5ポイント伸びていることがわかった。

また、育休を取得しなかった働く男性の中で「職場が育休を取得しにくい雰囲気である」とした回答率を比較したところ、2019年の27.5%から2023年は22.2%へと約5ポイント下降していることが明らかとなった。男性の育休取得に向けた環境づくりが、ゆるやかながらも前進していることが示唆された。
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育休取得に不安を感じる男性は5年間で約7ポイント減少

次に同社は、育休取得男性の中で「育休に不安を感じた」とした回答率を比較した。その結果、2019年は77%だったが、2023年は70.2%と約7ポイント減少した。この5年間で、育休取得を不安に感じる男性は少なくなってきていると推測できる。
【男性育休白書2023】男性の育休取得率は5年間で約2.5倍、取得日数は約10倍に。有子家庭やマネジメント層などの意識変化とは

マネジメント層も男性の育休取得に「賛成」「浸透すべき」の声が上昇

さらに、パパ・ママ層とは別に、企業で働くマネジメント層と一般社員層に調査を行った。マネジメント層を対象に行なった調査では、「男性の育休取得に賛成」とした人は、2022年の78.3%から1年で80.3%に増加した。

また、「男性育休の取得はもっと浸透させるべきだ」と考えるマネジメント層も、2022年の71.3%から2023年には76.8%へと増加している。このことから、マネジメント層の意識も、男性社員の育休取得を後押しする方向へと変化しつつあることがわかった。
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一般社員層は育休を取得した職場の男性に対し「応援」、「取得推進につながる」との声

次に同社は、2023年度調査にて、一般社員層を対象に「職場の男性が育休を取得したときの気持ち」を尋ねた。すると、「育児の時間を大切にしてもらいたい」(80.5%)が最も多く、以下、「誰かが取得すれば取得する人は増える」(77.1%)、「育児の応援をしてあげたい」、「自分も有給など休む機会があると思うのでお互い様だ」(いずれも75.8%)と続いた。このことから、育児を応援する声が多いことがわかった。また、「個人の育休取得が会社全体の育休取得の推進につながる」と、個人のみならず企業全体に好影響を与えると考えている人もいるようだ。
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「男性の家事・育児力ランキング」は2年連続で高知県がトップに

最後に同社は、都道府県別の「男性の家事・育児力」を調査した。「男性の家事・育児力」を決める以下4つの指標は積水ハウスが独自に設定しており、これら4指標5項目をそれぞれ数値化して47都道府県別に順位をランキング化し、1位47点~47位:1点を加点した上で算出している。

(1)配偶者の評価
男性が行っている家事・育児の数と、男性が子育てを楽しみ家事や育児に積極的に関与すると思うかどうかの2つを4段階で評価

(2)男性の育休取得経験
育休取得日数を基準に評価

(3)男性の家事・育児時間
男性の自己申告ではなく、女性から見た男性の家事・育児時間を基準に評価

(4)家事・育児参加による幸福感
男性本人に家事・育児に参加して幸せを感じているかどうかを4段階で評価


この評価基準をもとに、都道府県別にトップ20までをランキング化したところ、「男性の家事・育児力」が最も高い都道府県の1位は「高知県」(214点)で、2位は「鳥取県」(195名)、3位は「佐賀県」(191点)だった。高知県は、2022年に続き2年連続でトップだという。
【男性育休白書2023】男性の育休取得率は5年間で約2.5倍、取得日数は約10倍に。有子家庭やマネジメント層などの意識変化とは
本調査結果から、企業の男性育休取得に関しては取得率・取得日数ともに、2019年からの5年間で上昇傾向にあることがわかった。また、マネジメント層や一般社員層への理解が深まり、環境改善が進んでいることがうかがえる結果となった。育児・介護休業法の改正により、大企業では育児休業などの取得状況を公表することが義務付けられた。厚労省では、今後対象となる企業規模の拡大も検討していることから、こうした現場の声を参考に、男性の育休取得推進に向けた取り組みを検討・強化してみてはいかがだろうか。