企業の経理部門が押さえるべき“コスト削減”の実態。「ペーパーレス化」に「IT投資」…優先すべき施策とは?

株式会社インボイスは2025年6月23日、「経理部門が押さえておきたいコスト削減の実態と課題」に関する調査結果を発表した。本調査では、企業の経理業務担当者425人から回答を得ている。調査結果から、経理部門におけるコスト削減の現状や、直面する課題などが明らかになった。

コスト削減効果の高い科目と低い科目

企業経営においてコスト削減は常に重要な課題だが、その中でも経理部門は多岐にわたる費用を管理し、最適化の最前線に立つ。しかし、単に支出を抑えるだけでなく、社内調整の難しさや人材・ノウハウ不足といった固有の課題に直面しているのも実情だ。そうした中、経理部門におけるコスト削減の具体的な実態や、今後の取り組みの方向性はどのようになっているのだろうか。

はじめにインボイスは、「過去に取り組んだ中で、コスト削減の効果が最も高かったとされる支出科目」について尋ねた。すると、最多となったのは「接待交際費」で35.7%、続いて「会議費」(26%)や「旅費交通費」(26%)、「消耗品費」(24.5%)など、変動幅の大きくなりがちな科目が上位に並ぶ結果となった。

一方、「人件費」(10.2%)や「水道光熱費」(7.1%)、「設備費」(6.1%)など、固定費・インフラ系の科目については、削減効果が低いとの回答結果になっている。同社はこれについて、「これらの科目は、すぐに削減できるものではなく、仕組みの見直しや長期的な視点での対応が必要なため、慎重に進める必要がある分野と考えられる」との見解を示している。
過去に取り組んだ中で、コスト削減の効果が最も高かったとされる支出科目

コスト削減における最大の課題は「社内調整」

続いて、「コスト削減に取り組む際、難しいと感じること」を尋ねたところ、最多となったのは「社内調整が大変」(35.1%)で、コスト削減に向けた関係部署・担当者との調整やすり合わせに課題を感じている様子が見受けられた。

また、以下には「運用人材がいない」(27.2%)や「忙しく手が付けられない」(25.2%)などが続き、人手や時間の不足から現場に十分なリソースがない状況もうかがえた。さらに、「削減額と実行の手間が合わない」(21.1%)といったコスト削減施策の実行に懸かるリソース面の懸念や、「専門的な知識が必要になる(やり方が分からない)」、「何から着手すべきか分からない」(ともに18.2%)といったノウハウ不足の課題も一定数見られている。これらの結果から同社は、「コスト削減を円滑に進めるには、現場の負担を抑える仕組みづくりと、専門的な支援の整備が重要」との示唆を得たとしている。
コスト削減に取り組む際、難しいと感じること

今後のコスト削減予定は「ペーパーレス化」が中心

最後に同社は、「コスト削減の取組みを予定している動き」について尋ねた。すると、「ペーパーレス化(社内資 料)」が最多の49.3%、次いで「ペーパーレス化(請求書等の帳票)」が36.1%となり、ペーパーレス化によるコスト削減の取組みが上位となった。

また、以下には「ワークフローの電子化」(31.4%)や「電話/インターネット回線の見直し」(28.9%)、「節水・節電」(34.3%)、「LEDなど省エネ設備の導入」(26.4%)などが続く結果となっている。
コスト削減の取組みを予定している動き
今回の調査結果では、経理部門がコスト削減を推進する上で、単に支出を抑えるだけでなく、部門間の連携やITツールの活用、専門知識の習得などを通じ、業務プロセスの根本的な改善を図ることが不可欠であることが示唆された。コスト削減は、もはや経理部門単独の課題ではなく、社内調整の壁を乗り越えて全社的な協力体制を構築することが成功の鍵を握るだろう。ペーパーレス化やワークフローの電子化など、IT投資を戦略的に進めることで、業務効率化とコスト削減を両立させることが可能となるかもしれない。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000121.000113945.html