グローバル化の必須要素は環境変化へのアダプタビリティと従業員のエンゲージメントを高めること

 人口減少社会が到来し、日本企業にはグローバル化やワーク・ライフ・バランスへの対応は待ったなしの状況です。一方で、安部政権でも「働き方改革」を最大のチャレンジに掲げ、長時間労働や残業の抑制を企業に強く求めています。限られた従業員と短い労働時間という制約の中で、生産性を高めるためには、人口知能などの新たなテクノロジーを活用しながら、社員一人ひとりの能力と機会を最大化していかなくてはなりません。そのためには、企業の最も重要な資産である人材の教育や人事管理の仕方にもイノベーションを起こす必要があるのです。
 今回は4月25日に開催されるセミナー「人材教育イノベーション~働き方改革時代に企業はいかに人材育成を変革すべきか~」のスピーカーで、グローバルにビジネスを展開する人事系のソリューションプロバイダーSabaのRegional Vice President APACのマイケル・ウォーレン氏に、世界で競争優位を保つグローバル企業の現状と日本企業の課題をテーマにお話を伺いました。
Regional Vice President APAC, Saba Software Inc.
マイケル・ウォーレン 氏
欧州システム開発、コンサルティング会社を経て、1999年にSaba Europe創設メンバーの一員として参画し、コンサルティング部のプリンシパルを歴任。大手顧客プロジェクトを支援するためのITコンサルティング会社を設立後、2016年にSaba APACを統括するRVPとして復帰。欧州及び中東、アジア地区に置ける人材開発・育成プログラムやグローバルITプロジェクトに精通。CEO Institute所属。年間の半分以上は国内外の出張先で過ごす。現在、豪、ブリスベン在住。

求められてるのはグローバル化推進人材の採用とリーダー育成

 日本は経済の成熟化と人口減少社会に直面し、今後、国内市場は縮小が見込まれています。一方、発展途上国・新興国市場は急速な拡大を続けており、特に中国やインド、ASEANといった新興国の存在感は増すばかりです。こうした経済環境を受け、日本企業にとって成長の源泉は海外マーケットにあることは疑いの余地がありません。ところが残念ながら、日本企業の多くは、海外進出に成功していないのが現状です。
 例えば、日本のグローバル化を牽引してきた製造業は、家電の主力分野であるテレビや、発展途上国・新興国の人々も保有する携帯電話、産業のコメと言われるDRAM等の分野で、海外市場のニーズを的確に掴んだ韓国・中国勢の躍進に押され、世界市場でのシェアは低下しています。
 グローバル経済の中で企業が活動するには、2つの重要な要素を満たす必要があります。1つは変化する外部要因やマーケットに組織を適応させていくアダプタビリティ(適応力)です。現在の変化の激しいビジネス環境に対応するには、トップダウンによる経営や企業管理ではなく、ボトムアップと自主性が強く求められています。
 もう1つは、多様性に富んだ組織の中で社員のエンゲージメント(かかわり・関係性)を高めることです。日本企業が世界で競争力を獲得するためには、国内外で優秀な人材を採用して育て、適材適所に配置する必要があります。また、優秀な人材には明確な目標やキャリアパスを提示し、組織に留まってもらえるような人事制度に改革しなければなりません。
 グローバル企業、特にアメリカ、EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)では、競争優位を築くための人材育成が進んでいます。日本企業が海外で成長できない大きな理由は、グローバル化を推進する役割を担う人材の採用と育成ができていないからです。また、多様性のある組織をマネージするスキルや経験も欧米に比べて大きく不足しています。
 誰がどんなスキルや情報を持っているのか、誰をどのように育成したらいいのか、キーパーソンは誰なのか、配置転換をしたらリスクはどれくらいあるのか……。そうした情報を収集し、的確な判断を下すには、ITの活用が不可欠です。

「働き方改革」実現に必要なのはフレキシブルワーク推進と情報共有の仕組み

 一方、安部首相は「働き方改革」を最大のチャレンジに掲げ、推進しようとしています。今後、労働力人口が減少していく中で、長時間労働・残業などの悪しき慣習が、子育て中の女性の社会参加の阻害要因となっているからです。さらに、従業員の働き方が政府が奨励している多様性のある組織や生産性向上とダイレクトに繋がっていることも理由の一つです。
 現代は多くの女性が家事や子育ての責任を負いつつ働いています。また、介護が必要な家族や自身が病気を抱え、自宅で仕事をした方が時間を有効に活用できる社員も少なくないことでしょう。海外のグローバルカンパニーは多様なニーズに応えるため、早くからホームオフィスを導入しています。また、柔軟な働き方を希望する社員に異なる仕事を依頼するフレキシブルワークにも取り組んでおり、フレキシブルワーカー・アレンジメントも実践しています。
 働く場所や時間は異なっても、協力し合って目標を達成するためには、情報共有できるシステムが必要です。また、従業員同士だけでなく、ビジネスパートナーや代理店ともつながり合う環境を提供し、お互いに連携しながら学んでいくことも大切です。インターネットやソーシャルメディアが普及した現代において、ITの力を借りずにそれらを実現することは難しいでしょう。

モバイルやSNSを労働環境で活用するにはセキュリティの担保が不可欠

 もう一つ、念頭に置かなければならない重要な要素は、ミレニアル世代の台頭です。ミレニアル世代は1980年以降に生まれ、20世紀から21世紀へと世紀が変わった頃に社会に出てきた、現在30代半ばまでの若者たちの世代です。彼らの特徴はモバイルとSNSを使いこなす「デジタル・ネイティブ」であることです。
 彼らが労働市場の中心的な存在になりつつあるいま、今後、あらゆる人事の領域にモバイルやSNSを活用していく必要があります。そこで問題となるのがセキュリティです。ネットにつながっているということは、情報漏えいの危険と背中合わせです。
 Sabaには業界標準の安全性と信頼性、高い拡張性を備えたプラットフォームのSabaクラウドが採用されており、モバイルデバイスをきちんとセキュアな環境で提供できる強みがあります。そこが競合他社と大きく異なる点です。

生産性やエンゲージメント強化に取り組む世界4,000社の導入実績

 グローバル化が進展し、異なる世代や民族、人種が混在する組織の中で、めまぐるしく変わる外部環境に対応しながら、働き方を改革し、生産性を上げるために、近年、海外の大手企業は巨額の投資を行っています。当社は4,000社以上の顧客企業、195ヵ国、40言語に対応し、3,300万人のユーザーを擁しています。その中にはデル、ハイアット、タイ航空、エア・カナダといった日本でもお馴染みのグローバル企業や、コマツ、日産自動車といった日本企業も含まれています。
 さらに、人事にITを活用することの重要性は、いまグローバル展開していない企業でも何ら変わることはありません。国内の市場のみを対象にビジネス展開している日本企業であっても、働き方の改革や生産性の向上は必要です。
 Sabaのソフトウェアは、社員の継続的な学習や能力を開発し、人材のエンゲージメントを高め、ひいては先の見通せない外部環境へのアダプタビリティを高めることで、ビジネス目標の達成を確実なものにすることをサポートできると確信しています。
 我々の顧客がどのようにして働き方を改革し、生産性やエンゲージメントを高めていったのか、その成功事例の詳細は4月25日のセミナーでお話したいと考えています。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。