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地方自治体が抱える人材育成と研修の課題とは?【2021年度最新版】

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少子化による人口減少や大都市への人口集中、ライフスタイルの多様化などで社会情勢が大きく変化する中、地方自治体が担う行政サービスも新たな時代を迎えようとしています。
大規模で業務範囲も広い地方自治体が求める人材を確保・育成するには、今後どのような方策が必要になってくるのでしょうか。

この記事では、組織力の向上を目指すうえで課題となる地方自治体の人材育成と研修方法、これからの地方自治体に必要な方策について詳しく解説します。

目次

地方自治体の人材育成

労働人口の減少や首都圏への一極集中により、地方自治体を取り巻く環境は民間企業と同様に日々大きく変化しています。
地方自治体の人材育成は、今後ますます複雑化する課題に対応し、的確な行政サービスを提供していくためには急務といえます。

人材育成を進めるにあたり、まずは以下の2点を具体的に設定する必要があります。

これからの地方自治体に求められる職員とはどのような人材なのか
求める人材を確保・育成するにはどのような施策が必要なのか

そのうえで、現在抱えている組織ごとの課題を明確に把握し、これからの行政サービスに求められる人材の確保・育成をおこなっていきます。
地方自治体の人材育成では、組織が人材マネジメントの視点に立ち職員一人ひとりの能力を最大限に伸ばすこと、職員の自発的なキャリア形成を支援する取り組みや環境づくりを進めることがポイントとなります。

参考記事:総務省主催「地方公共団体における人材育成・能力開発に関する研究会」とは?

課題となっている人材育成と研修とは?

地方自治体の人材育成で優先的に進めていきたいのは、自発的なキャリア形成の支援や組織文化の変革、デジタル革新を担えるIT能力の開発です。
しかし、これらを進めるうえでは、組織の目標やビジョン、方向性を職員一人ひとりといかに共有していくかが課題となります。

民間企業は営業利益という明確な指標のもとで人材育成の結果を見える化しやすく、従業員個々の主体的なキャリア形成やモチベーション向上、適切な処遇(インセンティブ)につなげやすいといえます。
一方、地方自治体は一般的な企業とは異なり利益追求型ではないため、職員の貢献度が数値としては見えにくい側面があります。

地方自治体では人事管理による人材配置が難しい分、処遇の差もつけにくくなるため、組織が目指すべき成果を明確に設定することが重要です。
ここでいう「目指すべき成果」とは、研修制度の導入による職員のキャリア形成を指します。
デジタル化が進む行政サービスに対応できる専門性の高いITスキルや課題解決能力を身につけるために、今後は自治体向けのセミナーやオンライン研修などを積極的に取り入れることが大切になるでしょう。

参考記事:地方自治体のe-ラーニングはどこまで進んでいるのか?
参考記事:リスキリングで何を学ぶべきか?必要なスキルや企業が推進するための課題を紹介

地方自治体に必要な「人材マネジメント」と「DX」

これからの地方自治体には、人材マネジメント視点のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が必要になってきます。

▶︎経済産業省による「DX」の定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること


人材マネジメントのポイントは次のとおりです。

●人材確保
各自治体が求める人材像を明確に設定し、効果的な情報発信と広域的な採用をおこなう
●人材育成
自治体向けセミナーやオンライン研修など、組織内にさまざまな研修制度を導入する
●適正配置と処遇
研修制度と連携させ、職員一人ひとりの能力を最大限に活用できる配置と人事管理による定期的な処遇の見直しをおこなう
●職場環境の整備
テレワークの推進や主体的なキャリア形成の支援といった積極的な意識改革により、多様な価値観を持つ職員が働きやすい職場環境をつくる


人材マネジメントを成功に導くポイントは、これらの施策を連携し総合的に機能させることです。
まずは各自治体の実情に沿った中長期的な計画をつくり、人材マネジメントの体制化をはかります。その過程では外部の専門知識や技術、コンサルティングなどを積極的に取り入れ、DXを加速させることが重要です。

行政のデジタル化に対応するために、すでに職員のDXスキルの育成に取り組んでいる自治体もあります。
福井県では外部の民間企業によるオンライン学習サービスを導入し、最新のIT技術教育をおこなっています。
実践的で専門性の高い研修で職員の意欲を高め、個々のキャリア形成につなげています。

このように、職員に必要な研修の機会を設けたり、外部から専門的なアドバイスを受けたりするなど、組織改善と人材育成の両面でDX推進が大きな柱になっているといえます。
また、自治体が一丸となって実効性の高い施策に取り組むことで、さらなる組織力の向上にも期待が持てるでしょう。

参考記事:自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画の意義とは?デジタル化で変化する自治体
参考記事:地方自治体と民間企業が協力することで生まれた成功事例

まとめ

地方自治体の人材育成では、地域ごとの実情を踏まえ各自治体が抱える課題を明確にし、目標やビジョン、方向性を職員と共有すること、さらには職員の満足度を高めながら能力開発に取り組むことが重要です。
実効性を上げるためには、職員の目標や成果をいかに見える化できるかがポイントになります。

行政にもデジタル化の波が押し寄せる今、地方自治体の人材育成には総合的な人材マネジメント視点のDX推進が欠かせません。
デジタル化に対応する的確な行政サービスを提供するには、外部のコンサルティングや研修プログラムなどIT教育の機会を積極的に取り入れ、職員のDXスキルを育成していく必要があるでしょう。

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