オーセンティックリーダーシップとは？意味や特性、習得方法を解説

2022.12.28（更新日：2023.10.27）

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組織に必要な指導者（リーダー）の新たな在り方・概念として注目が集まる「オーセンティックリーダーシップ」。

これまでさまざまな体系のリーダーシップが研究・提唱されてきましたが、VUCA（ブーカ）と呼ばれる予測困難な時代においては「自分らしさを貫くリーダー」「弱みをさらけ出せるリーダー」の存在が強く求められているようです。

現代の組織やチームをまとめるオーセンティックリーダーシップとは、具体的にどのような意味を持っているのでしょうか。その特性から習得する方法・注意点まで、詳しく解説します。

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オーセンティックリーダーシップとは？

オーセンティックリーダーシップとは、これまでにさまざまな機関で調査・研究されてきた新しいリーダーシップの概念です。米メドトロニック社の元CEO、ビル・ジョージ氏が2003年に出版した著書「Authentic Leadership（日本版：ミッション・リーダーシップ）」により、その解釈や定義がアメリカを中心に広まりました。

オーセンティック（authentic）とは「本物の」「真正の」「正真正銘の」という意味を持つ単語で、分かりやすくいえば「自分に正直」であり、複製されたものでない「自分らしさ」を持っていること。つまり、オーセンティックリーダーシップとは、カリスマ性を持つリーダーをまねるのではなく、自身の情熱や信念など、自分らしさに基づいた価値観・倫理観に従ってリーダーシップを発揮し、組織をまとめることを意味しています。

どの時代にも見合った、絶対的なリーダーシップの理想像は一つもないと考え、人の数だけリーダーシップの形が存在すること、オリジナルのリーダーシップ像を開発する必要があると示していることが特徴です。

オーセンティックリーダーシップを発揮するためには、自身の価値観・倫理観を深く理解し、強みや弱み、得意・不得意を周囲にさらけ出すことが必要となります。そして、どのような方向に組織を導きたいのか、組織の方針や戦略を明確にし、その方向を目指して自分らしく行動できるリーダーが本物のリーダーシップ、オーセンティックリーダーシップであるという考えです。

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オーセンティックリーダーシップが注目される背景

デジタル経済の進展・技術革新などにより、環境がめまぐるしく変化する予測不可能なVUCAの時代においては、状況の変化に柔軟に対応・順応できるリーダーが必要となります。

これまで主流だった一人のリーダーが中心となるトップダウン型の組織では、複雑化する市場のニーズを正しく捉え、膨大な情報を分析し、戦略的で的確な指示を出すことが難しくなってきているからです。

複雑で不安定な市場の中で、スピード感のある意思決定を行うためには、リーダーとしての立場や自身のプライドにこだわらず、弱みをさらけ出して、ありのままの自分と周囲の信頼関係を築くことがポイントになります。

リーダー自身が目指す方向を明確に指し示し、メンバーと共に課題を乗り越えていく「コア・バリュー（価値基準）」が必要となるでしょう。

また、リーダーがどんなに高い能力を持っていても、一人の力だけでビジネスを成功させることは困難です。これからのリーダーには、自分らしさを発揮しつつ多様なメンバーの個性を引き出すような「強みを生かして活躍できるようリードするスキル」や「メンバーの協力を得ながら共に目標を達成するスキル」などが求められているといえます。

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オーセンティックリーダーシップに求められる特性とは？

チームのメンバーを自分らしくリードするオーセンティックリーダーシップに必要な特性は、主に次の5つです。
○自身の目標・目的を明確に理解すること
○自身の価値観・倫理観に基づいて行動すること
○真心や情熱を持ってチームをリードし、目標の達成を追求すること
○周囲と建設的で良好な信頼関係を構築し、支援し合えること
○自身の価値観や倫理観を守るために自らを律し、常に学び続けること

オーセンティックリーダーシップを発揮するためには、目的・目標などのビジョンを明確に持ち、周囲の評価や地位ではなく、自身の価値観や倫理観を第一の行動理念（行動・判断のよりどころとなる基本の考え方）としていることが重要です。

リーダーとしてチームのメンバーにひるむことなく本心で向き合い、真心・情熱を持って信頼関係を構築していくこと。また、ビジョンを共有したメンバーにどんどん権限を与え、組織内で成長を支援し合えるような環境の整備も欠かせません。

そのためには、リーダーが自身を律しながら学び続ける姿勢も大切になります。セルフマネジメント能力を身につけ、自身の価値観や倫理観に従った一貫性のある発言・行動を目指しましょう。

オーセンティックリーダーシップの習得方法

オーセンティックリーダーシップを習得するためには、次の4つに着目し、開発・実行することが必要です。

①自身の特性・強みや弱みを理解すること
自身の強みや弱み、特性を把握する自己認識力（セルフアウェアネス）を高め、自分らしさを追求することで、一貫して持つべき価値観や倫理観が明確化されます。

②自分自身の弱みをチームのメンバーに開示すること
自分の強さだけでなく弱さも認め、「弱くても問題ない」と思えるマインドを持つことが重要です。リーダーが弱みを隠さないことで、失敗やリスクを恐れない環境・企業文化をつくり出すことができます。

③メンバーと良好な関係を構築すること
一人ひとりの異なる価値観を柔軟に受け止め、それぞれの不安や弱みを知ることで、解決すべき組織課題が明確になっていきます。「失敗やリスクを自ら伝える」「メンバー同士で支え合う」といった風土の醸成にもつながります。

④自身の行動を常に振り返ること
軸がぶれず信念を持ったリーダーは、自然とメンバーの心を引きつけます。状況に合わせた適切な考え方ができているか、公正性・透明性を確保・徹底できているかなどを常に振り返り、見直しや修正を繰り返すことが大切です。

オーセンティックリーダーシップの注意点

オーセンティックリーダーシップでは、ありのままの自分で本来のパフォーマンスを発揮することや、ビジョンを共有したメンバーに権限を与えてリーダーシップを発揮することが不可欠ですが「リーダー自身の変化や成長にも目を向け、スキルを高めていくこと」がなにより重要です。

現状に満足してしまい、さらなる成長を妨げてしまうことがないよう、リーダー自身が志を高く持つこと、成長意欲を持ち続けることを意識しましょう。

そのためには、企業が組織のリーダーが振り返りのできる機会を設ける、最適な研修プログラムを導入するなど、いかにして「一人ひとりが持っている素質を認識し高められる場を提供するか」がポイントになります。

実践的なプログラムなどを活用しながら定期的に組織の目標と自身の目標の重なりを見出すこと、組織の課題に向き合うことで、あいまいになりがちな「自分らしいリーダーシップのスタイル」を見つめ直すことができます。判断軸がはっきりすれば、ぶれない価値観・倫理観に基づいた行動がとれるようになるでしょう。

まとめ

オーセンティックリーダーシップとは、カリスマ的なリーダーをまねるのではなく、自身の情熱や信念など、自分らしさに基づいた価値観・倫理観に従って組織をまとめることを意味する概念です。

VUCAの時代、リーダーとしての立場や自身のプライドにこだわらず、弱みをさらけ出し、ありのままの自分と周囲の信頼関係を構築する「新たなリーダーシップ像」として注目が集まっています。

オーセンティックリーダーシップに求められる特性は「目標・目的を明確に理解すること」「価値観・倫理観に基づいて行動すること」「真心や情熱を持ってチームをリードし、目標の達成を追求すること」「周囲と建設的で良好な信頼関係を構築し、支援し合えること」「価値観や倫理観を守るために自らを律し、常に学び続けること」の5つです。

また、オーセンティックリーダーシップを習得するためには「自身の特性・強みや弱みを理解すること」「弱みをチームのメンバーに開示すること」「メンバーと良好な関係を構築すること」「自身の行動を常に振り返ること」の4つを実行することが必要です。

VUCAの時代に求められるリーダーシップは、誰もが能力として身につけられます。リーダーシップのあり方について学び、棚卸しをする機会を設けることで、企業の目標達成や発展に欠かせないリーダーの育成を始めてみてはいかがでしょうか。