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企業の競争力・収益力向上を実現する「働き方改革」「裁量労働制」+「インセンティブ制度」がもたらす効果

株式会社ソルパック
常務取締役 コンサルティング事業部長
北川 裕史 氏

現在の評価制度の中で、労働生産性を高める方法とは

現在の日本における働き方について、どのような見解を持っていますか?

1990年代に入ってから、日本の労働生産性は低迷を続けています。2013年度のデータでは、アメリカの3分の2以下の水準という結果でした。これは、アメリカ人が2時間で終わる仕事を日本人は3時間かけてやっているということです。ここに、日本の労働生産性の効率の悪さというものが、はっきり見て取れます。そもそも、日本には働いた時間によって評価される風潮がありました。30年前の国勢調査による産業人口は第一次産業と第二次産業が42.4%を占めていましたが、平成22年度の調べでは29.4%まで減少。それに反して、第三次産業の労働人口は57.3%から70.6%にまで拡大しています。これは、人による単純作業は機械化やIT化によって簡略化され、仕事の内容は時間で測れるものから成果で測るべきものへと変わってきているということを示していると言えるでしょう。

そこで、政府レベルでも働き方について議論をしているようですが?

今の安倍晋三政権は産業競争力会議の中で「日本再興戦略」を打ち出し、「働き方改革」を検討してきましたが、 これは 2007 年に当時の政権が導入を断念した「ホワイトカラー・エクゼンプション」の再検討です。今回、「高度 プロフェッショナル労働制」と銘打っていますが、やはり年収1,075万円以上のホワイトカラーが対象となっています。平成24年度の総務省統計局の調べによると、そもそも年収1,000万円以上の労働者は全体の2.7%に過ぎません。そのうち部長および課長は78.4%を占めています。これら管理職の方々は時間外手当が支給されていないと仮定すると、対象となるのは全体の0.58%にしかなりません。また、ここへ来てITや金融業の提案型営業も企画型裁量労働制の対象に検討されているようですが、これを含めても対象者は数万人程度と見られています。これでは、大幅な改革は期待できません。

安倍政権の産業競争力会議では、「時間ではなく、成果で評価される制度への改革」とは言っているものの、給与体系についてはほとんど議論されていません。給与の話を横において、労働時間の話だけをされても、結果的に働く側にとってみれば収入は減るだけという印象しか残らないでしょう。それならば、今の制度の中で労働生産性を上げる方法を探すのが、はるかに現実的です。そこで、職種の制限はありますが「裁量労働制」と「インセンティブ制度」の同時導入を提唱しています。

同時導入はなぜ効果があるのか、原資はどう調達するのか

インセンティブ制度は成果主義に通じるところがありますが、この成果主義とは一線を画すものでしょうか?

日本では1990年代の後半から2000年代の中頃までに成果主義が取り入れられましたが、ほとんどが失敗に終わりました。そこにははっきりとした理由があります。成果を上げた社員に対し賞与などで差をつけることは間違っていません。しかし、日本の企業ではそこに昇進・昇格や昇給なども絡めてしまいます。そもそも、企業の中核をなす管理職は成績だけが重要なファクターとはなりません。リーダーシップ、スキル、会社に対する貢献度、マネジメント適性など、あらゆる面で評価を行うべきです。これらを無視して、単年度あるいは数年の成果によって安易に管理職のポストを与えてしまうと、不適格なリーダーが乱立してしまうことになります。また、単年度の成績が良かったということで昇給しても、次年度も同じような成績を上げることができるとは限りません。しかし、一度上げてしまった基本給を下げることは難しい。

だからこそ、単年度の成果は、成果給として年度内にきっちりと清算し、昇進・昇格を伴う人事評価とはきっちり分けて実施すべきです。

そこで、裁量労働制とインセンティブ制度を同時に導入することが効果をもたらすということでしょうか?

裁量労働制を導入すると、賃金カットや長時間労働を強いられると誤解を受けるケースがあります。また、残業代を召し上げる方策なのではないかという不信感もあるかもしれません。確かに、裁量労働制だけでは残業手当は減るはずです。しかし、勤務時間内に終わる仕事をダラダラと時間外まで残業していることも多々あります。それでは、企業の生産性が上がるはずはありません。今までは多く働いた時間に対して時間外手当が支払われていましたが、その一部を「より多くの成果を上げた社員へ配分する」という発想に切り替えることが重要ではないでしょうか。ここで、インセンティブ制度を同時に導入するメリットが生まれます。

インセンティブとは、個人の業績に対する報酬です。企業側からすれば、本質的には赤字でも業績の高い社員には支払わなければなりません。企業に多くの利益が出ているのならばいいですが、赤字になるケースも想定して、最低限の原資を確保しておく必要があります。この原資の一部が、今まで支払っていた時間外手当ということになります。

「裁量手当」一律支給という一つの考え方も

その他の原資はどのように調達すべきでしょうか?

過去に支払ってきたコンテストや賞与の変動分なども原資の候補として考える必要があります。原資としてどれくらい用意すればいいのかというと、そこに正解は存在しません。ここは経営者の考え方と、現状分析を踏まえ、それをどのように改善していくのかによって違ってきます。ただし、いきなり時間外手当を撤廃して、全てインセンティブに移行することは、社員の同意を得ることは難しいでしょうし、監督署も認めないでしょう。

そこで、裁量労働制の導入に伴い、みなし残業手当を「裁量手当」という名目で一律に支給するのも一つの考え方です。残業時間は社員の間で大きな格差があります。全社員の残業時間を調査して、場合によっては職種または所属部門等で支給額や支給率を変える必要もあるかもしれませんが、残業時間の中にも、環境上やむを得ない時間と、自分の裁量で管理できる時間があるはずです。前者を裁量手当として支給し、後者をインセンティブの原資とするのが妥当な方法だと考えます。

インタビューはまだ続きます。

裁量労働制とインセンティブ制度の導入で社員のモチベーションは上がるのか? など、
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HRサミット2015/経営プロサミット2015での講演情報

株式会社ソルパック
常務取締役
コンサルティング事業部長
北川 裕史 氏

法政大学経営学部卒、日本アイ・ビー・エム㈱にて、保険、銀行、エネルギーなど大手企業の担当営業を歴任する。また、ガースナー政権下のBPR推進スタッフとして、営業プロセス、キャリア・パス、組織、インセンティブ、テリトリーなどのプランニングを担当。2000年から㈱ソルパックに転職し、SI事業、ソフトウェア製品販売などの新規事業を担当。2004年から営業人財育成事業を立ち上げ、数多くの大手IT企業の営業研修やプロフェッショナル制度の導入コンサルティングを実施するとともに、裁量労働制とインセンティブの導入による新しい働き方と給与体系の在り方を日本社に展開中。