Vol.05

「NEXT HR」キーパーソン特別インタビュー

人生100年時代に向けてシニア人材が活躍するための人事部門の支援の在り方とは

学習院大学 名誉教授/今野 浩一郎 氏
インタビューアー:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

シニア社員に求められる働き方とキャリア支援の在り方はどうやっていけばいいのでしょうか?

出発点として重要なことは、高齢者を雇用し活用することに対して、企業が『本気になること』です。高齢者の人事管理はどうあるべきか解決の難しい課題ですが、『本気になること』さえできれば、いろいろな所からいろいろなアイディアが生まれ、解決策は必ず見つかるものです。しかし、『本気になること』がない限り、そうした力は生まれないと思っています。

変わらなければならないのは企業だけではありません。労働者側も変わらねばならないのです。企業労働者は60歳を超えても働く『自営業主型働き方』を受け入れ、それに向かって働き方とキャリアの作り方をどのように変えていくのか考えることに『本気になること』が必要です。

また、キャリア転換・役割転換に伴い、求められる「働く意識・行動と能力」が変わることをしっかり認識してもらわなくてはなりません。求められる「働く意識・行動と能力」と何でしょうか?

もちろん高度な専門能力を持っているに越したことはありませんが、それ以上に重要なのは、新しい役割で活躍するための基盤となる「プラットフォーム能力」(今野氏が参画した日本人材マネジメント協会の研究グループが開発した考え方)を持つことです。「プラットフォーム能力」とは、心身ともに健康であること、働く意欲があることが前提になりますが、「気持ち切り替え力」「ヒューマンタッチ力」「お一人様仕事遂行力」の3つの能力から成り立っています。

「気持ち切り替え力」とは、過去に囚われず、新しい役割に前向きに向き合うことができることを言います。「ヒューマンタッチ力」は、新しい役割に合わせて、職場の若い同僚と水平的な目線と姿勢で人間関係を構築できる力です。「お一人様仕事遂行力」は、元部下や若い同僚に頼らずに、自分の担当する仕事を一人で遂行するためのITなどのテクニカルスキルを持っていることを言います。

キャリアを見直し、プラットフォーム能力の面から自分を知り、足りない部分があれば学習することでシニア社員が戦力として活躍できることの第一歩となります。定年直前に取り組むのでは遅すぎます。定年のかなり前から定年後にどのように働くのかを考えて準備することが必要で、企業は研修などによって支援することが求められます。

どの国にもない、モデルなき挑戦ですが、企業にも社員にも、年齢にかかわらずいつまでもイキイキ働けるための取り組みが求められます。

学習院大学 名誉教授
今野 浩一郎 氏

1971年3月東京工業大学理工学部工学科卒業、73年東京工業大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了。73年神奈川大学工学部工業経営学科助手、80年東京学芸大学教育学部講師、82年同助教授。92年学習院大学経済学部経営学科教授。2017年学習院大学 名誉教授、学習院さくらアカデミー長。
主な著書に、『正社員消滅時代の人事改革』(日本経済新聞出版社)、『高齢社員の人事管理』(中央経済社)など多数。