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懲戒規定を適用するときのポイント

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2014年12月12日

企業は社内の秩序維持のため社員に対して懲戒権を持っており、その内容は就業規則や賞罰規定に定められているのが通例である。

ただ、あまり使うことのない規定だけに、いざ問題が発生したときには、具体的にどのような手続きで進めてよいのかよくわからない場合もある。

ここでは、懲戒規定の適用の仕方について整理してみよう。ポイントとなるのは、(1)平等性の原則、(2)相当性の原則、(3)不遡及の原則、(4)一事不再理の原則、(5)適正手続きの原則という5つの原則である。

まず、平等性の原則とは、同様の事案について社員を平等に扱わなければならないというもので、たとえば、労働組合員には重い処分を科すことなどはこれに反する。言い方を変えると、組合つぶしや特定社員の排除など、処分に不当な目的や動機が隠れていないかである。
ただし、次にも述べるが、責任度や影響度の相違から管理職と一般社員とで異なる処分をすることなど、合理的な理由に基づいて差を設けるのは認められる。

相当性の原則とは、懲戒対象となる事実と処分のレベルが相応に合致しているかどうかである。処分レベルは次の事項を勘案のうえ、総合的に判断する必要がある。

① 当該事実を引き起こした理由・事情
② 当該事実による業務への影響度合い
③ 当該事実による他の社員への影響度合い
④ これまでの懲戒履歴
⑤ 社員の地位・等級、役割・責任度の大きさ
⑥ 社員の反省の様子、今後の改善の期待度
⑦ 過去の同様の事例での処分内容

懲罰の内容としては、軽いものから、戒告(譴責)、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇というのが一般的だろう。
どれを適用するかは慎重な判断が必要で、いきなり重い懲罰を科すのは避けたほうが無難だ。まずは、できるだけ軽目の処分で反省を求め、それでも繰り返されるのならば重くしていくというのが適切である。

不遡及の原則は、過去にさかのぼって懲戒することはできないというものである。社員が何か不始末を起こしたが、該当する懲戒規定がないため、あわてて作成をし、その規定を適用したりすることはできない。

一事不再理の原則は、1回の事案で2回以上懲戒することはできないという原則である。たとえば、残業を拒否した社員をいったん減給処分としたうえ、これでは足りないからとさらに出勤停止にするというようなことはできない。ただし、1回の懲戒内容に減給と出勤停止を組み合わせて適用するのは問題ない。

適正手続きの原則とは、懲戒権が発動されるまでの手続きが適正に行われていなければならないというものだ。手続きが規定に定められていれば、それに則って進めていく必要がある。ポイントとなるのは、

① 経営者などが1人で決定するのではなく、社員等を含めた合議のもとに決定をしているか
② 本人が意見を申し述べる場があるか

の2点である。通常は、懲罰委員会といった機関を設けて進めていくことになる。

懲戒規定の適用は、異例なことだけに社員のダメージも大きい。重すぎる処分や不透明な手続きは、本人だけでなく他の社員も困惑させる。一方で、本来、懲戒処分とすべきことをウヤムヤにしてしまうのも、企業組織の規律維持の上で問題だろう。

上記の5原則に留意しながら、定められた規定に基づいて慎重に進めてほしい。

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