昨今の女性を取り巻く雇用環境はどのように捉えていますか?
キャリアのない若い女性が仕事探しにネガティブになっている一方で、同様に企業側も女性の採用にはネガティブになっています。採用しても結婚や出産ですぐに辞めてしまうかもしれない女性より、即戦力かつ中長期的に活躍してくれる人材を求めている。つまり20〜30代前半の男性ですね。景気が上向いている現在も、まだまだ現実的な採用に徹している企業が多い印象です。しかし今後さらに少子高齢化が進んでいく中で、企業側が一番必要としている20〜30代前半の男性は、確実に労働人口が不足していきます。いざ人手が足りなくなってから焦るのでは遅い。そうなる前に何か手立てを講じなければいけません。
"女子力"とは具体的にどのようなものをイメージされていますか?
当社は社員80名のうち半分が女性なのですが、離職率は女性のほうが圧倒的に低いです。給与の昇給などに関しても、例え少額でも非常に高いモチベーションを保持してくれます。女性のほうが真面目で、粘り強く、行動力があり、一度自信をつければ非常にポジティブに頑張れる。こうした印象は意外とどこの企業でも持たれていることではないでしょうか。また、今も昔も社会のトレンドを創り出してきたのは女性たちです。女性ならではの感性や価値観、繊細さを活かすことは、企業にとっても大きな利益に繋がります。
多くの求人サイトがある中でどのような差別化を図っていますか?
『RUN-WAY』の特徴やセールスポイントを教えてください。
女性は"かわいいもの"が好きですから、まずはサイトのデザインにこだわりました。実際に大手アパレルサイトを手掛けるデザイナーの方に協力いただき、気軽に楽しく買い物でもするような感覚で見ていただけるデザインになっています。パステル系の清涼感のあるビジュアルから、「求人サイトっぽくない」といった声も聞かれるほど。ネガティブになりがちな仕事探しがポジティブな気持ちに切り替わる…そんな効果を狙っています。
また女性は仕事を探す際に、男性とは違い、服装などの視覚的な要素やワークスタイルなどを重視する傾向にあります。それを踏まえて、女性の視点も随所に盛り込みました。例えば自分の年齢×現状から仕事を探す「いまの私検索」では、育児休暇、服装、髪形の自由に至るまで女性目線のチェック項目で会社を絞り込んでいけます。その他にも、求人広告内にその会社の具体的な仕事内容やランチタイムの様子などを紹介する「1日の業務の流れ」という項目を掲載。このようにデザイン、検索方法、コンテンツ内容に至るまですべてにおいて女性の志向に沿った形を取っています。
企業側が採用したくなるよう、女性自身もスキルアップを図る必要がありますね。
おっしゃる通り、「私は何もできません。わかりません。でも働きたいです」ではどこの企業も採用してくれません。ですから女性側の思考やスキルも引き上げていく必要があるでしょう。現状サイト内のコンテンツを通じて、ビジネスマナーや面接の対応、履歴書の書き方など基礎的な知識を紹介しており、さらに個々のスペックを上げるべく、将来的には研修育成事業も視野に入れております。
古瀬社長の出発点でもある「求人広告の掲載料をもっと安くしたい」という思いは、どれくらい実現できているのでしょうか?
一般的にアルバイト媒体が1掲載あたり10万円前後、正社員媒体になると20〜30万円くらいが平均的単価といわれているのですが、『RUN-WAY』ではアルバイト案件で5万円、正社員案件だと9万円を商品定価としております。絶対にこれ以上値上げはいたしません。女性採用に対するトライアルのリスクは企業側に持っていただく代わりに、採用に関するコスト面のリスクは我々が持たせていただきます。
では最後に今後の展望をお聞かせください。
現在当社では求人サイト『RUN-WAY』だけでなく、女性向けのコスメサイトやアパレルのECサイトなども次々と展開しております。やはり女性に良いものを提供するためには、常に我々自身が女性の趣向に寄り添っていないといけませんから。そして"女性のライフスタイル"という大枠の中に、ファッションやコスメと同じように仕事探しも位置づけて、就職・転職活動の際は気軽に楽しく『RUN-WAY』を使っていただけるようにしたいです。「女の子の幸せを追求する」——それを合言葉に、今後も女性のための総合的なサポートに努めていきたいと考えております。