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週休3日制導入のチャンス

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2022年10月07日

週休2日制が原則化したのが1994年。30年近く経過した今日、週休3日制が視野に入ってきた。

政府が6月に発表した2022年「骨太の方針」にも、育児・介護・地方兼業等に活用するための選択的週休3日制の導入促進が盛り込まれている。

労働者のニーズも高い。東京都の「令和2年度 働き方改革に関する実態調査」では、従業員の54.5%が今後導入してほしいと回答している(導入済みは1.2%)。もっとも、企業側は導入したいが5.9%、導入する考えはないが60.5%と、消極的な姿勢である。

このように現状は、社員の人気はある一方で、企業としては導入に消極的のようだ。見方を変えると、今なら週休3日制は強力なアピール・ツールとなる。既存社員の満足度向上のみならず、ワークライフバランスに積極的というイメージを打ち出せ、優秀な人材確保にも資するはずである。まずは試験的な実施でもよいので、制度化を検討してみてはどうだろうか。

週休3日制を考える際のポイントは以下の4つである。

①対象者~全社員か一部社員か
一部社員というのは、育児・介護等利用者や、比較的導入しやすいと考えられる生産、研究、管理部門等の特定部門である。一部社員の場合は、基本的に社員の希望に基づく選択制となるだろう。

②対象日~全社一斉か交代制か
全社一斉方式では、たとえば水曜日に休むなどが考えられる。もっとも、顧客や取引先との対応などから、現状では困難かもしれない。シフトを組み、社員が交代で休日を取得していく交代制の方が現実的だろう。

③週の労働時間~現状維持か、減らすか
週休3日制導入の趣旨の1つに生産性の向上がある。このため、労働時間はできるだけ減らすことを考えたい。毎週ではなく、月に1週といった選択肢もある。これであれば、労働時間5%の削減なので対応は可能だろう。実際、2ヶ月に1回、試験的に実施している企業もある。

④給与~現状維持か、減らすか
これは、上記の①と③が関係してくる。社員の選択制で、しかも労働時間が減るような場合は、公平性の観点から現状維持というわけにはいかないだろう。現状維持とするには、労働時間に変わりがない場合か、全社員に適用する場合となる。

アイスランドが2015~19年にかけて実施した週休3日制の実証実験では、賃金を下げずに、労働時間を週40時間から週35~36時間に減らした。労働時間短縮に伴い、会議の短縮や不要な作業の削減、シフトの調整など、仕事の進め方の見直しが進んだという。その結果、職場の生産性やサービスの質が向上するとともに、労働者のストレスは減少し、職場での幸福感が高まり、労使双方で高い満足度が得られたとのことである。

生産性の向上は、すべての企業の課題といえるはずだ。その契機としても、週休3日制の導入を考えてみてはいかがだろう。

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