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VR(仮想現実)とは?意味や活用例、教育分野での将来性を解説

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VRは近年、特に注目を集めている技術です。ゲーム分野での活用はもちろん、教育や医療、スポーツなど幅広いジャンルでの利用が期待されています。

しかし、VRは新しい技術であるだけに、その内容を十分に理解できている人はそう多くはありません。VRの課題やリスクを把握しつつ、さまざまな分野で活躍する先端技術への理解を深めることは、多くのビジネスパーソンにとって有益となるでしょう。

この記事では「VR(仮想現実)」を取り上げ、その意味や活用例、教育分野での将来性についてわかりやすく解説します。

目次

VR(仮想現実)とは?

近年、新聞やニュースなどで目にする機会の多いVR(仮想現実)。VRとは具体的にどういうものなのか、その仕組みやAR・MRとの違いを解説します。

VR(仮想現実)の意味

VRとは「Virtual Reality」の略称で、日本語では「仮想現実」と訳されます。具体的には、コンピューターが作り出した仮想空間における疑似体験技術を意味し、VRの活用により非現実的でありながらもリアルに近い体験を得ることができます。

VRを体験するには、VRゴーグルと呼ばれる映像装置を着用します。VRゴーグルを着用すると、ユーザーはVRの映像を360度見回せるため、現実世界に近似した没入感を体験できます。VR技術は現在進行形で発展しており、振動や重力をリアルに体感できる技術の実用化も進められています。

関連用語:「メタバース」|組織・人材開発のHRインスティテュート

VR(仮想現実)の仕組み

現実世界で対象物を知覚する際、左右の目には対象物が若干異なって見えています。これを「両眼視差」といい、左右の目が離れているために生じる見え方のズレを脳が補正することで、人は対象物の「奥行き」を認識しています。VRもこの仕組みを利用しており、VRゴーグルのレンズでは左右の目に映る映像にわずかな違いがあります。この違いによって脳は立体感や距離感を認識することができるのです。

関連用語:「セカンドライフ」|組織・人材開発のHRインスティテュート

AR(拡張現実)との違い

ARとは「Augmented Reality」の略称で、日本語では「拡張現実」と訳されます。具体的には、現実世界にデジタル情報を投影する技術を意味し、スマートフォンのカメラなどを用いて拡張現実の世界を作り出します。

VRとの違いは、VRが現実とは異なる仮想空間を作り出すのに対し、ARは現実世界の風景にさまざまな情報を付け加える点にあります。つまり、VRは仮想空間に没入する仕組み、ARは現実世界を仮想的に拡張する仕組みをいいます。

関連記事:HRテクノロジーで変わる人事の採用。AIやVR/ARが企業にもたらしたメリットや課題を解説

MR(複合現実)との違い

MRとは「Mixed Reality」の略称で、日本語では「複合現実」と訳されます。VRとARを組み合わせた技術であり、ARをさらに拡張して仮想空間を現実世界に重ねながら、人間による自由な操作を可能にするものです。

MRを用いると、現実世界にホログラム(レーザーを使った立体画像)が表示され、それをさまざまな角度から見たり、自分の手で操作したりすることができます。VRはあくまで仮想空間における疑似体験技術を指すのに対し、MRは仮想空間と現実世界が融合し、互いに干渉し合うという特徴があります。

関連記事:Society 5.0とは?意味や技術、SDGs・教育との関連性を解説

VR(仮想現実)の活用例

加速する技術進歩を背景に、さまざまな分野で実用化されているVR技術。実際にどうやって使われているのか、産業・スポーツ・医療・広告・観光の異なる5分野のVR活用例をご紹介します。

活用例①:産業

企業では様々な場面でVRが活用され始めています。具体的には、設計やデザインをVR上で作成して手戻りを減らしたり、難易度の高い作業や頻度の低い作業についてVR上で作業訓練することでスキル習熟に活かしたりする事例があります。

VRでは日常的には経験しない、できないことを再現できるため、安全管理やコンプライアンスの意識を高めるために危険場面を疑似体験したり、障がいを抱える方や高齢者など異なる立場の視点を理解するための教育的な目的で活用されています。

一例として、企業向けに数多くのVR導入実績を重ねているNECでは、有害ガスが発生してしまうワクチン製造の無菌操作研修をVRで安全に実施できるよう、武田薬品工業に向けてVR導入支援をおこなっています。

参考記事:日本電気株式会社(NEC)『活用事例からみたVRが変える近未来のビジネス

活用例②:スポーツ

VRはスポーツシーンに用いられており、観客・プレイヤーの両面で活躍しています。観客としての活用は、自宅にいながらスタジアムで応援している感覚を味わえることが特徴です。周囲を360度見回せるため、自分もその場にいるかのような臨場感を体験できるでしょう。また、特定のプレイヤーや監督の視点で観戦できるサービスもあります。

プレイヤーとしての活用方法は、トレーニングに利用できることが挙げられます。VR技術によって現実に近い環境を構成すれば、仮想空間であっても再現性の高いトレーニングを重ねることができます。その一例として、プロ野球球団の東北楽天ゴールデンイーグルスでは2017年シーズンより、投手の投球を仮想体験できるVRトレーニングシステムを活用しています。

参考記事:株式会社NTTデータ『世界初、プロ野球球団が監修したVR[バーチャルリアリティー]技術による選手のトレーニングシステムを提供開始

活用例③:医療

手術の様子を共有したり、手術前のシミュレーションで利用したりと、VRは医療の現場でも多様な活用方法があります。難易度の高い手術の練習用としてすでに実用化されており、VRを医師の技術向上に役立てることができます。

具体的な事例として、アメリカのスタンフォード大学医学部では小児の心臓疾患を学習するためのVRシステムを導入しています。VRによる疑似体験は教科書や模型をはるかに上回り、解剖学を学ぶうえでとても有用な方法だ、という報告があります。

参考記事:The Stanford Virtual Heart – Revolutionizing Education on Congenital Heart Defects

活用例④:広告

VR技術は広告との親和性が高く、商品・サービスの宣伝にVR広告を活用する企業もあります。具体的には、ユーザーが視聴している映像に全方位型の広告を配信したり、商品に触れているかのような使用感を演出したりと、これまでにない革新的な広告が登場しています。VR広告で商品の使用感を疑似体験させることで、ユーザーの購買意欲を高める効果が期待できます。

活用例⑤:観光

日本政府観光局の「VISIT JAPANキャンペーン」の一環として、日本文化や体験にフォーカスした360度VR動画が制作されています。これは欧州15か国を対象としたもので、外国人観光客の増加を狙った施策です。縦横無尽なカメラワークによる臨場感のある映像に仕上がっており、自宅にいながら観光地を散策しているかのような気分を味わうことができます。

VR動画はYouTubeやFacebookで視聴できます。

参考サイト:Visit Japan(YouTube)

教育分野での将来性

VRは教育現場でも活用が進んでおり、修学旅行や校外学習、英会話、避難訓練などでの利用が見込まれます。VRによって仮想空間をつくることで、教室にいながら歴史的遺構を訪れたり、危険性のある科学実験を安全に実施したり、異なる立場の人の生活を疑似体験することができます。

VRは快適な学習環境を提供し、学習者の一方通行ではないインタラクティブな教育を可能にします。教育分野におけるVRの活用が本格化すれば、私たちの想像を超える成果をもたらす可能性があるでしょう。目先のコストだけでなく、長期的な費用対効果も考えながら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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VR(仮想現実)の課題

VRはその性質上「VR酔い」や「視力への悪影響」といった課題がつきものです。導入を検討する際には、こうしたVR特有の課題についても理解しておく必要があるでしょう。

課題①:VR酔い

VRの利用が原因となり、乗り物酔いに似た症状が起きるケースがあります。VR酔いの原因は、視覚と実際の感覚のズレを脳が認知することや、VR技術が未熟で映像が荒いことなどがあります。

課題②:子どもの視力への悪影響

子どもは目の筋肉や視力が発達途上にあり、VRの利用によって影響を受けやすいといわれています。利用対象を13歳以上に限定するメーカーも存在しており、VR業界においてはこの「13歳以上」の年齢制限が標準になりつつあります。

課題③:VR導入コスト

VRを活用する場合、その導入コストは大きな障害になるでしょう。VR教育を始めるとなれば、教育コンテンツの制作費用はもちろん、人数分のVRゴーグルやタブレットなどの備品も準備する必要があります。初期導入コストの高さがVRを活用するうえで高いハードルになっていると考えられます。

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まとめ

VR(仮想現実)とは仮想空間における疑似体験技術のことであり、他にもAR(拡張現実)やMR(複合現実)などさまざまな先端技術が誕生しています。これらは将来的に、さらなる発展が期待される分野といえます。

VRは産業のみならず、スポーツや医療、広告、観光など幅広い領域での活用が広がっており、教育分野における活躍も期待されています。一方で、新しい技術がリスクを含むのも事実であり、コスト面でも導入のハードルは高いでしょう。しかし、VRなどの先端技術はこれまでの常識を一変させる可能性を秘めており、すでに多様なジャンルで実用化が進められています。リスクや課題を踏まえたうえで、テクノロジーとうまく共存していくことが重要です。

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