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人材育成の未来

〜企業変革に寄与する組織・人材開発〜

ヤフー株式会社 上級執行役員 コーポレート統括本部長 本間浩輔氏
GEクロトンビルジャパン リージョナルラーニングリーダー 牛島仁氏
多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授 須東朋広氏(モデレーター)

変化や競争が激しさを増す昨今、生き残るために強い組織を作ること、さらにその組織を牽引する強いリーダー・強い人材を育てることは、すべての企業に共通する課題です。果たしてそれを実現させるためには何をしたらいいのか。企業変革に寄与する組織・人材開発とは、どのようなものなのか。そこで今回は、組織・人材開発において先進的な取り組みを行っているヤフー株式会社と、GEクロトンビルジャパンの人事トップをお招きし、人材開発に対する考え方や取り組み事例などをご紹介いただきました。

【第一部/ヤフー株式会社】
「開発」から「発達」へ

本日お話させていただくキーワードは、デベロップメントです。皆さんは人事の担当者として、このデベロップメントという言葉はどう訳されるでしょうか。例えば、キャリアデベロップメントという言葉があります。私は大学院で心理学と経営学を学びましたが、それぞれの分野において、この言葉の使い分けは非常に興味深いものです。キャリアデベロップメントとは、心理学ではキャリア発達、経営学ではキャリア開発と訳します。この違いは大きいです。そして私たちはキャリア開発ではなく、キャリア発達を支援するような組織づくりを進めていきたい。それが未来に向けた組織開発であり、人材開発ではないかと考えております。

しかし発達が良くて、開発は良くないという話ではありません。これは振り子のような関係で、組織や人は開発しなければならないものですが、一方で組織も人も放っておけば自ら発達していくのも事実で、いったりきたりするような感覚をもっています。そして、それを前提に介入する。私はそれこそが組織開発の基本だと考えています。例えば、一般的な人事評価制度では、会社が社員に対して、「お前はこっちの方向に育ちなさい。そのためにまずは目標を持て。それを評価するぞ」という流れで実施するケースが多いと思いますが、本当にそれで人材開発ができるのでしょうか。私は疑問です。一番良くないのは、組織も人も放っておけば良い方向に成長するのに、それを会社が邪魔することでしょう。そういう意味では、一番の悪者は人事部である、というのが私の持論です。

開発と発達についてもう少し具体的に比較すると、次のような違いがあると思います。今までのキャリア“開発”は、計画する、評価する、育てる、アサインする…などがキーワードでしたが、今後目指すべきキャリア“発達”は、今を大切にする、フィードバックする、育つ(邪魔しない)、チョイスする…などがキーワードになるのではないでしょうか。

才能と情熱を解放つためには

ヤフーのこの4年間のスローガンは「才能と情熱を解放つ」です。開発の視点に立つと、人に対して「あれをやれ」「これをやれ」と指示することになりますが、大切なのは誰しも才能と情熱を持っていて、それをいかに解き放つことができるか。個人が持っている才能と情熱を解き放つというベクトルと、会社の儲かるというベクトルをいかに同じ方向へと向かわせるのか。それのほうがずっと重要だし、現実的で合理的だと思います。

その鍵となるのが、定期的な1on1(ワン・オン・ワン)の実施です。これは上長と部下による週1回のミーティングで、4年前に開始して以来、一つの文化となりました。一方で、社員の才能と情熱を解き放つためには、やるべきことも少なくありません。主に、管理職の役割の明確化(上長の人事力)、経験学習(異動は最大の人財開発)、フィードバックの本数を増やし太くする、役割は配役と宣言する、人材開発会議の実施などが挙げられます。

こうしてさまざまな取り組みを実施していますが、課題も少なくありません。目標評価制度をどう変えるか。新しい組織文化をどう作るか。管理職をいかに見出して、育てるか。やるべきことは、まだまだたくさんあり、私自身、日々格闘している最中です。まとめとして申し上げたいのは、「開発から発達へ」とシフトすることが必要だということ。そして社員の才能と情熱を解き放つことが、人事と組織の未来を示すと確信しています。以上、ご清聴ありがとうございました。

【第二部/GEクロトンビルジャパン】
変化の激しい時代にどう対応するか

まずは「クロトンビル:J. F. Welchリーダーシップ開発センター」についてご紹介いたします。当センターは、もともとマネージャー教育のための研究所として開設されましたが、その後どんどん役割を拡大させ、今ではカルチャー発信地としての役割も担うようになっています。ここの一番の目的はリーダーシップ開発なのですが、宿泊もできるようになっており、泊り込みの経営会議なども頻繁に実施しています。さらに組織や階層を超えた交流の機会や、重要なお客様や大学院・専門研究機関といった外部組織との関係促進など、さまざまな目的で使用されています。

GEのCEOであるジェフ・イメルトは「私がCEOになってから学んだ最も重要なことは“コンテクスト”だ。会社がどのようにして環境に適応し、あなた自身がどう対応していくかということだ」と語っていますが、彼はこのコンテクスト、つまり状況や時代背景がいかに重要なものかを痛感していると思います。彼がCEOに就任した直後に、あの9.11が起こり、その後もエンロン事件や原油の高騰などが続出。そういった中で、いかに時代の変化に対応していくのかに、彼はずっと気持ちを傾けてきました。

ご存知の方も多いと思いますが、VUCA ――Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)――という言葉があります。こういう先行きの読めないVUCAワールドに生きる現在で、一体我々はどうしたらいいのか。それは、先を見通すのではなく、その時その時に起きている変化に対して、いかにスピーディーに対応していくかということです。

製造業・産業界で起きている変革

製造業や産業界でも非常に大きな変革が起きています。いくつか例を出すなら、製造業とデジタルの融合である“インダストリアル・インターネット”や、新たな設計・製造技術・新たな素材である“アドバンスト・マニュファクチャリング”、ものづくりにおける人の役割の変革“グローバル・ブレイン”などが挙げられます。

これはアメリカの調査ですが、2010年の人気職業トップ10にランクインした職業は、いずれも2004時点では存在していなかったそうです。つまり皆様のお子様が将来就く職業も、今時点では存在していない可能性があります。こうしたことからも、これからの時代、先行きを見通すのには無理がある、と考えるほうが自然ではないでしょうか。そういった前提で、我々も考え方を変えていこうとしています。

GEの新しい価値観・行動基準〜GE Beliefs〜

私たちは新たな視点で考え、行動し、物事をリードすることをチャレンジしています。既存の枠にとらわれない、より迅速かつシンプルに動くことのできる、お客さま重視のGEを目指して――。これがGEの新しい価値観・行動基準です。GEはこれまで、「GE Growth Values」という成功パターンに基づいた行動指針を掲げてきました。それを2014年に改変。「Values」という言葉を「Beliefs」という言葉に変えたのが、「GE Beliefs」です。これは、「お客さまに選ばれる存在であり続ける」、「より速く、だからシンプルに」、「試すことで学び、勝利につなげる」、「信頼して任せて、互いに高め合う」、「どんな環境でも、勝ちにこだわる」という5つの価値観を示したものなのですが、それぞれを眺めていただくと、さきほどのVUCAとの関連が見えてくると思います。

人材開発に対する新たな取り組み

そして我々は人材開発のアプローチを、次の5つの点に変えようとしています。1つ目は、従来のeラーニングや対面式のみに限っていたラーニングのアプローチを、バーチャルなど最新技術を活用した多様なものに拡大する。2つ目は、一度参加したら終わりではなく、そこに連続性を持たせる。3つ目は、リーダーシップ開発に関する「答え」をクロトンビルが持っているのではなく、さまざまな試行により皆で今の時代にあったリーダーシップを創り出していく。4つ目は、従来クロトンビルのトレーニングは、選ばれた人たちに対する報奨的な意味合いが強かったのですが、そういった選抜的なものだけではなく、働くこと自体が学びに繋がるような仕掛けづくりをするなど、学習する組織を目指す。そして5つ目が、一番のポイントになる「Deductive Learning vs. Inductive Learning」です。Deductiveとは演繹的、つまり何かすでに答えやテーマがあって、「故にこうだ」というトップダウン的なアプローチで、一方のInductiveとは帰納的、つまり色々な事象があって、それに対して「こういうことが言えそうだ」というボトムアップ的なアプローチなのですが、ラーニングのあり方として、特にリーダーシップ開発に関しては、よりInductiveなものにシフトしようとしています。

我々は124年の歴史があるスタートアップ企業です。そんな中でも決して変わらないのが、リーダーシップ哲学でしょう。「GEではリーダーは一人ではなく、全員がリーダーにならなければいけない」と、本気でずっと言い続けています。そして、あらゆるレベルでリードすることにより、社員が一丸となって働く。それが大切なのです。この考え方は、現在のVUCAワールドになっても変わらないと思っています。私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

本間 浩輔 氏

本間 浩輔 氏
ヤフー株式会社 上級執行役員 コーポレート統括本部長

1968年生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。 コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。 2002年に同社がヤフー傘下入りした後は、主にヤフー・スポーツのプロデューサーとして勤務。 2012年ヤフー株式会社社長室ピープル・デベロップメント本部長、2014年 執行役員  ピープル・デベロップメント統括本部長を経て、2016年4月より現職。


牛島 仁 氏

牛島 仁 氏
GE クロトンビルジャパン
リージョナルラーニングリーダー

米国ローレンス大学卒。コロンビア大学にて国際教育開発学修士。AIGのニューヨーク本社にリーダーシッププログラム生として入社し、日本支社人事部にて採用・評価制度・海外人事等を担当。人事企画マネージャー、人事課長を務めた後、DHLジャパン株式会社に人材・組織開発の責任者として入社。2010年より2年間、ドイツ本社コーポーレート人事にてシニアエクゼクティブオフィサーの人材開発スペシャリストとして勤務。2014年より現職。各種人事団体や心理学会にて事例発表や講演を数多く行ない、人事専門誌への寄稿も多数。また、各種アセスメントツール(EQ検査、ストレス耐性検査、行動特性検査)開発のアドバイザーも行なっている。


須東 朋広 氏

須東 朋広 氏
多摩大学大学院 経営情報学研究科 客員教授

2003年、最高人事責任者の在り方を研究する日本CHO協会の立ち上げに従事し、事務局長を経て、2011年7月1日より現職。 多摩大学大学院 客員教授、青山大学・専修大学 非常勤講師、HR総研 客員研究員を兼任。2012年より、経済産業省「人を活かす産業」懇談会の委員も務めるなど、様々な委員会で活躍。 著書に『CHO〜最高人事責任者が会社を変える』(東洋経済新報社、2004年共著)、『人事部の新しい時代に向けて』『人事部門の進化;価値の送り手としての人事部門への転換』『キャリア開発とその成果』(産業能率大学紀要、共著)など。学会発表や人材関連雑誌など寄稿多数。