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地方自治体と民間企業が協力することで生まれた成功事例

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地方分権改革や地方創生が叫ばれている今、多くの地方自治体が民間企業と協力関係を結ぶことを望んでいます。
地方自治体と民間企業が協力、連携することでそれぞれの強みを最大限に生かした公共サービスが提供できるようになり、自治体だけでなく民間企業にも大きなメリットをもたらします。

この記事では、官民連携によって民間企業が得られるメリットを解説し、官民連携のトレンドと具体的な成功事例をご紹介します。

目次

官民連携によって民間企業が得られるメリット

官民連携(Public Private Partnership)とは、行政と民間が連携し、より最適な公共サービスの提供を実現する取り組みです。
官民連携によって民間企業にはどのようなメリットがあるのかご紹介します。

関連記事:地方自治体が抱える人材育成と研修の課題とは?【2021年度最新版】

未回収リスクに悩まされない

民間企業の取引形態では、入金遅れや未入金などの未回収リスクに悩まされる可能性があります。
一方、税金を扱う地方自治体は厳正な取引がおこなわれ、未回収リスクに悩まされる心配はありません。
未回収リスクがなくなるとキャッシュフローが良くなるため、円滑で安定的な事業経営が実現できるでしょう。

用語解説「キャッシュフロー」| 組織・人材開発のHRインスティテュート

企業の信用が高まる

民間企業が地方自治体と協力関係を結ぶことは、厳正な審査を通過した信用できる企業であることを証明します。
また、地方自治体との連携は社会貢献にもなるため、大きなブランディング効果も期待できます。
最初に高い成果を上げれば、他の地方自治体ともスムーズに連携できるようになるでしょう。

官民連携のトレンドは「DX」

新型コロナウイルス感染症の流行により、地方自治体におけるデジタル技術を活用した行政サービスの利便性向上や業務効率化、いわゆる「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の重要性が浮き彫りとなりました。

令和2年には総務省によって「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」が策定され、地方自治体のDXは国を挙げて進められています。
具体的なDXには、「自治体の情報システムの標準化・共通化」「行政手続きのオンライン化」「AI・RPAの利用促進」などがあります。

用語解説「RPA」| 組織・人材開発のHRインスティテュート

しかし、DXが推進される一方で、多くの地方自治体はDXのノウハウを持ちあわせていません。
そこで求められているのが、DXの知見や技術を有する民間企業の協力です。
すでにさまざまな自治体が官民連携によるDXに取り組み、サービスの利便性向上や職員の業務効率化など大きな成果を得ています。

【参考】地方自治体が抱える人材育成と研修の課題とは?【2021年度最新版】

関連記事:地方自治体のe-ラーニングはどこまで進んでいるのか?
関連記事:官民連携とは?代表的なプラットフォームと取り組み事例を紹介

官民連携によるDXの成功事例

地方自治体と民間企業が協力することで生まれた、自治体DXの成功事例をご紹介します。

石川県加賀市×トラストバンク×xID

石川県加賀市は民間企業の「トラストバンク」、「xID」と連携し、行政手続きをデジタル化するツール「LoGoフォーム電子申請」を導入しました。
xIDアプリをインストールしたスマートフォンとマイナンバーカードがあれば、本人確認が必要な行政手続きをいつでもどこでも済ませられるようになります。
住民の手間はもちろん、手作業で業務にあたっていた職員の手間を省くことにも成功しました。

兵庫県神戸市×サイボウズ

兵庫県神戸市は民間企業の「サイボウズ」と連携し、業務に合わせて自由にカスタマイズできる業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」を導入しました。
ペーパーレス化や脱FAXが実現しただけでなく、ファイルの入れ替え作業や紙文書の回覧・押印、紙資料からワープロソフトへの転記といった従来の手作業が不要となり、人為的ミスの削減や業務効率の向上にも効果があったそうです。

大阪府×NEC

大阪府は民間企業の「NEC」との連携でAIチャットボット「NEC自動応答」を導入し、新型コロナウイルスの感染者が発生した際に感染者と接触した可能性がある人を追跡できる「大阪コロナ追跡システム」に関する問い合わせ応答を自動化しました。
AIチャットボットと大阪府ホームページのFAQの組み合わせにより、府民からの電話による問い合わせを99.5%削減することに成功しました。

茨城県小美玉市×構造計画研究所

茨城県小美玉市は民間企業の「構造計画研究所」と連携し、リモートで公共施設の入室管理ができるスマートロック「RemoteLOCK」や、公共施設向けのオンライン予約システム「まちかぎリモート」を導入しました。
空き状況の確認や利用申請、利用料の支払い、鍵の受け渡しをオンライン上で完結でき、利用者の利便性向上とともに事業全体の省力化も実現しました。

愛媛県×楽天

愛媛県は民間企業の「楽天」と連携し、デジタルマーケティング事業やデジタルデバイド(情報格差)対策に取り組んでいます。
コロナ禍の2020年6月には楽天市場に出店した県産品販売サイト「愛媛百貨店」で販促キャンペーンを実施し、前年同期の3.6倍にあたる1億円以上を売り上げました。
また、「楽天シニア」との協働で県内の高齢者を対象としたスマホ教室を開催し、シニア世代のデジタルシフトも支援しています。

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関連記事:自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画の意義とは?デジタル化で変化する自治体

まとめ

地方自治体と民間企業が協働する「官民連携」は、とりわけ自治体トランスフォーメーション(DX)においてさまざまな成功事例が生まれています。民間企業においても、自治体との連携は未回収リスクの心配がなく、自社の信頼性を高めるメリットがあります。コロナ禍でこれまで以上にデジタル化の重要性が増している今、自治体におけるDX推進はもはや欠かせない取り組みといえるでしょう。

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