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アンラーニングで組織・企業はどう変わる?リスキリングとの違いや実践方法を解説

人材育成において、リスキリングと併せてアンラーニングの推進を検討する企業が増えています。変化の激しいビジネス環境において、アンラーニングを取り入れることにはどんな効果があるのでしょうか?

本記事では、アンラーニングについて、実践法や推進のメリット、注意点などを中心に解説します。

目次

アンラーニングとは

アンラーニング(unlearning)は、日本語で「学習棄却」や「学びほぐし」と訳されます。これは、すでに習得済みの知識や価値観の中から、現状に合わなくなったものを意図的に手放す「取捨選択のプロセス」を指します。

ただし、不要な知識をすべて忘れたり、記憶そのものを消去したりするわけではありません。手放した知識や価値観が必要になった際には、再び活用することも可能です。あくまで「一時的に使わない状態にする」ことがポイントであり、単なる「忘却」とは異なる概念です。

アンラーニングとリスキリングの違い

人材育成の手法として用いられるリスキリングは、未習得の知識やスキルを新たに学んで身につけることを指します。

一方、アンラーニングは、すでに身につけている知識・スキル・価値観などの中から、現状に合わなくなったものを選んで手放すプロセスです。

新しいことを習得する際には、これまでの知識や価値観がかえって邪魔になることもあります。アンラーニングによる取捨選択が、新しいスキルを受け入れる土台となり、リスキリングの効果を高めます。

リスキリングは「学習」、アンラーニングは「学習棄却」であるため、一見矛盾するように見えるかもしれません。しかし、変化の激しい環境に対応していくためには、リスキリングとアンラーニングの繰り返しが必要です。

関連記事:リスキリングで何を学ぶべきか?必要なスキルや企業が推進するための課題を紹介

アンラーニングが必要とされる理由

現代は VUCA の時代と呼ばれており、変化が激しく、将来のビジネス環境を予測することが困難な状況にあります。これまで常識とされてきたことが、短期間で通用しなくなる場面も増えています。従来のやり方が通用しなくなったときに、その変化に早く気づいて切り替えられる力が求められています。

これまでも、リーマンショックや新型コロナウイルスによるパンデミックなど、先行きの読めない状況に直面する局面がありました。そのような状況下で生き残ってきた企業は、環境変化に応じて知識や価値観を更新し続けてきたといえます。

今後は、過去の成功体験に頼り続けても、必ずしも次の成功にはつながりません。意図的に知識や価値観を手放し、更新していくアンラーニングの視点が求められます。

アンラーニングを企業で取り入れるメリット

企業でアンラーニングを取り入れると、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

変化への適応力が高まる

アンラーニングをすると、固定観念にとらわれにくくなります。新しい情報を受け入れられるようになり、物事を新しい視点で捉えられるようになるでしょう。これにより、個々の社員だけでなく、組織全体として変化への適応力が高まるのがメリットです。

市場や技術の変化に対して後れを取ることなく、組織全体が素早く適応できるようになります。先が見通しにくい中でも、中長期的な成長につながります。

業務効率化・生産性向上につながる

一見効率的な業務プロセスでも、時代に合わなくなっていることも少なくありません。誰も疑問を抱くことなく、非効率な業務プロセスで仕事を続けているケースもあるでしょう。

アンラーニングを行うと、既存の仕事の進め方やスキルなどをフラットな視点で見直すことにつながります。無駄なプロセスがあることに気づいて削減するなどして、業務を効率化できるのがメリットです。アナログ作業からのデジタル化や、属人的な判断からデータに基づく意思決定への転換なども進めやすくなります。

イノベーションが生まれやすくなる

人間は、自分で意識していなくても固定観念に基づいた考え方をしていることが多いものです。アンラーニングを行うことで、そのような固定観念から離れて物事を捉え直せるようになるのもメリットです。

既存の枠組みや思い込みにとらわれない発想も生まれやすくなるでしょう。斬新な製品やサービスの開発につながり、競合他社に対して優位に立つことも期待できます。

従業員の主体的な成長を促せる

アンラーニングを行った従業員は、自らの知識や価値観を振り返る機会を得られます。主体的にキャリアやスキルを見直すようになるでしょう。リスキリングにもつながり、従業員の主体的な成長を促せる点もメリットです。

さらに、成長意欲の高い従業員がいる職場では、他の従業員にも好影響を与えます。組織全体として成長志向を高められます。

アンラーニング実践の4ステップと経験学習との関係

アンラーニングは、一度身につけた知識や仕事のやり方を単に捨てるだけではありません。これまでの経験を振り返り、現在も有効なものと見直すべきものを整理したうえで、新しい方法を試しながら学び直していく必要があります。

このプロセスは、経営学者のデービッド・コルブ(David Kolb)が提唱した学習サイクル「経験学習」とも深く関係しています。

経験学習は、「具体的経験」「内省的観察」「抽象的概念化」「能動的実験」の4つを循環させることで、経験を学びへとつなげていきます。一方、過去の経験を通じて身につけた仕事の進め方や判断基準が、環境の変化によって通用しなくなることもあります。そのため、経験を振り返る過程で、自身の仕事の進め方やこれまでの基準を見直し、必要に応じてアンラーニングすることが大切です。

ここでは、経験学習の考え方を踏まえながら、アンラーニングを実践する流れを4つのステップで見ていきましょう。

①現状の知識・価値観を可視化する

最初に、これまでの仕事のやり方を振り返り、自分がどのような知識や価値観、判断基準を持っているのかを可視化します。今でも通用しているやり方なのか、業務の進め方や判断の癖はどのようなものなのかを書き出しましょう。

ただし、現在のやり方の弱点ばかりを探す必要はありません。弱点となる部分だけでなく、現在でも強みとして機能している部分も書き出しましょう。「昔からやっているから」という理由だけで、疑うことなく続けてきたものにも目を向けることが重要です。

このプロセスは、経験学習における「具体的経験」を振り返る「内省的観察」とも関わります。内省の質を高めることで、自分の中に定着している考え方や仕事の進め方に気づきやすくなるからです。

②時代や状況に合わないものを見極める

可視化したものについて、現在の業務や環境に合っているかどうかを検証してみましょう。これまでは成果につながっていた方法でも、市場環境や顧客ニーズ、組織体制などが変化すれば、適さなくなる可能性があります。自分だけの感覚で判断するのではなく、社会や市場で求められていることや、周囲からの評価なども参考にすると、客観的に見極めやすくなります。

経験学習では、経験を振り返ったうえで、そこから得られた気づきを整理し、新たな考え方や教訓へとつなげる「抽象的概念化」のプロセスがあります。アンラーニングでも、振り返りを通じて「何を残し、何を見直すのか」を整理することが、新しい考え方をつくるきっかけになります。そうすることで、手放すものだけでなく、これから伸ばしていきたい力も見えてくるでしょう。

③意図的に手放し、新しい方法を試す

手放すべき知識や仕事の進め方が明確になったら、実際の行動に移して、新しいやり方を試してみる必要があります。頭の中で価値観を切り替えただけでは、現場での変化にはつながりません。

これは、経験学習の「能動的実験」とも関わります。振り返りから得た新しい考え方を実際の行動に移し、その有効性を確かめるプロセスです。

ただし、仕事のやり方を大幅に変更すると、現場が混乱してしまうため、小さな部分から試してみることが重要です。短期間で済ませることは難しいため、一定の時間がかかることを前提に取り組みましょう。

④振り返りを行い、継続的に見直す

仕事のやり方を変えて、上手くいく場合もあれば、いかない場合もあります。そのため、新しいやり方を試してみたら、定期的に結果を確認する時間を設けましょう。

1on1 ミーティングを実施するなどして、上司との面談の機会を設けると効果的です。そして、上手くいった部分といかなかった部分を言語化し、改善を重ねていきましょう。

新しい方法を試したこと自体が、新たな「具体的経験」になります。その経験を再び振り返り、必要に応じて考え方や行動を見直すことで経験学習のサイクルが続いていきます。このように経験学習とアンラーニングを組み合わせることで変化の激しい時代でも適応し成長を続けることができます。

アンラーニングを企業で取り入れる際の注意点

アンラーニングを取り入れる際には、次のような注意点も認識しておく必要があります。

過去の経験や成果を全否定しない

アンラーニングで手放すのは、これまでの知識や経験などのうち、時代に合わなくなった部分だけです。すべてを丸ごと否定するものではない点に注意しましょう。過去の経験や成果を全否定してしまうと、モチベーションの低下につながり、逆効果になってしまう可能性があります。

過去の経験や成果のうち、活かせる部分は残し、必要なものを取捨選択することが重要です。上司の立場にある方は、「成長のためのアップデートだ」ということを部下に丁寧に伝えながら行いましょう。

心理的安全性を確保する

管理職やベテランの方は、過去の成功体験があるからこそ現在の地位があるという方も少なくありません。そのため、これまでのやり方や成功体験を手放すことに抵抗を感じやすい傾向にあります。

また、新しいことを学ぶには時間も労力もかかり、簡単なことではありません。最初から上手くいくとは限らないため、威厳が保てなくなることを懸念することもあるでしょう。そのような事情を考慮し、心身への負荷にも目を配りながら、安心して試行錯誤できる場をつくることが求められます。

関連記事:心理的安全性の作り方とは?効果を高めるマネジメント手法も紹介

チーム単位で実践する

アンラーニングは、各従業員が別々に行っても、あまり効果は期待できません。一部の従業員だけ仕事のやり方を変えると、他の従業員が困惑してしまうこともあるでしょう。そのため、チーム単位で実践することが重要です。

事前に「何を」「どのように」変えてみるのかを話し合ってから行えば、同じ方向を向いて取り組めて、変化も根づきやすいでしょう。また、上に立つ人が自ら新しい挑戦を実践している姿を見せることで、他の従業員も取り組みやすい環境をつくれます。

まとめ

アンラーニングを行うことで、時代に合わなくなった経験や価値観を手放し、新しいことを身につける土台をつくれます。将来的には、今以上にアンラーニングの重要性が増す可能性が高いでしょう。

変化の激しい時代を生き抜いていくため、アンラーニングの導入を検討してみましょう。

アンラーニングを通じて、過去の経験や価値観を一度立ち止まって見つめ直すことができれば、これまでの延長線上にはない新しい事業やアイデアを生み出す土壌が整います。HRインスティテュートでは、メンバー自らが新規事業の立案から仮説検証・事業化までをやり切る「新規事業開発ワークアウト」をはじめ、新規事業・戦略創出に向けたプログラムをご提供しています。アンラーニングを新規事業創出の推進力に変えたい企業様は、ぜひ以下より詳細をご確認ください。

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