昨年度の人事イベント動員数No.1。日本中の人事部が認めた日本最大級の人事フォーラム・カンファレンス HRサミット2015

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2016年卒採用の現状とこれから起こることは何か

〜【HR総研 人事白書2015】新卒採用を斬る〜

ProFuture株式会社 HR総研 主任研究員
松岡 仁

企業の採用スケジュールが大きく変わった2016年卒採用。企業や学生、大学はこれをどう受け止め、どのような採用/就職活動を行っているのか。さらに2017年卒採用はどのように変化していこうとしているのか。長く新卒採用に携わってきたHR総研の主任研究員が、企業・学生・大学を対象に実施した調査結果を基に動向を分析し、これから起きることを予測します。

引き続き増加傾向にある求人倍率

HR総研では毎年、企業・学生・大学に新卒採用/就職活動に関する調査を実施しているほか、他社の様々な調査を基に、動向を分析しています。 まず、リクルートワークスの「大卒求人倍率」によると、求人倍率は1.61倍から1.73倍に増加しており、我々の予想よりはやや低い倍率でしたが、2013年卒から4年間増加し続けています。

企業の従業員規模別で見ると、1000人以上が0.73倍から0.92倍へ増加。1000人未満は2.57倍から2.38倍へ減少していますが、依然として高い水準にあります。減少した理由は、中堅・中小企業の採用計画数が減少したわけではなく、中堅・中小企業を志望する学生が前年よりも増えたためとされていますが、そのデータにはいささか疑問を持っています。後ほど述べますが、学生の大手企業志向は今年一段と強くなっていると考えているためです。業種別では流通が5.65倍と高く、製造が2.08倍、サービス・情報が0.56倍、金融が0.23倍と大きく差が開いています。
HR総研調査による企業の採用計画は、全体では「増やす」30%、「昨年並み」50%、「減らす」5%と、こちらも採用の増加傾向が明らかになっています。

強まる学生の大手志向、採用スケジュール繰り下げは効果なし

続いて学生の意識調査を紹介します。

「アピールしたい能力」では、文系が「チームで働く力」49%、「コミュニケーション能力」43%、「目標達成志向」37%。理系が「コミュニケーション能力」41%、「チームで働く力」40%、「目標達成志向」40%。順位に多少の違いはあるものの、トップ3は共通しています。

重視する「仕事の魅力」は「仕事が面白そう」が文系58%・理系54%で、圧倒的な多数を占めています。「スキルが身につく」は文系16%・理系17%。「若いうちから活躍できる」は文系9%・理系8%で、それほど重視されていないようです。「海外で働ける」はそれよりさらに低い結果となっています。

次に、重視する「会社の魅力」は、「安定している」が文系43%・理系33%と最も高く、「経営者・ビジョンに共感」が文系30%・理系26%でそれに続いています。前年の最多回答が「経営者・ビジョンに共感」だったのに対し、学生の安定志向(=大手企業志向)がより一層強くなっていることがうかがえます。

重視する「社会的責任の魅力」では、「事業自体が社会貢献」が文系37%・理系48%で最も高く、「法令遵守の姿勢が強い」が文系21%・理系21%、「女性活用の姿勢が強い」が文系24%・理系15%となっています。

重視する「雇用の魅力」では、「福利厚生がしっかりしている」が文系38%・理系39%でトップ。こちらも大手企業志向の表れといえます。例年最も多かった「社風・居心地が良い」は文系35%・理系26%で2位でした。

「志望する企業規模」の前年との比較では、「絶対大手企業に行きたい」「できれば大手企業に行きたい」の合計が文系59%から65%へ、理系が68%から70%へ増加しており、大手志向が強まっていることが分かります。

重視する「採用活動の魅力」では、「一般社員と接して好感が持てた」が文系33%・理系36%、「採用担当者と接して好感が持てた」が文系34%・理系26%。「採用広報のイメージが良い」は文理ともに7%で、漠然としたイメージより具体的な「人の魅力」が大きな訴求要素になっていることがわかります。

「就職のことで相談する相手」は文理とも「友人」が6割を超えてトップ、続いて「大学の先輩」、「母親、父親」となっています。最近、親に相談する学生は増加傾向にあり、企業の採用活動も親への対策を考え、親向けに資料を送るといったケースも出てきています。

「『ブラック企業』と思う特徴」では、「残業代が支払われない」が文理とも80%超で1位、続いて「離職者が多い」「パワーハラスメントが多い」が続きます。文理で差が出ているのは「休日出勤が多い」「残業が多い」で、文系に比べて理系は勤務時間が長いことに比較的寛容であるという結果が出ています。研究室での実験は泊りがけになることも珍しくなく、それが文系学生との意識の差に繋がっているものと思われます。

「採用スケジュールの繰り下げについて」では、「昨年までのスケジュールの方がよい」が文系64%・理系63%。「新スケジュールの方がよい」は文系18%・理系16%で、圧倒的多数が昨年までのスケジュールを支持しています。新スケジュールにより、先輩の体験談が参考にならなくなってしまったことや、企業ごとの選考スケジュールがこれまで以上にバラバラとなっていることなど、不安要素が大きくなっていることが要因です。

「採用スケジュールが遅くなった分、学業に専念できたか」では、「専念できていないと思う」が文系72%・理系82%で、「専念できたと思う」の文系24%・理系13%をはるかに上回っています。学生を学業に専念させるという今回のスケジュール繰り下げの目的が、結果につながっていない現実がはっきり見て取れます。

早期活動で重要性を増すインターンシップ

企業が、2015年3月以前の早期にどのような活動を行ったかについて見ていきます。

まず11月末までの施策としては、「キャリアセンター訪問」「学内企業セミナー」などの大学対策と「インターンシップ」がメインです。「採用ホームページの開設」は前年から大きく減少しています。従来は就職ナビの正式オープンに合わせて採用ホームページを開設していましたので、オープン日が12月1日から3月1日へ変更となった今年、開設日が遅くなったことは当然です。ただし、3月1日を待たずして多くの企業が採用ホームページを開設したことが今年の特徴です。中でも多かったのは、昨年同様の12月1日でした。

インターンシップの実施状況の変化をここ3年で見ると、「前年は実施していないが、今年は実施した(する予定)」と「前年同様に実施した(する予定)」の合計が、2014年卒では33%、2015年卒では35%、2016年卒では46%。早期に学生と接触する手段として効果的と考える企業が増えていることを物語っています。

「インターンシップのタイプ」では、「1週間程度」「2週間程度」がやや減り、「1日」が約15%増加。これは手軽に多くの学生と接触できる、複数の拠点で開催できるといった利点があるためと思われます。

「インターンシップと選考の関係」では、「選考と結びつける」が22%、「選考とは結びつけないが、優秀な学生においては考慮する」が39%。正式には「選考と関係ない」としていても、実際には何かしら選考と結びつけている企業が多いようです。

学生の「インターンシップ体験率」をここ3年の推移で見ると、文系の「参加した」は2014年卒47%、2015年卒46%に対して2016年卒は70%。理系の「参加した」は2014年卒41%、2015年卒44%に対して2016年卒は71%。学生にとっても重要性が高くなっていることが分かります。

学生が参加したインターンシップをタイプ別に見ると、「1日」が文系・理系とも52%、次に多いのは文系が「1週間程度」で42%、理系は「2〜3日程度」で31%、3番目は文系が「2〜3日程度」で34%、理系が「1週間程度」で29%となっています。

学生がインターンシップに参加した時期および参加予定の時期は、文理の差がほとんどなく、2014年8月と2015年2月が約45%と、同程度の2回のピークがあります。これまではサマー・インターンシップということで8月・9月がピークでしたが、今年度は10月以降も引き続きインターンシップを開催する企業が一定以上あり、2月にもう一度ピークがくるという形になっています。

学生がインターンシップに参加した会社数は、2015・2016年卒の文理とも「1社」が約10%、「2社」が約20%でほとんど変化がないのに対し、「3社」が数%から約10%、4社以上も数%から約15%へ、文理とも大きく伸びています。

学生の「インターンシップ情報の入手先」は「就職ナビ(プレサイト)」が文系76%、理系73%で1位。2位の「企業のホームページ」は文系27%、理系33%。去年まで1位と2位の差はそれほどなかったのが、今年は大きな差がつきました。

学生が受けた「インターンシップ前の選考の種類」では、「エントリーシート」が文系77%・理系85%と圧倒的に多く、続いて「面接」が文系・理系とも36%となっています。面接を実施しているケースが4割弱あるということは、企業がインターンシップをそれだけ選考と結びつけていることを物語っていると見ることができます。
学生がインターンシップに参加した企業に応募したかどうかを前年と比較すると、「応募した」は文系が59%から77%に、理系が59%から81%に大きく増えています。

「企業講師による学内キャリア講座」は、「参加した」が文系・理系とも前年の40%台から50%台へ増加しています。企業の社員が講師を務める講座はリアルな話が聞けるということで学生の人気が高く、開催数も増えています。これは昨年9月16日に経団連の指針が変更され、解禁前でも一定の基準を満たせばこうしたセミナーに参加できるようになったことも関係していると思われます。

レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

提供:ProFuture株式会社

松岡 仁

ProFuture株式会社
HR総研
主任研究員
松岡 仁

85年金沢大学卒業。文化放送ブレーンで大手から中小まで幅広い企業の採用コンサルティングを行う。ソフトバンクヒューマンキャピタル、文化放送キャリアパートナーズで転職・就職サイトの企画・運営に携った後、2009年より現職。人事向けポータルサイト「HRプロ」、大学と企業をつなぐサイト「Campus Recruiting Plaza(キャンリク)」の企画・運営と、各種調査の企画・分析を担当。