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助成金にメリハリ、成長企業への雇用流動化なるか

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2015年02月19日

社員の雇用を守る「雇用調整助成金」は、この2年で1175億円から193億円に大幅減

2015年度政府予算案で、政府は経済の成長戦略である「日本産業再興プラン」の中で雇用制度改革を掲げ、労働者移動支援金を増やし、雇用維持の予算である「雇用調整助成金」を減らすことが決定されました。「雇用調整助成金」は、事業主が支払う賃金や手当の一部を国が助成するなど、働く私たちの雇用維持や解雇を防ぐために使われてきたものです。

しかしその金額は、年々減少しており、特に2013年に1175億円だった予算は、2015年には193億円と大幅に削減されています。「雇用調整助成金」はかつてから、企業が経営不振に陥ったときに、労働者を解雇せずに休業や出向を実施する事業主に対しては休業手当を支給したり、賃金または出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成を行ってきました。

リーマン・ショック時には、緊急雇用対策として助成率や予算額が引き上げられ、2009年度は適用を受ける労働者の数や支給額が急増し、企業の支えとなりました。この助成金のおかげで、多くの労働者が失業を免れたと言われています。その後、景気の回復と失業率の低下に伴い、「雇用調整助成金」の対象となる労働者の減少にともない、支給額の総額も減少してきています。

「労働移動支援助成金」は48億円増額され349億円へ

その一方で、持続的な経済成長を目指すためのアベノミクスの第3の矢「成長戦略」一環として政府が増額したのは「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」です。「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」は、職業訓練など離職者への再就職を支援した企業を対象に支給されます。
具体的な例として、これまで転職成功時に上限40万円の補助金が支給されていましたが、これを改め、転職者1人につき60万円まで支払われることになりました。離職者や失業者の受け入れ先が決まるまでの、職業訓練の助成金も支給されます。助成金の対象となる企業は、以前は中小企業のみでしたが、大企業にも拡充されます。

2013年の予算5.7億円から、2014年には301億円、そこから2015年には48億円増額されて349億円へ増額されています。2013年に安倍政権は「雇用政策の基本を行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換する」(2013年「成長戦略」)ことを掲げています。この方針に沿って、2015年度の一般会計ではその戦略の一環として、成熟企業から成長企業への雇用流動化を促すような助成金の予算配分となりました。

成長企業への雇用流動化が進む?

2013年3月に開かれた第4回産業競争力会議で、竹中氏は『今は、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が1000対5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている』と発言した通り、2つの助成金の予算配分は逆転されました。成熟企業から成長企業への雇用流動化を促すような助成金の配分となったことにより、今後より人材流動化が促進されていきます。これにより、今後の大きな成長や拡大が望めない成熟産業で働く人や長期失業者が、より流動的に成長する分野へ移動することが可能になります。

労働移動の成長する分野として政府では、①健康・医療、②エネルギー、③次世代インフラ、④農業・食糧関連産業および訪日外国人向け観光の4分野を戦略市場として位置づけています。雇用の流動化によって、失業者や離職者が就職しやすい環境になり、国民の所得の増加や、購買意欲の増大につながります。消費活動の高まりによって、製品やサービスの需要も増加し、社会全体の生産性の向上や、成長する分野での新しい雇用も生まれるという好循環が期待されています。

「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」と、「雇用調整助成金」の予算が逆転したことにより、「失業なき労働移動」の実現を可能にし、今後は労働移動支援型の政策が促進されていきます。離職者や失業者にとって、よりスムーズな転職活動の手助けとなり、雇用の流動化に伴う、所得や購買意欲の向上、新たな雇用の創出などが期待されます。

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