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スタートアップの意味とは?特徴やベンチャー企業との違いを解説

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ビジネスシーンにおいて「スタートアップ」という言葉を見たり聞いたりしたことのある方は多いでしょう。しかし、単語のイメージから「起業したばかりの会社」となんとなくの意味を捉えがちですが、それはスタートアップの正しい意味ではありません。

この記事では、スタートアップの意味や特徴、ベンチャー企業との違いについて詳しく解説します。

目次

スタートアップの意味とは?

ビジネスにおけるスタートアップとは、外部環境の急激な変化やリスクをいとわず、革新的なビジネスモデルで急成長を図る組織を指します。世界的なIT企業が集まるアメリカのシリコンバレーで使われ始めた言葉で、始動・開始を意味する英単語の「startup」に由来します。

スタートアップの条件には、革新的なアイデアで新規の事業を開拓し、高い成長率を継続していることが挙げられます。技術革新を武器に成長するテクノロジー系の企業が多いのが特徴で、設立年数や組織の規模に制限はありません。そのため、スタートアップと聞いてイメージしがちな「起業したばかりの会社」や「まだ規模が小さい会社」という解釈は正しいとはいえないでしょう。

スタートアップとして有名な会社には、民間企業として初めて有人宇宙旅行を成功させた「SpaceX」や、ライドシェアとフードデリバリーを世界規模で展開する「Uber」などがあります。日本に目を向けると、フリマアプリを運営する「メルカリ」、スマホ向けニュースアプリを提供する「スマートニュース」などがスタートアップ企業です。

スタートアップが広まった背景には、インターネットの普及とITによる技術革新があります。経済産業省では、スタートアップの新しい技術やアイデアが今後の経済成長の鍵になるとの考えから約70ものスタートアップ支援を設けており、今後も日本のスタートアップ企業は増加していくと考えられます。

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スタートアップ企業の特徴

スタートアップ企業の特徴には、主に以下の5つが挙げられます。

●イノベーションによる課題解決を図る
スタートアップの最大の特徴は、革新的な手法で新たな価値を創造する「イノベーション」にあります。これまでになかった新しいビジネスモデルで急成長を図るために不可欠なもので、イノベーションにより社会や顧客が抱える課題を解決すること、また新たな市場を創造し受け入れられることがスタートアップの成功につながります。このことから、スタートアップは社会貢献を目的とするケースが多いのも特徴です。

●拡張性が高い
企業のプロダクトが本来持つ機能に加え、付加的な機能を追加したり性能を向上させたりすることで、より機能を高められる「拡張性」が高い点もスタートアップの特徴に挙げられます。スタートアップでは、中核となるビジネスに大きな変更をおこなわず、リソースの追加によって事業の拡大や顧客の変化に適応し、企業の成長を図っています。

●成長曲線がJカーブを描く
短期での成長を目指すスタートアップは、事業開始後の数年は赤字になりやすいものの、その後の急成長によって黒字転換し累積損失を回収する傾向があります。そのため、スタートアップの成長曲線はアルファベットの「J」のようなカーブを描きます。製品の開発や課題の仮説検証の段階で資金が尽きると事業を継続できなくなるため、その場合は新たに資金調達をおこなったり、顧客をつけて売上を確保したりすることが一般的です。

●投資による資金調達をおこなう
金融機関から融資を受ける一般的な資金調達とは異なり、スタートアップでは個人投資家やVC(ベンチャーキャピタル)からの投資により資金調達をおこないます。投資家やVCに株式を交付し資金を調達する「エクイティファイナンス」に返済義務はありません。しかし、彼らの出資に見合ったリターンを出すにはIPO(新規上場)やM&A(合併買収)が必要となるため、事業成長にかけられる出資者からの期待とプレッシャーは大きいといえます。

●ゴールはIPOかM&A
スタートアップの目的は、出資者が株式売却により利益を得て投資資金を回収する「イグジット」を短期間で達成することです。イグジットをおこなう際にとられる手法が、証券取引所に株式を上場させる「IPO」か、株式や事業を売却する「M&A」であり、これらがスタートアップのゴール・出口戦略といえます。創業した当初から明確な出口戦略を決めておくことは、投資家やVCからのスムーズな資金調達を実現するうえでも重要となります。

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スタートアップ企業とベンチャー企業の違い

スタートアップと同じような意味で用いられる言葉に「ベンチャー」があります。

ベンチャーとは、新しいサービスやビジネスを展開しながらフットワークの軽い経営をおこなう、小規模から中規模程度の企業をいいます。スタートアップが英語に由来する一方、ベンチャーは「ベンチャービジネス」から派生した和製英語です。

スタートアップとベンチャーの最も大きな違いは「ビジネスモデル」にあります。スタートアップが新しいビジネスモデルを構築し、新規の市場を開拓するイノベーションに挑戦しているのに対し、ベンチャーは既存のビジネスモデルや市場をベースに独自の方法で収益性を高め、売上拡大を目指しています。

また、収益性と成長スピードにも明確な違いが見られます。急激な成長と大きなリターンでJカーブの成長曲線を描くスタートアップに対し、早期の黒字化と着実な成長を目指すのがベンチャーです。スピード感ではスタートアップに劣るものの、プロダクトが完成するまでの「死の谷(Valley of Death)」と呼ばれる赤字期間のリスクはベンチャーの方が低いといえます。

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今後、期待されるスタートアップ企業とは

これからの成長が期待されるスタートアップには、その希少性の高さから幻の生き物に例えられる「ユニコーン企業」が挙げられます。ユニコーン企業とは、以下の条件をすべて満たしている企業を指します。

・創業10年以内であること
・評価額10億ドル以上であること
・未上場であること

そして、そのなかでも特に期待されるのが「ネクストユニコーン」と呼ばれる企業です。
ネクストユニコーン企業とは、ユニコーン企業の条件の一つである「評価額10億ドル以上」には達していないものの、事業の革新性が評価されている価値の高い企業のことです。

ユニコーンと同じくテクノロジー系の企業が中心で、日本のネクストユニコーン企業は「AI」と「業務用SaaS」が二大分野となっています。政府によるスタートアップ創出支援の強力な後押しもあって、革新的な事業を展開するネクストユニコーン企業は日本でも多く育っており、今後の成長が大いに期待されています。

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スタートアップ企業で働くメリット・デメリット

企業の運営・発展に欠かせない存在の社員にとって、スタートアップ企業で働くことにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

●メリット:裁量が大きくやりがいを感じられる
スタートアップは少数精鋭のメンバーで構成されるため、人間関係の風通しがよく、迅速な意思決定ができることがメリットです。社員一人ひとりに与えられる裁量が大きく、企業の急成長を当事者として体感できることから、仕事へのやりがいを感じられるでしょう。

成果報酬の一環として、社員が自社株を購入できる権利「ストック・オプション」を導入しているスタートアップもあり、株価が上昇すれば売却時に大きな利益を得られることもメリットに挙げられます。

●デメリット:対価が見合わない可能性や損失のリスクがある
企業としての安定性が低いスタートアップでは、高い水準の給与や福利厚生は期待できません。企業の急成長のために長時間労働が必要になる場合もあり、労働に対して対価が見合わないと不満に感じる可能性があります。

また、社会に新たな価値を提示し大きな利益の獲得を目指すスタートアップの特性上、世の中に受け入れられなかった場合の損失は大きくなります。スタートアップの9割は5年以内になくなるともいわれており、これらのリスクを想定したうえで、スタートアップで働くかどうかの選択をする必要があります。

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まとめ

スタートアップはアメリカのシリコンバレーで使われ始めた言葉で、革新的なビジネスモデルで急成長を図る組織を指します。

イノベーションによる課題解決を目指し、J字型の成長曲線を描くのが特徴で、これらは既存のビジネスモデルをベースに安定した成長を目指すベンチャーとは異なる点です。創業後数年は赤字期間があっても、将来的には大きな利益が期待できるという理由で投資家からの注目も集めています。

スタートアップの自由な発想や事業展開は、他の企業にとっても新規事業を考えるうえでの参考になるでしょう。創業から短期間で大きな成果を出しているユニコーン企業・ネクストユニコーン企業も含め、今後期待される新たな分野や経済のトレンドについて知りたいときは、スタートアップに注目してみてはいかがでしょうか。

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