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厚生年金基金解散後の社員の将来をどう守るのか?

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2015年04月14日

人事発信で考える、企業年金・退職給付制度のこれから 第1回

確定拠出年金アドバイザー ファイナンシャルプランナー(CFP) 山中 伸枝

厚生年金基金の解散が加速しています。この動きは止まることなく、今後5年以内にほぼすべての厚生年金基金が解散へ向けての準備を進めるとも言われています。

厚生年金基金の組織としてのこれからの選択に事業所が大きく影響を与えることは難しいかと思いますが、しかしながら厚生年金基金のこれからは間違いなく社員の「将来」に関わることなので、企業としてはぜひ受け身ではない対応を検討したいところです。

現在存続している厚生年金基金数の内訳をみると、約2割が代行割れ基金で残り7割がその予備軍、1割が財務状況健全な基金となっています。代行割れを起こしている基金については、大きな経済的負担が今後も継続するわけですが、代行割れ予備軍あるいは健全な基金であれば、できるだけ早くこれ以上状況を悪化させない手段を取りたいと思うのも理解できます。直近の基金の動向を見ていると、解散を選択する基金が多いようです。解散であれば今ある残余財産を分配するだけでよく、いわゆる「上乗せ部分の債務」がなくなります。仮に上乗せ給付部分に積立不足があったとしても、「解散」ですからその不足部分を埋める必要もなくなるからです。(社員の同意が必要です)基金加入企業からは、もう企業年金はコリゴリ、解散後の代替制度なども考えるのもイヤ!という声も聞こえてきます。近年の動きでは、適格退職年金の廃止等もあり、度重なる変化に嫌気がさしているのも正直なところでしょう。

では、厚生年金基金が「解散」した後、社員の「将来」はどう変わるのでしょうか?まず、残余財産については一時金として社員に支払われます。ただこの時、社員には3つの選択肢が与えられます。一つ目:現金で受け取る。
この場合一時所得となり、50万円の特別控除後の2分の1に対し所得税が課税されます。メリットとしては、手元資金として活用が可能なこと。デメリットとしては、一時金の常で、すぐに使ってしまって老後の備えがなくなってしまうことです。

二つ目:企業年金基金連合会に非課税で資産を移換。
その後通算企業年金として連合会で運用が継続されます。メリットは、企業年金連合会にお任せできること。デメリットは、連合会が運用を失敗した場合資産が毀損してしまうことと社員は継続して掛け金を拠出することができないので、老後の資産形成が中断してしまうこと。

三つ目:確定拠出年金に非課税で資産を移換。
メリットは引き続き税制優遇を受けながら老後の資産形成が可能であること。デメリットは、社員個人が運用責任を担うことになるので、適切な情報提供と自立を促す教育が必要であること。

筆者は法人向けに確定拠出年金の導入サポートと社員へのライフプラン教育を行っておりますが、「社員の将来を会社が守る」という意味ではやはり三つ目の選択肢が最も望ましいと考えています。

なぜなら、選択肢の一つ目も二つ目も、せっかくこれまで会社が支えてきた社員の老後の資産形成が途絶えてしまうからです。残念ながら多くの日本人は、「会社の仕組み」という受け皿がなければ、なかなか自らで資産形成、特に老後の生活までを思い描き備えるという行動ができません。

実は社員の経済的な自立心の不足は、そのまま会社の雇用のリスクにもつながります。資産形成に対する十分な知識と適切な準備がない社員は、仕事の面でも受動的、消極的な傾向が強く、競争力のある人材とはなりにくいからです。確定拠出年金は、社員が運用責任をもつため導入を躊躇する会社もありますが、社員のマネーリテラシーの向上はまちがいなく成長を続ける会社にとっては不可欠なものです。次回は、厚生年金基金解散を見込んだ確定拠出年金制度の活用方法をご紹介します。社員の「将来」を守るだけではなく、コストを削減するという経営メリットも同時に得られる仕組みです。ご期待ください。

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