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日本企業にとって今なぜ働き方改革なのか

〜働き方改革の本質を考える〜

慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科 特任教授
高橋 俊介 氏

日本人の勤勉さが高度経済成長を成し遂げ、世界に名だたる経済大国へと押し上げてきました。しかし、少子高齢化が進み、グローバル化やダイバーシティーの重要性も高まる一方、非正規社員が増加している現状において、日本人の働き方改革が大きなテーマとなってきています。そこで、慶應大学大学院政策・メディア研究科特任教授の高橋俊介氏が、働き方改革の本質に迫りました。

経営者も働き方改革を課題として認識

日経新聞では今年、働き方改革をメインテーマに掲げて、1年間継続して連載しています。当然、日経新聞がこれを重要なテーマにしているということは、日本の多くの経営者にとって、働き方改革が課題となっていることの表れです。雇用関係の法律が変わったり、女性の活用など、その背景はいろいろあると思いますが、結局のところ、日本の働き方はおかしいのではないかというところに行きつきます。要するに、何十年も前の環境に合った日本的な雇用はダメという論調です。

一方で、これまで経営者も働き方についてあまり口にすることはありませんでした。ところが、今は経営トップが働き方を変えようと音頭を取っているケースが出始めています。これは、日本でも経営改善策として認識されてきた証です。しかし、働き方改革は入口がいろいろあり、どこから手をつけるかによって、物事の捉え方は変わります。そこで、今回はなぜ働き方改革なのかということからスタートし、その裏にある本質を考えてみたいと思います。

なぜ働き方改革なのか

まずは、グローバル化やダイバーシティーへの対応が挙げられます。端的に言うと、日本人の働き方は特殊で、「日本人の男性が働いてるように働けるならば、女性であろうが外国人だろうが、いくらでも活用する」ということになると、グローバル化やダイバーシティーへの対応などできません。そのためには、特殊な働き方を改めることが必要です。

少子高齢社会における制約社員の増加も、大きな問題です。福利厚生の本質も社会が変われば全く変わってきます。特に、介護が育児よりも難しいのは、いつ始まっていつ終わるのかが分からない。つまり、一定の制約を持って働かなければならない人たちが、少子高齢化になると増えてくるということです。ところが、介護・育児ができないのが典型的な日本の働き方ですし、そもそも共働きの男性の家事・育児時間は、世界で圧倒的に少ないと言われています。

他にも、地域社会との共生も問題です。日本人の男性会社員は地域貢献に参加していません。会社の仕事と別のことはしない傾向にあります。これでは、企業が栄えても、地域は衰退するばかりです。

崩壊した正社員の仕組み

「何でも、どこでも、何時でも」をポリシーとした正社員の仕組みが崩壊したのも日本の課題でしょう。世界でも、これだけ人事裁量権が会社に認められている国はありませんでした。その裏返しとして、雇用責任が重いというのが過去の判例です。しかしながら、これまで正社員は「何でも、どこでも、何時でも働きます」とうのが前提でしたが、そうした社員が少なくなってくると、雇用責任の判例も変わってくることが予想されます。そうすると、恐らく働き方の概念が変わり、非正規社員の社会保険加入の義務化が進み、主婦のパートの収入上限額も変わってくるはずです。そうなると、これまでのような正社員の働き方を前提とした仕組みは崩壊するでしょう。

また、高度経済成長時からの生産性向上、創造性向上のための働き方にも違和感を覚えます。今の時代の産業構造では、働き方として生産性を高められなくなりました。日本人の働き方が悪かったわけではなく、産業構造の変化についていけなかったということです。日本はワーカホリズム傾向が強い働き方だと言われますが、それは不安がベースになっているからでしょう。この会社を追い出されたら生きていくところはないと不安を抱えている人、さらに住宅ローンを抱えるなど、背負うものが多くなると、余計にワーカホリズム傾向になります。そうした人たちをうまく利用しているのが、ブラック企業です。

さらに、学び直しも必要です。日本人は一回、学校を出ると、学び直すことをしません。それだけではなく、ホワイトカラーの自己啓発に対する自己投資額も世界最低です。これは、経験の蓄積で成長していると思っているからでしょう。しかし、変化が激しいときほど学び直さなければいけないはずです。経験をベースに縦型OJTで組織を運営していくようなやり方を根底から変えていく必要があります。

レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

提供:ProFuture株式会社

高橋 俊介 氏

慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科 特任教授
高橋 俊介 氏

東京大学工学部航空工学科卒業、日本国有鉄道勤務後、プリンストン大学院工学部修士課程修了。マッキンゼーアンドカンパニーを経て、ワイアット社(現在Towers Watson)に入社、1993年代表取締役社長に就任。その後独立し、ピープルファクターコンサルティング設立。 2000年5月より2010年3月まで、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。2011年9月より現職。 個人主導のキャリア開発や組織の人材育成の研究・コンサルティングに従事。