【2026年景気見通し】回復期待は持ち直すも不透明感続く…企業が警戒するインフレと求められる政策対応

株式会社帝国データバンクは2025年12月22日、全国の企業を対象に実施した「2026年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果を発表した。調査期間は2025年11月14日~30日で、全国2万4,531社を対象に実施し、1万207社から有効回答を得ている。調査結果からは、新政権への期待感を背景に「回復局面」と見込む企業が増加した一方で、依然として「踊り場」や先行き不透明感を指摘する声が多く、慎重な見方が根強い実態が浮かび上がった。インフレや人手不足といった構造的課題への警戒が強まるなか、企業が景気回復に求める政策の方向性も明らかになっている。

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“景気回復期待”は2年ぶりに1割超も、「踊り場」認識が依然として4割台

「2026年の景気見通し」について尋ねたところ、「回復局面」と見込む企業は11%となり、2025年見通し(2024年11月調査)から3.3ポイント上昇した。2年ぶりに1割を超え、新政権による改革への期待感の表れであると考えられる。

一方で、「踊り場局面」とする企業は43%と、3年連続で4割を超える水準となった。また、「悪化局面」と見込む企業は17.4%と4年ぶりに2割を下回ったものの、株高や積極財政の恩恵が一部にとどまり、格差拡大への懸念を指摘する声も聞かれている。加えて、「分からない」と回答した企業は28.6%に達しており、海外情勢や通商リスクなどを背景に、先行きの不透明感が依然として強いこともわかった。
2026年の景気見通し
企業規模別に見ると、「回復局面」とする割合は大企業で11.5%、中小企業で10.9%、小規模企業で10.5%となり、大きな差はみられなかった。一方、「悪化局面」との認識は小規模企業で21.8%と2割を超え、企業規模が小さいほど見通しを厳しく捉えている傾向が明らかとなった。

また業界別では、「回復局面」が金融で12.7%と最も高く、以下はサービス、製造、小売と続いた。他方、「悪化局面」は小売が23.3%と突出しており、業種間での温度差も浮き彫りになっている。
2026年の景気見通し(企業規模別/業種別)

最大の懸念はインフレ。企業・消費者双方に重くのしかかる物価高

「2026年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料」として最も多く挙げられたのは、「物価上昇(インフレ)」だった。回答率は45.8%に達し、前年から14.3ポイントの大幅増となっている。次いで「人手不足」(44.5%)、「原油・素材価格の上昇」(35.9%)、「円安」(30.4%)が続き、コスト増への警戒感が強まっている。

2025年はコメをはじめとする食料品価格の上昇が家計を直撃しており、人手不足を背景とした賃金上昇や円安による輸入物価の上昇も重なっている。原油や素材価格はピーク時からは落ち着きを見せつつも、高水準で推移しており、依然として物価高の一因となっている。

帝国データバンクによると、こうしたコストプッシュ型インフレは2026年も継続する可能性が高いとみられ、企業収益を圧迫するだけでなく、消費者の節約志向を一段と強めかねないという。実際、値上げに対する消費者の反応がより敏感になっているとの声も多く、個人消費の停滞を懸念する見方が広がっている。さらに、トランプ関税を巡る米中関係の動向や日中関係の悪化といった地政学・通商リスクも、景気下振れ要因として企業の警戒感を高めているとのことだ。
2026年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料

景気回復に必要なのは「個人向け」対策。減税と可処分所得の底上げに期待

「今後の景気回復のために必要な政策」について尋ねたところ、「個人向け減税」が38.3%で最多となった。以下、「人手不足の解消」(37%)、「所得の増加」(36.6%)、「中小企業向け支援策の拡充」(36%)、「インフレ対策」(32.1%)が続いている。

上位項目のうち、「個人向け減税」、「所得の増加」、「個人消費の拡大策」はいずれも家計に直接働きかける施策であり、これらのいずれかを選択した企業は全体の64.2%に上った。物価上昇が続くなか、賃上げだけでは可処分所得の増加を実感しにくいとの認識が広がっていると考えられる。

企業からは、消費税減税や年収の壁の引き上げ、社会保険料負担の軽減など、家計負担を和らげる政策への期待が多く寄せられた。一方で、最低賃金の引き上げや初任給の上昇により、中小企業の体力が削がれているとの指摘もあり、人手不足対策や中小企業支援といった「企業側」への政策も不可欠だとの声が目立っている。
今後の景気回復のために必要な政策
本調査から、2026年の景気見通しはわずかに明るさを取り戻しつつあるものの、多くの企業がなお慎重な姿勢を崩していない実態が明らかになった。インフレや人手不足といった構造的課題が企業活動と個人消費の双方を圧迫するなか、景気回復のカギとして「個人の可処分所得をどう高めるか」に注目が集まっている。今後は、家計と企業の双方を視野に入れた政策対応が、企業心理の改善と持続的な景気回復を左右する重要な要素となりそうだ。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP701034_S5A221C2000000/

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