ソフトバンクがRPA事業に参入。ホワイトカラー業務の効率化と生産性向上が加速(後編)

ロボットによる業務効率化の形「RPA」(Robotic Process Automation)に注目が集まっている。従来、企業におけるロボットの導入はブルーカラー労働者の業務を代行するものとしての印象が強かった。これに対してRPAは、ホワイトカラー労働者のバックオフィス業務を代行する役割を果たす。
2017年10月19日、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)はRPA ホールディングス株式会社(以下、RPA社)との協業により、法人顧客向けに「SynchRoid(シンクロイド)」の提供を開始すると発表した。

11月にサービスインする新サービス「SynchRoid(シンクロイド)」

会見ではソフトバンク株式会社 法人事業統括プロセスマネジメント本部 副本部長 兼 RPA事業推進室室長 上永吉聡志氏からは、新サービスの概要と事業展望についても紹介された。

商品の名称は「SynchRoid(シンクロイド)」で、11月1日にサービスインする。
「SynchRoid」は、「シンクロナイズ」と「アンドロイド」とを掛け合わせた造語だ。

サービスメニューは2種類に大別される。
1つ目は、本格導入向けのベーシックタイプで、開発者を複数人同時に育成し、複数ユーザーで同時利用したい顧客に向けたプランである。おもに大手企業の顧客をターゲットとし、1パッケージ10ライセンスで、料金は月60万円となる。2つ目はスモールスタート向けのライトパック。まず開発者を1人ずつ育成し、1ユーザーから利用したい、RPAを体感したいという顧客に向けたプランで、料金は1ライセンス年間90万円となっている。

ライセンスを売ることが目的ではなく、あくまで顧客のデジタルトランスフォーメーションをどう推し進めていくかのきっかけとして、ライセンスが存在するということが強調、その変革を広く多面的にサポートするメニューを充実させていきたいと述べた。

サービスメニューについては、11月提供開始予定のものと、12月提供開始予定のものがある。

【11月提供開始】
・マニュアル・保守サポート

・ナレッジ(最新事例、FAQ)
顧客や社内で蓄積したロボットデータファイルを取りため、それを事例として横展開していくサービス。

・導入支援ワークショップ
RPAの特徴・特性を理解したうえで、自動化する業務のアイディア出しの方法を学び、開発手順書作成方法を学ぶワークショップ。

・開発スキルトレーニング
オンサイトによる集合型のロボット開発者向け研修およびワークショップ。

・開発エンジニア派遣
最初から自力で開発するのは難しい、という顧客向けに、RPA開発エンジニアを派遣するサービス。

【12月提供開始】
・導入トレーニング(e-learning)
顧客のロボット開発者を育成していくための足場作りとなる、開発スキル習得サポート。

・検定試験(ロボット開発者としてのスキルレベルを判定)
ロボット開発者のプロフェッショナル認定。スキルセットを対外的にもアピールできるようになる。

事業展望としては、まず導入支援サービスを提供したのち、フリーランスエンジニアや企業担当者に教育サービスを提供。汎用的な知識・スキルの教育と、SBライセンス認定を行う。同時に法人に対して、BPOサービスを提供する。顧客要件に対し適切な人財を派遣するとともに、レポーティングによるサービス管理を行う。


見積書作成の自動化、小売店における在庫検索・レコメンド…RPA導入事例

続けて上永吉氏から、RPAの導入事例について、動画を交えながら紹介された。

まず、ソフトバンクにおける事例について説明された。
検索抽出、集計、登録などの単純作業はRPAが行い、社員は商品企画、デザイン、設計などの付加価値労働を行うというモデルである。同社では現在、26部門(法人営業、人事、法務、技術、総務)が集結して活動しているという。
会見時で、1,289件のRPA化アイディアがあるとともに、152人の開発者が育成され、358件の開発プロジェクトが実施されている。この結果、月間9,000時間の労働時間が削減された。

次に、AIやロボットと応用を効かせたRPAの活用事例についても紹介。
1つ目の事例は、見積書作成の自動化である。
顧客からメールで来た見積もり依頼を、AIが解析し、解析した結果をRPAが見積もりシステムに入力する流れだ。見積書はRPAによりPDFで自動生成されるとともに、さらに返信メールのひな型もRPAが選定する。人間は、PDFとメールの内容を最終的にチェックするだけだ。この工程を人間が行うと、1件につきおよそ約15分がかかるが、RPAとAIの連携によって、3秒で完了する。見積もりのスピードを向上させることにより、顧客満足度を上げられることが期待できる。

2つ目は、小売店でPepperとRPAを連携させている例だ。
小売店の店頭にある服について、バーコードをPepperにかざすだけで、RPAとの連携により、色違いやサイズ違いの商品在庫を検索できる。オンラインショップの在庫も同時に検索できるため、店舗に在庫がない場合でも、オンラインショップに誘導することで、販売機会のロスを軽減可能だ。さらにRPAは、企業ホームページに掲載されている、おすすめコーディネート情報のURLも同時に取得し、Pepperに送信。Pepperが顧客にレコメンドする。
在庫検索や顧客へのレコメンドなど、今まで店員が対面でやっていたものを自動化することで、店員は顧客のエクスペリエンスを追求することに集中できる仕組みである。そのほか、PepperとRPAを連携させ、店舗スタッフの募集も可能だ。Pepperの案内に沿って顧客が入力した情報を、RPAが企業ホームページの求人応募シートに転記していけるという。


RPAと働き方改革~RPAをいかに導入するか

RPAは1回導入したからといって終わりではなく、継続的に改善していかなければならないはず。プログラマーが常駐している必要などあるのではないのか。との質問が飛んだ。
まず、自走できる状況に向けて、一定のターニングポイントを設け開発プログラマーがサイドバイサイドで教育できる環境を作ることが重要だという。開発を3~4回、個人差はあるが、期間にして3カ月くらいを目安に繰り返すことで、自力で開発できる能力が備わってくるとのことだ。

RPAは、長時間労働の是正、生産性の向上など、働き方改革の観点からも、今後ますます注目を集めるだろう。現実的な導入となると課題も生じる可能性もあるが、そのサポートも含め、2社による今後のサービス展開に期待したい。