人事にプロのサポートを―新卒採用、中途採用、人材育成、研修、人材マネジメント、労務、人事システム、適性検査ならHRプロ

人事を変える集合知コミュニティ HRアゴラ

時間外労働上限規制のポイント

0

2017年04月07日

3月17日、注目を集めていた時間外労働の上限規制などに関する政労使の合意案が「働き方改革実現会議」に提案された。同28日には、この上限規制や同一労働同一賃金などを含む働き方改革実行計画と、2017年度からの工程表が公表された。

工程表によれば、今年度に労働基準法改正法案を成立させ、2018年度以降の施行を目指すとのこと。もっとも、「中小企業を含め、急激な変化による弊害を避けるため、十分な法施行までの準備期間を確保する」とあり、施行がいつになるかは不確定である。ちなみに、3月29日付の日経新聞では、2019年度からの実現を目指すと報道している。

ともあれ、「労働基準法70 年の歴史の中で特筆すべき大改革(労使合意の書面より)」で、ここ数年の労働法関係の改正の中でも、企業・労働者への影響が最も大きい事項の1つとなるのは間違いない。

あらためて、そのポイントを簡単に整理すると次のようになる。

<原則>
● 時間外労働時間の限度は月45時間かつ年360時間(罰則あり)。
<特例>
● 臨時的な特別の事情がある場合は、労使協定により、年720時間まで可能。
●このとき、1か月では休日労働を含み100時間未満、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で休日労働を含み80時間以内。
●特例の適用は年6回が上限。

この中で注視したいのは、特例の中の「休日労働を含み」という点である。「月45時間、年360時間」の原則、そして「年720時間以内」の特例については、休日労働を含まず、あくまで時間外労働だけを対象とするのに対し、1か月または複数月の平均の計算の際は、時間外労働時間+休日労働時間で考えなければならないのだ。

現在運用されている36協定の特別条項も休日労働を含んでいないため、企業の中には、特別条項の枠がいっぱいになった際には、休日労働で対応するという裏技を使うところもあった(ついでに言えば、時間外労働が月60時間超のときは、休日労働の方が割増賃金が安くなるというメリットもある)。

この裏技は基本的に今後も使えるということだが、1か月あるいは2~6の複数月の平均の計算にあたっては休日労働も含むことになるので、注意が必要である。

たとえば、ある月に100時間未満ぎりぎりの時間外労働をさせたとすると、その月に休日労働をさせることはできなくなる。そして翌月は、休日労働も含めて60時間以内としなければならない。

一方、1年のうち、6か月は時間外労働を80時間、他の6か月は時間外労働40時間+休日労働40時間(つまり年960時間の時間外・休日労働)といった運用はOKである。

休日労働時間については、特別条項の枠外となっていた一方で、労働安全衛生法に定められた医師による面接指導の対象労働者の判定においては、これを含めて計算することになっており、整合性に欠ける面があった。今回の案で、その点の整合が取られることになったのは進展といえよう。ただし、年720時間という制限の対象とはならないため、この点で複雑さが残った。

先ほど指摘したように、本案は、休日労働をうまく使えば、最大限で年960時間まで法定労働時間以外の労働は可能である。労働者・使用者いずれの立場からしても、休日労働の扱いがポイントとなってきそうである。

今後の法案審議の中でも、この点が論点になることが予想される。先に労使が合意している以上、大きな変更はないと思われるが、1つのポイントとして注目しておきたい。

この記事はあなたの人事キャリア・業務において役に立ちましたか?

参考になった場合はクリックをお願いします。
0

Voice私はこう思う!

この記事へのコメントはまだありません。

コメントを行うには HR プロへのログイン・会員登録が必要になります。

新規会員登録はこちら