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SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」女性活躍を推進する企業の取り組み

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2030年までに達成すべき国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)。持続可能な社会の構築を目指し、17の目標(ゴール)と169のターゲットから構成されていますが、中でも重要視されているのが目標5「ジェンダー平等」の達成・実現です。性別にかかわらず誰もが自身の能力を最大限発揮できる社会をつくるために、喫緊の課題解決が求められています。

この記事では、SDGsの目標5とは具体的にどのようなものなのか、実現するためのターゲットや日本の現状、目標達成に向けた日本企業の取り組み事例をご紹介します。

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目次

SDGsの目標5とは?

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられ、2030年までに世界が達成すべき目標となったSDGs。人々が地球環境を守り、豊かに暮らしていくための社会的基盤を構築する「17の目標(ゴール)と169のターゲット」から構成されています。

SDGsの目標の中でも日本における優先課題として位置付けられているのが、目標5に掲げられた「ジェンダー平等」への取り組みです。目標5では「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」というテーマのもと、女性に対するあらゆる差別の撤廃と平等な機会の提供を目指しています。

●ジェンダーとは?
ジェンダー(gender)とは、社会的・文化的な役割の違いによって形成された性別の概念です。具体的には「女性らしさ、男性らしさ」というような先入観によってつくられる意識や、刷り込まれている社会的な性別のイメージを指し、男女の身体的・生物学的な違いによる性別とは区別されます。

●ジェンダー平等の実現とは?
ジェンダー平等とは、性別に基づく偏見や不平等をなくし、一人ひとりが自身の個性と能力を十分に発揮できる社会をつくることです。個々の人権を尊重しながら責任、権利、機会を分かち合い、性別の差別がない未来を目指すこと、そしてすべての人が社会的に平等な世界を構築することが「ジェンダー平等の実現」です。

表:ジェンダー平等を実現するために設定された9つのターゲット

出典:農林水産省『SDGsの目標とターゲット

これからの社会の発展には、女性の社会進出・地位向上を含めた「すべての人が自身の能力を最大限発揮できる持続可能な社会を築くこと」が欠かせません。企業においても、性別で差が生じている雇用条件の撤廃やセクハラ対策の強化などをおこない、女性の参画が遅れている管理職の指導的地位については、女性が十分に活躍できるようなポジティブ・アクション(機会均等)を実現することが重要です。

今後は女性の管理職やリーダーを育成するプログラムの導入はもちろん、一人ひとりが描くライフプランに合わせたキャリア構造を支援する取り組みも積極的におこなう必要があるでしょう。SDGs目標5の達成には、企業による女性活躍の推進、そして誰もが差別を感じることなく安心して自身のキャリアを磨ける環境の構築が不可欠です。

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日本における現状とジェンダーギャップ指数

2021年3月に世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が公表した「ジェンダーギャップ指数2021」によると、日本の順位は156か国中120位でした。前回(2020年)の153か国中121位とほぼ横ばいで、日本の男女格差は先進国の中で最低レベルという状態が続いています。

表:ジェンダーギャップ指数(2021年)上位国及び主な国の順位

出典:内閣府男女共同参画局『「共同参画」2021年5月号

日本でジェンダー平等の実現にネックとなっているのは「経済・政治」の分野です。

同レポートによると、日本における国会議員の女性の割合は9.9%、管理職の女性の割合は14.7%でした。さらに、女性がパートタイムの職に就いている割合は男性のほぼ2倍、平均所得は男性より43.7%低いという現状です。

性別の差別がない社会の実現は先進諸国を含む世界共通の目標であり、各国の企業がジェンダー平等に向けた努力を加速させています。日本としてもいま一度、職場における無意識のバイアスがないかを見直すなど、ジェンダー平等への取り組みを整理する必要があるでしょう。

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女性活躍を推進する日本企業の取り組み事例

ジェンダー後進国ともいわれる日本においても、女性活躍を推進する施策を強化し、SDGsの実現に向けて取り組みを促進している企業は少なくありません。具体的にどのような施策を講じているのか、ジェンダー平等に取り組む日本企業の事例を3社ご紹介します。

●事例1/富士通
富士通グループでは「公正と平等を重んじ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進」するという考えに基づき、社内活動のみならず、社会にポジティブなインパクトをもたらすことを目指しています。

同グループは「リーダーシップレベルにおける女性社員比率の増加」を目標に掲げ、企業文化の変革を推進し、女性の長期的なキャリア継続の支援を目的とした「女性リーダー育成プログラム」を策定・実施し、女性幹部社員の比率を年々上昇させています。

また、女性社員向けのキャリアワークショップでは、外部講師による社内啓発や経営幹部とのディスカッション、複数のロールモデルとの対話を実施するなど、女性社員自身による先入観の払拭やキャリアの選択肢拡大、上位ポジションに必要な広い視野の獲得を図っています。

さらに、仕事とプライベート(出産・育児、介護など)の両立支援施策として、テレワークの導入やコアタイムなしのフレックス勤務体制の拡充などをおこない、社員一人ひとりが働きやすい勤務体制を整備しています。

参考:富士通株式会社『ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

●事例3/コーセー
コーセーグループは「ジェンダーにとらわれずに活躍できる社会への貢献」をテーマに、女性活躍のための3つのステップ「両立支援(制度整備)」「活躍支援(風土づくり)」「登用支援(育成・強化)」を設定しています。

同グループでは、子育て世帯の父母が職場で活躍できるよう長時間労働を削減し、安心して働き続けられる環境づくりをおこなっています。女性社員への支援に加え、男性育児休業制度の導入もおこない、2020年度には「コーセーイクパパサポート制度」を構築しました。育児休業を取る男性社員には支援金を給付するなど、男性育児休業の取得を促す独自の取り組みを強化しています。

また、結婚・出産などのライフイベントにより女性登用の機会が損なわれることがないよう、適正な人事評価に基づくリーダー登用や一人ひとりのキャリアプラン構築に向けた研修を実施しています。さらに、女性活躍を含むダイバーシティ&インクルージョン推進をテーマとしたセミナーを管理職向けに開催するなど、職場全体の意識向上・風土醸成にも力を入れています。

参考:株式会社コーセー『ダイバーシティ&インクルージョン|取り組み1:女性活躍・LGBTQ+

関連記事:【実例で学ぶ】SDGsで求められる多様性(ダイバーシティ)とは?企業が取り組むダイバーシティの実現

まとめ

SDGsの目標5「ジェンダー平等」は、女性の社会的・文化的地位の向上を実現させる取り組みです。

ジェンダー平等とは、性別にかかわらず一人ひとりが個性と能力を十分に発揮できる社会をつくり、性別の差別がない未来を目指すことです。ジェンダー平等の実現は持続可能な社会の構築に不可欠な要素であり、女性に対する偏見や不平等をなくすこと、意思決定における平等な参画と機会を確保することが求められています。

日本企業においても、女性活躍推進やダイバーシティ&インクルージョンといった、ジェンダー平等を実現するためのさまざまな取り組みが始まっています。今回ご紹介した事例を踏まえ、組織内に無意識のバイアスが生じていないか、講じている対策は十分かなど、いま一度自社の取り組みを見直してみてはいかがでしょうか。

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監修者
江口 瑛子
株式会社HRインスティテュート/チーフコンサルタント、事業開発担当 慶応義塾大学法学部卒業後、外資系コンサルティング企業に入社。 戦略コンサルタントとして、主に製造業におけるサプライチェーン変革を支援するプロジェクトなどに従事。入社したコンサルタントの育成を担うインストラクターも担当。 その後、HRインスティテュートに参画。自身のコンサルティング経験を活かし、人材育成・組織開発に関する企業の課題解決やスキル育成を支援する。 企業向けのプログラムの企画・開発・実施に加えて、大学でも講師として登壇。また、自社の新サービス開発、提携先開拓、新規事業創出などの事業開発領域も担う。Global Mindset認定コーチ。
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