Vol.11

「NEXT HR」キーパーソン特別インタビュー

VUCA時代に「越境リーダーシップ」がなぜこれほど求められるのか
サントリー人事出身者が、自ら越境を続ける中でたどり着いた次世代リーダー育成の鍵

一般社団法人ALIVE 代表理事/合同会社CONNECTIVE 代表社員/一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティOTD普及協会 代表理事 庄司弥寿彦氏
インタビューアー:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

先行きの見えないVUCA時代において、変革を牽引し、企業の将来を担っていく次世代リーダーを育成することは、多くの企業にとって重要課題の一つである。しかし、ますます複雑化する環境の中ではリーダーに問われる能力も多岐にわたり、その育成は決して容易なものではない。そうした中、注目されているのが「越境リーダーシップ」だ。会社の枠や常識を超え、越境して異なる人やカルチャーと混ざり合うことで生まれるリーダーシップは、変化の激しい時代を生き抜くための強力な武器となる。そこで今回は、リアルな社会課題への貢献を通じて、次世代リーダーの能力開発を支援する一般社団法人ALIVE代表理事 庄司弥寿彦氏に、その取り組み内容やこれからのリーダーのあるべき姿を伺った。

はじまりは英語の学びから――。外に目を向け、活動の輪が社外へ

寺澤まずは、庄司さんご自身の越境体験についてお伺いします。一企業の人事としては極めて稀有な例だと私は思っているんです。ALIVE立ち上げに至るまでの経緯についてお聞かせください。

庄司私は1995年にサントリーに入社し、以降、経理や営業、マーケティング、事業開発など、さまざまな分野を渡り歩いてきました。そうした中、2008年頃に私にとって最初のターニングポイントが訪れます。もともとサントリーはどちらかというとドメスティックで、ドメスティック志向の人材がほとんどでした。私自身も英語などまったく関心がなかったのですが、サントリーがグローバル化を進め始めたこの頃にあるセミナーで聞いた大学教授の言葉が心に響き、「自分もグローバル人材になりたい」と急に思い立ったんです。翌日から早速英語の勉強を始め、関西弁イントネーションの英語で苦しい思いも数多くしましたが、結果的に後の海外勤務や人事の仕事に繋がるなど、新しい世界の扉を開くきっかけになりましたね。

2013年にサントリー食品インターナショナルのグローバル人事グループが立ち上がったタイミングで、同社のグローバル人事グループのマネージャーに就任しました。初めて人事の仕事に携わることになり、そこで取り組んだいくつかの施策が、現在のALIVEの活動へと繋がっていきます。

寺澤人事の仕事を進めていくなかで、庄司さん自身の社外への越境が広がっていくんですね。具体的にどのような施策を展開されたのですか?

庄司最初に取り組んだのは英語力の強化です。グローバル人事グループが設立されたその年、グローバルな成長を実現させるべく、「英語力強化宣言」が発表されました。英語を学ぶことで人生が豊かになったと思っていた私もそれ自体は大いに賛同しました。しかし、上から一方的にやらされる学びでは、モチベーションは上がりませんし、効果も期待できません。そこで社員一人ひとりが主体的に取り組めるよう、プランニングの段階から現場を巻き込んで、みんなで考え学び合う取り組みを始めました。それが全社的な英語強化活動「KEY(京橋・英語・やってみなはれ)プロジェクト」です。この活動は3年間継続し、社内に英語ブームが到来しました。京橋にある本社の全部署でTOEIC平均スコアが100点アップするなど、大きな成果が上がったんです。さらに3年目には京橋に拠点を置く他社さんにも声をかけ、会社の枠を超えて学び合う「KING(京橋で・一緒に・仲良く・グローバル化)プロジェクト」が発足。また部署ごとの専門的な英語のスキルを磨く「専門英語道場」も立ち上げてその2年目に道場破りとして異業種の企業の皆さんと交流するなど、こうして英語の強化から派生して、活動の輪が社外へじわじわと染み出していきました。

寺澤ネーミングが秀逸ですね(笑)。その社外を巻き込んだ英語の学び合いが、リーダーの育成へと課題が繋がっていくとのことですが、どのように発展していったのでしょうか。

庄司グローバル企業にはさまざまな国籍やカルチャーを持った人たちが働いています。そうした中、単に英語が話せるようになっただけで、果たしてきちんとリーダーシップが発揮できるのか、という疑問が湧いてきました。つまり多様性の中でのリーダーシップが次なる課題となったわけです。そこでKINGプロジェクトや専門英語道場によって広がっていった社外との繋がりを活用し、さまざまな企業の人事と協働で、ALIVEの前身となる異業種混合型の次世代リーダー研修プログラム「モルツ・プロジェクト」を発足させました。そこでは答えのないものに対して本気で考えてもらおうと思い、具体的に存在する社会課題に共同で取り組むことをテーマにしました。このプロジェクトを実施したところ、参加者たちがあまりに夢中になって社会課題に取り組んでいるのを見て、正直驚いたんです。その参加者たちの姿を見かけ、ビジネスと社会課題が絡んだときに色んな化学変化が起こるなと感じました。

このようにプロジェクトを進めていくなかで、私自身の異動がありそうだったこともあり、プロジェクトを存続させるために、一般社団法人としてALIVEを立ち上げました。一旦は実際に海外に異動したのですが、1年後にALIVEを全力で取り組むためにどうしてもたまらず、好きだったサントリーを退職してしまいました。

一般社団法人ALIVE代表理事/合同会社CONNECTIVE 代表社員/
一般社団法人 組織変革のためのダイバーシティOTD普及協会 代表理事
庄司 弥寿彦 氏

1995年サントリー株式会社入社。人事課長時に、ALIVEの前身となる次世代リーダー研修「モルツ・プロジェクト」を企画。その際、「社会的団体の想いに、ビジネスのリソースをつなぎ、変化を巻き起こす」ことをライフワークとして強く認識。2017年ALIVEを立ち上げ、無報酬のプロボノながら駐在中のNYから参画。2018年4月サントリーを退社しALIVEの代表理事に就任。社会課題解決等のプロジェクトマネジメントの受け皿として合同会社CONNECTIVE創立。2019年にALIVEから派生した、一般社団法人OTD普及協会を設立し代表理事就任。

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