Menu

【2023年最新版】ユニコーン企業とは?世界・日本の最新ランキングやユニコーン企業に匹敵する日本の成長企業も紹介

近年、世界中で次々と誕生している「ユニコーン企業」。創業間もないにもかかわらず、大きな成果をもたらしている有望なユニコーン企業は、未来の経済を牽引する存在として世界の国々や投資家から熱い注目を集めています。

世界的な不況の影響もあり、2022年より新しいユニコーン企業の数が減少しています。一方で、AI(人工知能)やEコマース、Fintech(フィンテック)などの分野では有望なユニコーン企業が続々と登場しています。

この記事では、ユニコーン企業の今昔や2023年4月時点での評価額ランキングとともに、アメリカの調査会社「CB Insights」のデータからみるユニコーン企業の行方について詳しく解説します。

目次

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業とは、創業10年以内にして10億ドル以上の評価額が付けられている非上場のベンチャー企業を指します。

スタートアップ、ベンチャーの世界とは、国によって環境は違えども生き残ることが厳しい世界です。その中で、創業から短期間で市場から10億ドル(1ドル110円として1,100億円)もの評価額を得る企業は非常にまれな存在であることから、伝説の一角獣である「ユニコーン」にたとえられてユニコーン企業と呼ばれています。

ユニコーン企業は上場後も大企業に成長していく可能性が高く、たとえばGoogle社、Facebook社(現・Meta Platforms社)などもかつてはユニコーン企業でした。

関連記事:ユニコーン企業とは?海外の最新情報とユニコーン企業の基準について解説

ユニコーン企業の定義

ユニコーン企業は、アメリカのカウボーイ・ベンチャーズの創業者にして、自身もベンチャーキャピタリストのアイリーン・リー氏が2013年に提唱した概念です。

具体的なユニコーン企業の定義は以下のとおり。

  • 起業して10年以内であること
  • 評価額10億ドル以上であること
  • 非上場(未上場)であること

これらの条件を満たさなければ、ユニコーン企業とは見なされません。たとえば、上場する、起業して11年以上になる、評価額が下がるなどユニコーンでなくなる企業も出てきます。一方、新たにユニコーンとなる企業も登場するため、ユニコーン企業の数は絶えず変動します。

デカコーン企業・ヘクトコーン企業との違い

ユニコーン企業の中で、評価額が100億ドルを超える企業は「デカコーン企業」、1,000億ドルを超える企業は「ヘクトコーン企業」と呼ばれています。この呼び名は「ユニ」が1、「デカ」が10、「ヘクト」が100を意味することに由来します。

デカコーン企業はユニコーン企業の10倍、ヘクトコーン企業はユニコーン企業の100倍の評価額を得る企業なので、希少性は一層高くなります。

ヘクトコーン企業は、2023年4月時点で「TikTok」を運営する中国のテクノロジー企業である ByteDance社、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発ベンチャー企業のSpaceX社、中国企業が母体の越境アパレルEC企業のSHEIN社の世界で3社しか存在しません。

関連記事:注目されるデカコーン企業の最新情報と日本の現状とは

ゼブラ企業とは?

ゼブラ企業(Zebras)とは2017年に米国女性起業家たちが提唱した概念です。「ゼブラ」は動物のシマウマを意味し、ゼブラ企業はシマウマの白黒模様のように「企業利益の追求」と「社会貢献」という2つのテーマを両立させる企業を指します。

ユニコーン企業には評価額10億ドル以上、未上場といった基準がありますが、ゼブラ企業には明確な基準や定義はありません。あくまで「持続可能なビジネスモデル」「社会的な貢献」「倫理的な運営」を軸にして経営する企業の総称です。

しかし、近年の株主資本主義への批判、SDGsの広がりもあり、ゼブラ企業はユニコーン企業のアンチテーゼ的存在としてZ世代や一部投資家から注目されています。

NEXTユニコーンとは?

「NEXTユニコーン」とは、日本経済新聞社が独自の基準で選定した、ユニコーン企業になれる可能性を秘めた有力スタートアップ企業のことです。2017年以降、毎年、分野別に企業ランキングが公表されています。

ユニコーン企業の企業評価額の基準よりもハードルは低く、NEXTユニコーン企業の場合は企業価値100億円以下の企業も含まれます。

「2022年版のNEXTユニコーン企業」で発表されたユニコーン企業は172社で、前年よりも企業価値100億円以上の国内企業が2割増加しました。SaaSや製薬・医療機器の分野の企業、AIや研究開発型スタートアップが多くランクインしています。

ユニコーン企業の今昔

前述のように現在は上場しているFacebook社(現・Meta Platforms社)やGoogle社もかつてはユニコーン企業として名を連ねていました。ユニコーン企業の概念が提唱された2013年当時は、ユニコーン企業の基準を満たしていた企業はわずか39社だけでした。

しかし、世界のユニコーン企業数はここ数年で急増しています。アメリカの調査会社「CB Insights」のデータによると、2017年には269社、2018年には385社、2019年には491社、2020年には563社、2021年には832社、2022年には1,080社となり、2023年4月時点では1,200社以上に増えています(CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」より)。

特に、AI(人工知能)やEコマース、Fintech(フィンテック※)などの領域でユニコーン企業の増加が顕著です。
※金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語

用語解説「フィンテック(Fintech)」| 組織・人材開発のHRインスティテュート

世界のユニコーン企業ランキング

2023年4月時点における世界のユニコーン企業ランキングは下表のとおりです(CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」より)。

順位企業名評価額 (10億米ドル)追加年業種
ByteDance2252017中国AI
SpaceX1372012アメリカ宇宙開発
SHEIN1002018中国Eコマース・D2C
Stripe502014アメリカFintech
Canva402018オーストラリアインターネットソフトウェア・サービス
Checkout.com402019イギリスFintech
Revolut332018イギリスFintech
Epic Games31.52018アメリカゲーム
Databricks312019アメリカデータ分析・管理
Fanatics312012アメリカEコマース・D2C
11Chime252019アメリカFintech
12OpenAI202019アメリカAI
13Xiaohongshu202016中国Eコマース・D2C
13J&T Express202021インドネシアサプライチェーン
16Miro17.52022アメリカインターネットソフトウェア・サービス
17  Yuanfudao15.52017中国Edtech

評価額が最も高いユニコーン企業は前年と変わらず中国のByteDance社でした。2位もアメリカのSpaceX社と、前年と同じ顔ぶれとなりました。

3位には、中国のSHEIN社がランクインしました。上述の通り、コロナ禍の閉塞感を打ち破る事業を手がける中国・アメリカの3社が、評価額1,000億円を超えるヘクトコーン企業として君臨しています。

4位はオンライン決済サービスを提供するアメリカのStripe社です。8位にはオンラインゲーム「フォートナイト」などのゲーム開発を手がけ、ソニーが出資していることでも知られるアメリカのEpic Games社が入りました。

ニューノーマルな時代を支える事業を展開している企業が数多くランクインしており、中でもFinTech企業の存在感が大きいことが見受けられます。また、アメリカや中国をはじめとする経済大国の企業が多いものの、近年はインドネシアといった新興国の企業も台頭しています。

ユニコーン企業に発展するために必要な考え方

スタートアップがユニコーン企業を目指す際に必要な考え方を3点ご紹介します。

①リアルタイム性(即時性)の重視

ユニコーン企業の特徴にリアルタイム性があります。情報共有が徹底されているため、社内の一部で情報がとまったり、役職などの階層によって情報が限定的になったりすることが少なく、誰もが最新の情報にアクセスすることができます。そのため、チャンスをいち早く掴み、危機に対しての対応を速やかにとるなど即時性に富んでおり、さらに成長していきます。

このようなリアルタイム性を企業に定着させるためには、ITツールなどを活用し情報をできるだけオープンに開示していく姿勢が必要です。

②自動化の推進

ユニコーン企業は、業務の自動化推進に熱心です。近年のようにAIツールが劇的に進歩していると、これまで人手でおこなっていた作業の多くが自動化でき、コストや時間を大幅に削減できます。

ユニコーン企業は若者が多くITとの親和性が高いため、自動化の推進によって大手企業よりも効率的な業務プロセスを構築しています。自動化の推進は、効率化だけでなく人的ミスを防ぐ効果もあるので、ユニコーン企業を目指す上で必須といえるでしょう。

③事業拡大への準備

企業が急成長するときには、しばしば社内の既存システムが障害となります。ユニコーン企業を目指すのであれば、初期の段階から事業規模の拡大に備えて柔軟な対応がとれるように準備しておく必要があります。

大きな設備投資はさけ、小さくスタートして段階的にスケールできるクラウドシステムなどを活用し、システムが負債にならないようにしておきましょう。ベンダーを選ぶ際も、単純に価格で選択するのではなく、API連携ができるかなどエコシステムを重視して選ぶことが大切です。

世界でユニコーン企業が増えている理由

近年の世界的不況により増加ペースが鈍化したとはいえ、なぜユニコーン企業が増えてきたのでしょうか?理由を考察します。

理由①:資金調達の多様化

近年、米国を中心に海外ではスタートアップをとりまく資金調達環境は大きく変化しています。潤沢なベンチャーキャピタル資金、プレ IPO 投資家層の拡大、クラウドファンディング・プラットフォームや、非上場株セカンダリー取引プラットフォームの台頭など、資金調達方法が多様化しました。

ベンチャー企業、スタートアップ企業の生命線は資金が続くかということにかなり影響されます。これまでは多くのイノベーター企業が商品開発力や人材力ではなく資金が続かないことにより廃業を余儀なくされていました。しかし、起業をとりまくエコシステムが整ったため、事業を大きく成長させることが容易になっています。

理由②:IT技術の進展

2000年以降、IT技術は急速に進化し続けています。一昔前であればインターネットやSNS、クラウドシステム(SaaS)。昨今であればChatGPTに代表されるAIやドローン、自動運転技術などの技術は、これまでの産業構造を一変させ、社会を大きく変える力を持ちます。

しかも、インターネットの普及やクラウドサービスの発展により、初期投資は比較的低くなっており、また、IT産業は短期間で飛躍的な成長を遂げる可能性が高いためベンチャーキャピタルにとっても魅力的な投資対象となります。将来性を見込まれて市場からの評価額が高くなっているため、結果的にユニコーン企業が増加しているのです。

ユニコーン企業に投資するための方法 

ユニコーン企業は、ベンチャーキャピタルや機関投資家から資金調達をおこなうことが一般的なため、個人投資家が株式マーケットでユニコーン企業に投資することはできません。ただし「株式投資型クラウドファンディング」という手法を活用すれば、投資することが可能です。

株式投資型クラウドファンディングとは、非上場企業が株式をインターネット経由で多くの投資家から少額ずつ資金調達するシステムです。個人投資家でも1社あたり5万円程度から投資することができます。

データからみるユニコーン企業の行方

アメリカや中国を中心に、新興国も含め世界中で増え続けているユニコーン企業。ここでは、ユニコーン企業の「国・地域別分布」や「業種別分布」のデータをもとに、今後のユニコーン企業の行方について解説します。

ユニコーン企業創出に向け各国の支援が加熱

2023年4月時点において、CB Insightsに「ユニコーン企業」として認められている企業の国・地域別分布を下表にまとめました(CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」より)。

2017201820192020202120222023
アメリカ4181126191492554653
中国 (香港含む)5495119131178180176
ヨーロッパ14264455119139159
アジア・太平洋10183247123141160
北米 (カナダ)0001161928
中南米25913272923
アフリカ2222447

国・地域別の分布を年代ごとに見ると、2010年代後半はアメリカと中国の二大国が目を引くものの、2020年以降はアメリカ・中国以外の地域でもユニコーン企業が急増していることがわかります。その背景には、ベンチャーキャピタルの発展によって資金を集めやすくなったこと、以前よりも資金調達の方法が多様化してきていることなどがあります。

また、インド・韓国・シンガポールなどのアジア諸国や、ブラジル・チリなどの中南米諸国、フランスなどのヨーロッパ諸国では、国を挙げてユニコーン企業創出のためのスタートアップ支援に力を注いでいます。

たとえば韓国では、2021年に過去最大規模の投資をおこないました。創業間もないスタートアップ企業を対象に政府による大規模投資で手厚く支援した結果、ユニコーン企業が韓国国内で続々と生まれています。さらに、自国のユニコーン企業を育てることは、韓国で社会問題となっている若者の就職難の解消にも寄与する取り組みといえます。

巨額の利益を生み出す可能性を秘めたユニコーン企業を創出すべく、世界ではさまざまな支援がおこなわれ、スタートアップ企業の成長を後押ししているのです。

ユニコーン企業は、ポストコロナの経済を牽引する存在として期待を集めています。2022年以降は鈍化傾向にありますが、政府によるスタートアップ支援の拡充は世界各国に広がっていくと予想され、ユニコーン企業の数は今後も一定ペースで増え続けると考えられます。

関連記事:【2022年最新版】日本のネクストユニコーン企業ベスト5を紹介!

「FinTech」「インターネットソフトウェア・サービス」の隆盛は続く

2023年4月時点において、CB Insightsに「ユニコーン企業」として認められている企業の業種別分布を下表にまとめました(CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」より)。

2017201820192020202120222023
FinTech10204156193222256
インターネットソフトウェア・サービス1125385817620222
Eコマース・D2C25294157104111108
AI8213538748392
ヘルスケア8151827687397
サプライチェーン・物流管理・配送3142224495766
サイバーセキュリティ34815424958
データ管理・分析361016374145
モバイル・通信13192331373939
ハードウェア8171718323440
自動車・輸送3142025293134
EdTech8101115272831
小売8141718252530
旅行371010131414
その他9122132535768

ユニコーン企業の業種別分布を見ると、2020年から2021年にかけて多くの業種で急増していることがわかります。特に「FinTech」「インターネットソフトウェア・サービス」は3倍以上も増えている状況です。
2020年から2023年にかけて特に増えている業種は以下のとおりです。

  • FinTech
  • インターネットソフトウェア・サービス
  • Eコマース・D2C
  • AI
  • ヘルスケア
  • サプライチェーン・物流管理・発送
  • サイバーセキュリティ
  • データ管理・分析

FinTech分野は、ユニコーン企業評価額ランキングにおいてもっとも多くランクインした業種で、およそ5社に1社を占めます。FinTechは金融分野にIT技術を融合させた比較的新しい事業領域であり、金融サービスに新たな価値をもたらす先進テクノロジーとして注目されています。

次いで、インターネットソフトウェア・サービス、Eコマース・D2C(消費者直販)、AI、ヘルスケア(健康)の順となっています。中でも経済活動の円滑化に寄与しているFinTechおよびインターネットソフトウェア・サービスの成長は2023年に入ってからも衰えることなく、両者の隆盛は今後もしばらく続くと見込まれます。

日本のユニコーン企業ランキング

2023年4月時点の日本のユニコーン企業ランキングは以下の6社です。

順位企業名評価額 (10億米ドル)追加年所在地業種
Preferred Networks2.02018東京AI
スマートニュース2.02019東京モバイル・通信
SmartHR1.62021東京Fintech
Spiber1.222021岩手バイオ
プレイコ12020東京ゲーム
Opn12022東京Fintech

日本のユニコーン企業のトップ2社のうち、1社はAI開発やディープラーニングに関する研究を行うPreferred Networks社。交通システムと製造業、バイオ・ヘルスケアを重点事業領域として、トヨタやファナックなどの国内大手企業と提携しています。

もう1社はモバイル・通信系のスマートニュース社です。各ニュースメディアと連携し、話題のニュースをアプリ上で読めるスマートフォン向けのアプリケーションを提供しています。

そして、3位にはSaaS型の人事労務ソフトを提供するSmartHR社がランクイン。勤怠管理と給与計算を連携させて労務管理をペーパーレス化、人事労務分野の効率化で支持されています。

4位にはバイオ分野のSpiber社が続いています。Spiber社は、環境負荷低減や循環型社会の実現に貢献し得る素材と目される構造タンパク質「Brewed Protein(ブリュード・プロテイン) ™」素材を開発、山形県鶴岡市に本社を置く企業です。

最後の2社はゲーム分野のプレイコ社とフィンテック企業のOpn社が同額評価です。プレイコ社は、スマホなどデバイスへのアプリダウンロードなしで、世界中の誰とでも何人とでもすぐにプレイできるインスタントプレイゲームのプロデュースおよび開発に特化しています。

また、Opn社は日本、東南アジア、米国に拠点を構え、ワンストップのオンライン決済ソリューションとデジタル・トランスフォーメーション・ソリューションを専門とし、世界中で数千を超える加盟店にサービスを提供しています。

関連記事:日本国内のユニコーン企業を徹底解剖!見えてきた共通点と強みとは

ユニコーン企業に匹敵する日本の成長企業

日本は米国に比べるとユニコーン企業が少ないといわれます。これは、日本で成功したスタートアップ企業の多くが「上場」を選択することが影響しているでしょう。たとえば、メルカリも上場したため「未上場」というユニコーン企業の条件から外れました。

そもそも日本と米国ではスタートアップの環境が違います。日本ではスタートアップの資金調達の選択肢が米国よりはるかに限定される一方、株式公開のハードルは低く上場を目指しやすい土壌があります。

実際、ユニコーンではないものの評価額10億ドルを達成したスタートアップも多く「隠れユニコーン」と呼ばれています。株式会社マネーフォワード、Sansan株式会社などはその代表格です。

日本でユニコーン企業が少ない理由

米国、中国などに比べると圧倒的に少ない日本のユニコーン企業数。なぜ、飛躍的成長を遂げるスタートアップ企業が日本では少ないのでしょうか?

理由①:起業家を志す人が少ない

そもそも日本では起業を志す人が少ないという根本的な理由があります。

起業活動が国家経済に及ぼす影響について調査した「起業家精神に関する調査 (GEM調査)」によると、総合起業活動指数(以下、TEA)のデータで日本は6.5 と他国と比較して非常に低い水準となっています。

日本では新卒の一括採用が主流であり、同じ会社に長く勤めることが有利になる制度や慣行が中心でした。この結果、起業に対するインセンティブが小さくなります。また、日本の場合、一度失敗するとリカバリーが難しいことも挙げられるでしょう。

経済産業省が2022年に第4回産業構造審議会において公表した資料(事務局説明資料 (スタートアップについて))によると、現役の起業家が「日本で起業が少ないと考える原因」のトップに「失敗に対する危惧(再チャレンジが難しい等)」を挙げています。創業者は金融機関からの資金調達の際に個人保証をとられることが、いわば当たり前の社会であり、リスクが大きいことも理由のひとつだと考えられます。

理由②:スタートアップに対する資金供給が少ない

近年はかなり改善されてきたものの、スタートアップに対する資金供給が少ない点も原因のひとつです。未上場株式に関連する取引市場などの制度が海外に比べれば未整備です。内閣府が2022年に公表した資料スタートアップ・エコシステムの現状と課題)では、ベンチャーキャピタルによる2021年の調達額は、米国では36兆円、中国では14兆円ほどですが、日本は年間8,000億円程度にすぎません。

加えて、日本経済新聞2021年度の調によると、スタートアップへの投資額は実に米国の100分の1の規模です。この観点で考えれば米国にユニコーン企業が何百社もある一方、日本では6社というのもむしろ自然な結果かもしれません。

理由③:少子高齢化により労働力が不足している

急速な少子高齢化の進行により労働力不足が顕著となり、スタートアップ企業に限らず人材確保が困難を極めており、特にIT人材は取り合いの状況です。

昨今は大手企業が優秀なエンジニアに高額な年俸を提示するケースも増えています。ベンチャー、スタートアップにとって優秀な人材を採用するハードルは高くなっており、優秀な人材の確保が困難なこともスタートアップが成長しづらい理由でしょう。

また、人口減少に伴い市場の縮小もスタートアップ企業の成長を阻害する要因となっています。

関連記事:ユニコーン企業とは?日本に数が少ない根本的理由と世界で戦えるユニコーン企業を生み出すポイント

ユニコーン企業創出に向けた国内での取り組み

しかし、このような現状に国も手をこまねいていたわけではありません。ここでは、経済産業省主導の「J-Startup」、経団連による「スタートアップ躍進ビジョン」について、ユニコーン企業創出に向けた取り組みについて紹介します。

J-Startup

2018年6月に「J-Startup」が経済産業省主導でスタートし、潜在力がある企業を選び、集中的に支援をおこなう仕組みが整えられました。

「企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業を2025年度までに50社創出」を目標として掲げ、2019年度末時点では16社を達成しました。2021年からはスタートアップ企業を追加するとともに、地域の有望スタートアップ企業の重点支援も始めています(成長戦略フォローアップ 令和2年 7月17日)。

また、2021年には短期間での投資回収が難しいディープテック企業向けの「債務保証制度」をはじめ、さまざまな支援策も打ち出し、アーリーステージからレイターステージまでのスタートアップのエコシステムを強化しています。

2018年以降の投資が、今後成果につながることも十分期待できるでしょう。

スタートアップ躍進ビジョン

経団連による取り組みであり、2027年までにスタートアップの数を10倍の10万社にし、ユニコーン企業の数を10倍のおよそ100社にするという目標を掲げています(スタートアップ躍進ビジョン)。法人設立手続きの簡素化や大企業によるM&A(合併・買収)の推進、海外人材の誘致などまで盛り込んだ内容です。

ユニコーン企業へと発展するために必要なことは?

ここでは、スタートアップがユニコーン企業へ発展していくために必要なポイントを解説します。

普遍的な社会課題への取り組み

企業は何かしらの課題を解決することで事業を成り立たせています。ユニコーン企業のような急成長をとげるには、社会に広く存在する普遍的な課題を解決し、莫大な数の人に支持される必要があります。

インターネットの黎明期、現在のようなAIの黎明期は、世界中の人が同じようなニーズを持つため、普遍的な課題に対応することで事業を成長させやすいタイミングでもあります。日本でも、ヘルスケアやモビリティーなどの領域で普遍的なサービスを提供するスタートアップが増えています。

グローバルな事業展開

ユニコーン企業になるためには「世界規模で展開できる」という必須条件があります。
そもそも日本は人口が減少しています。世界で日本語を話す人は2%以下でしかありません。ユニコーン企業になるためには、国内市場だけではほぼ不可能であり、グローバルな事業展開が必須だといえるでしょう。

昨今は翻訳、通訳ツールも格段に進化しています。言語のハードルも低くなっているため、設立当初からグローバル市場を視野に入れて事業計画を立てましょう。

投資家からの理解

日本の投資家にとって、投資のゴールは多くの場合「上場」です。早くイグジットしてもらい早く利益を得たいというのは、投資家にとって当然のマインドだといえます。

しかし、ユニコーン企業を目指す場合は、長い期間未上場であり続けIPOを急がずに評価額が上がるまで待つ必要があるため、投資家の期待とずれてしまう可能性があります。

投資家の価値観・目的もさまざまなので、ユニコーン企業を目指すならピッチの段階からその旨をきちんと説明し、理解ある投資家を得る必要があるでしょう。

ユニコーン企業で働くイメージ

ここでは、ユニコーン企業の収入、働く環境などについて解説します。

収入

日本経済新聞の「NEXTユニコーン調査(2022年)」では、スタートアップの平均年収が上場企業の450万円を上回り、650万円に達しています。一般にスタートアップは低収入ですが、ユニコーンを目指せるレベルの企業になると、企業価値の高騰に伴い給与も高騰していることがわかります。

ユニコーン企業を目指す企業は、先端テクノロジー分野に多いため、高収入でないと人材獲得が難しいことも理由でしょう。しかし、働く側の目線では収入面は恵まれているといえそうです。

働き方

ユニコーン企業は大企業と違い、一般に少数精鋭であり仕事はハードです。一人が任される仕事の量は多く、裁量権が大きく、責任もあります。指示待ちではなく自分で考えて動ける人に向いている職場環境だといえるでしょう。その代わり、大企業とは違い実力があればスピード出世できる可能性があります。

規模が小さいので経営者とのコミュニケーションがとりやすく、企業としての意志決定も速く、スピード感をもって仕事を進めることができます。

自己成長

急激に成長していくユニコーン企業では、従業員も常に成長を求められます。丁寧に教えられる環境ではないので、体験しながら学んでいく必要がありますが、事業を急成長させるノウハウ、ヒット商品の作り方、立ち上げ期のマーケティングなどさまざまなことを学ぶことができるでしょう。

優秀な経営者から学べることはもちろん、従業員にも起業を目指すタイプが多いので刺激的であり成長の後押しが期待できます。また、ユニコーン企業で働いた経歴は、転職市場においてアピールポイントになります。

ストックオプション

ストックオプションとは、会社の従業員や経営陣が、決められた期間に決められた価格で自社株を購入できる権利です。ストックオプションの権利を行使した従業員は、購入した株式を株価が上昇したタイミングで売却し、利益を得ることができます。

ユニコーン企業の場合、株価がかなり上昇するため、確率的には低いもののストックオプションによって資産家が生まれるケースもあります。ストックオプションがあることは従業員のモチベーションにもつながります。

まとめ

その希少性の高さから伝説の生き物にたとえられ、かつてはFacebook社(現・Meta Platforms社)やTwitter社(現・X社)も名を連ねていた「ユニコーン企業」。提唱された2013年当時はわずか39社だったユニコーン企業も、ここ数年の間に世界中で急増し、2023年4月時点で1,200社を超えています。アメリカ・中国といった大国のみならず、世界中で大きく数を伸ばしています。

近年はさまざまな業種のユニコーン企業が誕生していますが、とりわけ「AI」「FinTech」「インターネットソフトウェア・サービス」などの分野における勢いは目覚ましく、ユニコーン企業を通して社会が大きな転換点を迎えていることがうかがえます。

日本でも2018年以降国を挙げてスタートアップを支援しており、2022年には岸田政権が「スタートアップ創出元年」と位置づけたことから、これまで以上に力を入れることが期待されます。ユニコーン企業を業種別に分析すると、これからの日本や世界で成長が期待され業種が見えてくるでしょう。

関連記事

記事一覧
おすすめ記事
ページトップへ
©2021 HR Institute Inc.