中小企業の資金調達の現状は? 注目している調達法や悩みの相談先を調査

株式会社社長のきもちは2020年8月4日、資金調達に関するアンケートの結果を発表した。調査期間は2020年7月17~20日で、従業員規模200名以下の中小企業経営者1,030名を対象としたもの。これにより、経営者の資金調達に関する実態と課題が明らかとなった。

現在の資金調達方法や困っていることが明らかに

経営者にとって、資金調達は会社を経営する上で重要な仕事の1つだといえるが、中小企業の経営者は、どのように資金調達しているのだろうか。

はじめに、現在の資金調達方法を聞いた。すると、「金融機関からの融資や借入」との回答が、50.5%と最多に。次いで、「経営者の自己資金」が47.4%、「補助金や助成金」が32.1%となった。

「資金調達で困っていること」を尋ねると、「補助金や助成金の申請書類の作成」が30.1%と、最も多かった。以下、「金融機関からの貸し渋り・打ち切り」が22.9%、「担保できるものがない」が22.7%と続いた。補助金や助成金の申請に必要な書類は複雑であり、自社内での作成は、問合せや確認に手間がかかるなど難しいようだ。また、企業によっては金融機関からの貸し渋りや打ち切りが起きており、土壇場で不可能になってしまうなど、資金調達が困難な経営者がいるのも現状だ。
中小企業の資金調達の現状は? 注目している調達法や悩みの相談先を調査

3割超の企業が資金調達に苦難。現在注目している方法とは

「資金調達ができずに倒産や休業の危機に陥ったことはあるか」を尋ねると、経営者の約3人に1人が資金調達の難航による倒産や休業の危機に遭ったことがあるとわかった。

そこで、「現在どのような資金調達方法に注目しているか」を尋ねると、「クラウドファンディング」が40.6%で最多に。次いで「ベンターキャピタル」が12.4%、「ファクタリング」11.8%となった。資金調達方法が多様化した昨今、新しい方法に注目している経営者も多いといえるだろう。理由として、「企業や企画の知名度・評価」や「所要期間・コストの減少」につながることなどが挙げられた。
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資金繰りについて「相談先がない」のが経営者の悩み

次に、「中小企業の資金繰り」に関して尋ねた。「会社の資金繰りで難しいと思うこと」を聞くと、「悩みを共有できる相手がいない」が32%と最多に。以下、「税理士の意見を鵜呑みにしてしまう」が17.9%、「銀行から定期的に融資を受けられない」が17.4%、「売上はあるが現金が不足している」が16.6%と続いた。

資金繰りは判断を間違うと経営危機に陥ってしまうというリスクがあり、重要な判断が求められることへの責任や緊張、不安など孤独感を抱えている経営者もいるようだ。
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資金繰りの相談ができる相手がいても根本的解決につながらない難しさ

最後に、資金繰りにおける悩みの相談先は銀行や金融機関の担当者以外に誰かを尋ねた。その結果、最も多かったのは「家族」で22.1%、次いで「税理士などの専門家」が21%、「友人・知人」が15.6%となった。外部には話せない内容があるなど根本的な解決につなげることが難しい反面、社内の役員や従業員に相談している経営者は少ないことが明らかとなった。

「資金繰りや資金調達に関して本音で話せる人はいるか」を尋ねると、「いない」との回答が43.4%と、4割以上の経営者に相談先がないことがわかった。
中小企業の資金調達の現状は? 注目している調達法や悩みの相談先を調査
経営者の悩みとして、資金調達がうまくいかないことや、相談先が見つからずに解決が難しいことなどがあるようだ。クラウドファンディングなど新しい方法の検討や、中立的な立場からアドバイスをしてもらえる専門家への相談など、資金調達や資金繰りへの選択肢を増やすことが、問題解決の鍵となるかもしれない。