Vol.01

「NEXT HR」特別パネルディスカッション 講演録

次世代の人事、人事サービスの進化と未来(後編)

慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(KBS) 特任教授 岩本 隆氏
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター 北崎 茂氏
日産自動車株式会社 人事本部 日本人事企画部 担当部長 福武 基裕氏
株式会社日立製作所 ICT事業統括本部 人事総務本部 人財企画部 主任 中村 亮一氏
モデレーター:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

日本企業と欧米系企業にはHRの投資に関して大きな差がある

寺澤ありがとうございます。HRテクノロジーの分野は日本でも盛り上がってきたと思っていますが、まだまだだということですね。北崎さんと岩本先生のお話を聞かれて、福武さん、中村さんはどんな感想を持たれましたか。

福武北崎さんの調査レポートは大変参考になりました。ブルーワールド、グリーンワールド、オレンジワールドとありましたが、日産の場合、どれかを選択するというより、3つとも取り入れていくだろうなと思います。逆に言えば、3つとも取り入れていかないとうまくいかないのではないかと。いずれにしても、我々HRが従来の制度や仕組み、考え方でやっていくと、遅れてしまうというような危機感を覚えましたし、先を見て考えないといけないなという感想を持ちました。

北崎ありがとうございます。補足しますと、先ほどお話しした3つのワールド・オブ・ワークの趣旨は、どれか1つに向かうという考え方もありますが、そのポートフォリオをどう組むかというところです。人事のリソースに限りがある中で、どこに割けば一番ビジネスに貢献できるかという判断軸として提示している部分があります。

中村岩本先生からは、HRテクノロジーの分野が世界ではかなり進んでいるというお話でしたが、やはりGEのような欧米系の企業は、HRが投資をできているということが、日本の企業との大きな違いだと思っています。ピープルアナリティクス部門をつくるということもあり、この市場が日本でこれからどうなっていくのかというところには、非常に関心があります。

岩本HRの投資に関しては、以前、PwCのレポートで、グローバルな企業の人事の投資額が売上高の3%だというような話を北崎さんからお聞きしたことがあります。それに対して、日本の企業の投資額は売上高の1%ほどでしたか?

北崎はい、企業規模により差はありますが平均的にはそのぐらいの数値になります。また別の観点でも育成投資という意味では差が見られます。例えば、日本企業と欧米系企業が人材育成に10億円投資できるとすると、日本企業は8割を全社員に使い、2割をいわゆるトップタレントに使いますが、グローバルでトップ企業といわれているところはその逆で、8割をトップタレント、2割を全社員に使うという形です。使い方の違いが大きいのです。

岩本日本は平等主義だと。興味深いですね。