【HRサミット2017】日本最大級の人事フォーラム

SPECIAL INTERVIEW

企業の生産性向上や働き方改革に向けた人事戦略に注目が集まる中、人事の役割や意識も大きく変わりつつあります。先例のない、変化の激しい時代において、果たして人事には何が求められているのでしょうか。『HRサミット 2017』の開催に先駆け、年間約500社を訪問する人事のスペシャリスト・楠田 祐氏に、日本企業の人事の現状や課題、さらに自身の活動やHRサミットの見どころなどを語っていただきました。

この10年で人事の姿勢は 守りから攻めに大きく転換

楠田先生は年間数百社の企業の人事部を訪問されていらっしゃいますが、この10年の間で、人事の方々の問題意識や課題には何か変化を感じられますか?

楠田氏

間違いなく、前向きなことを考える人事が増えましたね。10年前だとリストラなどネガティブな課題を抱える人事が多く、守りの姿勢が目立ちましたが、今は攻めの姿勢に転じている人事がどんどん増えてきています。

昨今、働き方改革の実現に向け、人事の戦略にも大きな注目が集まっていますが、実際に多くの企業を回られてみて、取り組みの実態はいかがでしょうか?

楠田氏

大きく3つのケースに分けられると思います。1つ目は、トラディショナルな大企業に多いのですが、人事が働き方改革を真剣に考えて取り組み始めているケース。2つ目は、やらざるを得ないことは理解しているものの、何から手をつけたらよいのか分からないというケース。そして3つ目は、IT 関連のベンチャー企業に多いのですが、思いつくまま次々と施策を打っていくケース。1つ目のケースの企業は、カルチャーが確立されており、また社員の年齢層も厚いため、なかなか改革が思うように進まず、逆に3つ目のケースの企業は、若い人材が中心なため、行動が早く、改革もしやすい傾向にあります。いずれにせよ、働き方改革にベストプラクティスはありません。自社に合った形で、いかにスピーディーに、いかにイノベーションを起こせるか。人事にはそういった決断力や実行力、クリエイティブさが求められるでしょう。

それは働き方改革のみならず、これからの人事に求められる重要な要素ですね。

楠田氏

おっしゃる通りです。そして決断できる人事、行動できる人事に共通しているのは、経営トップとのコミュニケーションが密に取れているということ。カルチャーのトランスフォーメーションは、トップと人事の連携がうまく機能していないと実現できないと思います。

人事のトップの学びをサポートし、 より良い人事戦略を全国に広げたい

楠田先生に代表を務めていただくことになった『HR エグゼクティブコンソーシアム』について、お話しいただけますでしょうか。

楠田氏

現在、大手企業で人事のトップを務めている方々は、昭和58年から平成3年頃までに社会人になった方が多いでしょう。彼らが社会人になったときの直属の上司は、団塊世代、あるいは団塊世代の少し下の世代でした。高度成長期やバブル期など、社会や経済が発展する中での人材マネジメントは、ややもすれば制度設計や給与の支払い、労働組合との折衝などが主な業務でしたが、上司だった団塊世代の人達が企業から去り、自分たちが人事のトップになった今では、これまで経験してこなかった働き方改革を始め、真のグローバル、真の女性活躍推進、少子化による採用課題、65歳定年など、新たな課題に直面しています。そうした中、先輩方から受け継いできた従来の人材マネジメントが通用しなくなり、右往左往している人事のトップも少なくないのではないでしょうか。 そのような中、昨年末に寺澤社長から、「日本を代表する企業の人事の英知を結集して、次世代へ向けてのトランスフォーメーションを加速する場を作っていきたい」とお声掛けをいただき、『HR エグゼクティブコンソーシアム』代表への就任を依頼されました。その趣旨に賛同し、主に執行役員クラスや人事部長クラスの方々を組織化し、人事に関する新たな取り組みや考え方などを学んでいただき、自社の課題を解決するヒント及び決断を促進するサポートをしていこうと――そんな想いでお引き受けしました。

先例のない時代の中、人事のトップが新しい知識を身につけ、また他の同じような立場にいる方々と情報を共有・交換することで、より良い人事の戦略を日本全体に広げていこうということですね。一方で、先生は次世代の人事の育成にも注力なさっています。

楠田氏

そうですね。30代くらいの将来人事の幹部を担っていく方々に対しても、総合的な育成を行う必要性があると考えています。人事部に配属されると採用担当、労務担当など、一つの職種に固定されてしまうケースも多く、人事全体を語れる人が意外と少ないのです。そこで現在、次世代の人事リーダーを半年かけて育成する『人事リーダーズスクール』の主幹を務め、多くの企業の有望な若手社員の方を企業より派遣していただき、著名なる講師陣とともに育成に力を注いでおります。

今回の HRサミット2017でも、大手企業の人事部長クラス以上を対象にしたセッションや、次世代の人事リーダー育成をテーマにしたセッションなどを準備しておりますが、最後に楠田先生のほうから、今年のHRサミットの特長や見どころをご紹介ください。

楠田氏

セッションのテーマこそ、戦略人事から、次世代リーダーの育成、女性活躍推進、グローバルまで多岐にわたりますが、共通して言えるのは、変化の激しい時代の中で企業の経営戦略に人事がいかに貢献してきたか、その報告や議論の場となるでしょう。登壇者も決断力や実行力、パッションを持った方々が多く、人事の新しいチャレンジの実態に触れられることでしょう。本サミットを聞き、ぜひそれを会社に持ち帰って、自社の課題解決するヒントとしていただければ幸いです。

本日はありがとうございました。HRサミットでは、通常のセッションだけではなく、パーソナリティを務めていただいていて、のべ10万人が聴かれているインターネットラジオ番組『楠田祐の人事放送局 有名企業の人事にズバリ聞く』の公開収録の時間もあります。4日間、どうぞよろしくお願いします。

楠田 祐氏

HRエグゼクティブコンソーシアム 代表 (元 中央大学大学院 客員教授)
楠田 祐氏

NEC日本電気など東証一部エレクトロニクス関連企業3社の社員を経験した後にベンチャー企業社長を10年経験。中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後2017年4月よりHRエグゼクティブコンソーシアム代表に就任。2009年より年間500社の人事部門を6年連続訪問。人事部門の役割と人事の人たちのキャリアについて研究。多数の企業で顧問なども担う。年間50回以上のセミナーに登壇。2014年は日本テレビNEWS ZEROのコメンテーターも担った。シンガーソングライターとしてもプロ活動している。<br> ◇主な著書<br> 「破壊と創造の人事」(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)2011年は、Amazonのランキング会社経営部門4位(2011年6月21日)を獲得した。最新の著書は「内定力2017〜就活生が知っておきたい企業の『採用基準』」(出版:マイナビ)

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