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Vol.10

意識改革を実現! ワークライフバランス浸透の仕掛け

意識改革を実現! ワークライフバランス浸透の仕掛け〜育児、介護に直面しても活躍し続ける職場作り〜


セントワークス株式会社 人材ソリューション部 ワーク・ライフバランスコンサルティング担当
一之瀬 幸生 氏
TIS株式会社 ビジネスクリエーション事業部 ビジネスクリエーション事業統括部主任
美崎 弘子 氏

経営戦略としての「ワークライフバランス」

現在、政府でも仕事と生活の調和の実現に向けて動き出し、ワークライフバランスを浸透させようとしています。セントワークス株式会社では、このワークライフバランスプロジェクトを立ち上げていますが、そのきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

一之瀬当社は全国に約450ヶ所の介護事業所を展開しているセントケア・グループです。セントワークスの事業の1つに人材派遣・紹介があり、そこで介護・看護職の斡旋も行なっていました。

しかし、事業所や企業から人材を求める声をたくさんいただいても、派遣社員側からすると、子育て中であったり、土日は休みたいといった希望を持たれていることが殆どで、企業とのミスマッチが起こってしまうことが多々ありました。その解決策の一つとして、ヒントになったのが、ワークライフバランスという考え方です。社長がワーク・ライフバランスを勉強していくうちに、ワークライフバランスは経営戦略として役立つということがわかり、平成24年から事業として開始いたしました。

一之瀬 幸生 氏

なぜ必要か、何が重要か…

ワークライフバランスの必要性について、ご説明をいただけますか?

一之瀬 今年に入ってメディアでも取り上げられていますが、安倍政権では働き方の見直しということに焦点を当てています。日本は少子高齢化という大きな問題に直面していて、労働力の確保が急務であることは間違いありません。そのためには、出生率の向上と、社会における女性の活躍が期待されています。 女性の視点からヒット商品が生まれたり、業務効率化が進んでいる企業もあります。

一方で、ベテラン社員や管理職に就いている人たちが、ご両親の介護に直面する年齢に達する時期です。50代や60代になると、ご主人はまだ働いていますが、奥さまは家庭に入っているというご家族も多いかもしれません。しかし、奥さまだけにご両親の介護を任せると、うつ病になってしまったり、虐待が起こるというケースもあります。最悪の場合、家庭崩壊ということになってしまうこともあるかもしれません。

それを防ぐためには、働いている男性も一緒に介護をしていくことです。もちろん、仕事を辞めてまで介護に専念する必要はありません。それでも、せめて勤務時間の定時で仕事を終えて帰宅したり、病院への付き添いのために勤務時間を調整することはできるはずです。こうして、介護のことを考えると、育児とも共通することが多々あります。介護にしても育児にしても、時間に制限がある中で働き方を見直して、成果を出していくことが重要になってきます。

日本の現状は、世界と比較するとどうなのでしょうか?

一之瀬OECDが発表しているワークライフバランスの最新調査では、諸外国と比べ、日本は36ヶ国中34位でした。生産性でも36ヶ国中20位であり、先進7ヶ国では最下位という結果が出ています。例えば、アメリカと日本で比べてみると、日本は1時間における生産性が約40ドル。これに対し、アメリカは約60ドルで20ドルの差が出ています。1日の勤務時間を8時間とすると、約160ドル、日本円にしてわかりやすく1ドル100円で計算すると約1万6000円の差です。これは、アメリカと同じ成果を出すには4時間多く働かなければならないという計算になります。ワークライフバランスを進めていくには、働き方を見直して生産性を上げることが重要です。

一之瀬 幸生 氏

なぜ、若手にも無関係ではないのか

育児や介護というと、中堅やベテラン社員が抱える問題と思われがちですが、若手社員にとってもワークライフバランスは無関係ではないのでしょうか?

一之瀬現在の就職活動では、これまでの買い手市場から打って変わって売り手市場になっています。企業が学生を選ぶ立場から、学生が企業を選ぶ立場に変わってきていると言っても過言ではないでしょう。学生が企業を選ぶポイントとして、もちろん仕事内容や働きがい、賃金などを重視していますが、一緒に働きたいと思える人がいるかどうかということも判断材料となっているようです。これは、就職活動を始める前と就職後に取ったアンケートによって明らかになっています。実際、職場見学などをしたときに、社員がいきいきと働いているか、長時間労働で疲弊しているか、などの姿を見て、自分がこれから働く姿を重ねるようです。

その他でも、学生側からは「きちんと休日が取れる」「福利厚生がしっかりしている」といった内容も重視されています。これは、就職したら一生懸命仕事をするつもりはあるけれども、仕事だけに追われるのではなく、自分の時間を確保して人生を歩んでいきたいという傾向の表れです。仕事以外の時間に費やすのは、子育てもそうですし、自分の能力(スキル)を上げていくことも含まれます。

以前は、日本の雇用形態は終身雇用で、企業に尽くすということが大前提にありました。ところが、現在の学生は終身雇用で働きたいと考えてはいるものの、それは保障されているわけではなく、実際には離職時期が早くなっていたり、自分のスキルを磨きながらステップアップしていくことを理想としています。それらを勘案すると、若い世代にとっても仕事と生活の調和が取れている企業は魅力的に映るはずです。

一之瀬 幸生 氏

実現のためのハード、ソフト、そして環境…

ワークライフバランスを導入しようとしている企業に対して、どのようなアプローチをしているのでしょうか?

一之瀬ワークライフバランスを進めていくためには、企業は制度と同時に従業員の働き方も変えていかなければなりません。就業規則だけならば人事担当者が整えることはできますが、例えば在宅勤務を実現するとなると、なかなか人事担当者だけでは難しいですし、システムも導入する必要もある。当社としても、ソフトの面でのアプローチはしていきますが、具体的なハード面をどうするかということになると、システムやノウハウがありませんので、パートナーであるTISさんと一緒に相談しながら進めていきたいと考えています。

美崎当社でも営業をしていく中で、ハード面だけを提供しても役員の方々は納得してくれないということもあります。実際に、制度を変える場合は社労士の力を借りたり、会社の風土を変えるにはセントワークスへお任せしたり、ということになります。

TIS株式会社では、ワークライフバランスの一環として、在宅勤務ができるリモートワークシステムを提供していますが、それはどのようなものでしょうか?

美崎「いつでも、どこでも、いつもの仕事ができる」ということをキーワードとして提供しているソリューションです。企業としては大きなシステムを莫大な費用をかけて導入をしなくて済むようになってきました。インフラの部分として、ネットワークが高速化、安定化して、安価にもなってきています。それによって、在宅で仕事をする環境がITやテクノロジーの進化によって後押しされている状況です。その中で私どもは自宅のパソコンやタブレットから会社のパソコンにアクセスしてもらうソリューションも提供しています。  このところ、スマートデバイスが充実してきていて、どこの企業でもiPadの導入を進めていますが、実際にはどれだけ仕事に活用しているかと言えば、メールとスケジュール管理程度です。その活用を今後も増やしていくことが目標となります。

一之瀬 幸生 氏

インタビューはまだ続きます。

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セントワークス株式会社
人材ソリューション部 ワーク・ライフバランスコンサルティング担当
一之瀬 幸生 氏

営業職として幅広い業務を担当する中、恒常的な長時間労働が慢性化している働き方に疑問を持つ。 勝ち続ける組織のためには、残業削減、業務効率化と利益UPを同時実現する働き方が必要と考え、チームセールスや情報共有化などを進め、2000名の社員の中から度々表彰される。 「ワークライフバランス」関連の認定や賞を、国・都・区・民間と4冠で達成したセントワークス社において、ワーク・ライフバランスコンサルティング担当に就き、数々の講演やメディアにも登場している。