ラテラルシンキング(水平思考)とは?メリット・デメリット、思考の進め方や鍛え方を解説
近年の変化の激しいビジネス環境において、「ラテラルシンキング」という思考法が注目されています。この思考法は既成概念にとらわれず発想を広げていくことが特徴で、革新的なアイデアを生み出す際に有効だとされています。
本記事では、ラテラルシンキングの特徴やメリット・デメリットに加え、ラテラルシンキングの思考プロセスや鍛え方について、分かりやすく解説します。
ラテラルシンキング(水平思考)とは
ラテラルシンキングとは、既成概念にとらわれず、多様な視点から解決策を導く思考法です。マルタ共和国出身の医師・心理学者エドワード・デボノが提唱し、日本語では「水平思考」と訳されています。「ラテラル(lateral)」は「横の」「水平の」を意味し、論理を積み上げていく従来の思考法とは異なり、自由に発想を広げていく点に特徴があります。そのため、これまでにないアイデアやイノベーションを生み出す際に役立つ思考法です。
ラテラルシンキングの具体例
「13個のオレンジを3人の子供に公平に分けるにはどうすればよいか?」という課題は、ラテラルシンキングの代表的な例として知られています。
単純に割り算をすると、どうしても1つ余ってしまいます。しかし、ラテラルシンキングではこの前提自体を疑い、時間軸や分け方を変えることで、別の解決策を導きます。例えば、ジュースやケーキに加工して分ける、オレンジの種を植えて収穫した実を分ける、といった選択肢が考えられます。
ラテラルシンキング以外の思考法との違い
ラテラルシンキングと、従来用いられてきたロジカルシンキングやクリティカルシンキングとの違いについて解説します。
ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
ロジカルシンキングは「垂直思考」とも呼ばれ、既存の前提や事実をもとに、筋道の通った考え方で1つの結論へと導く思考法です。一方、ラテラルシンキングは前提そのものを疑い、発想を横方向に広げていきます。そのため、ラテラルシンキングでは必ずしも結論が1つに絞られるとは限りません。
なお、この2つは組み合わせて活用することで、より高い効果を発揮します。ラテラルシンキングで前提を問い直し、幅広いアイデアを生み出したうえで、ロジカルシンキングでそれらのアイデアを論理的に整理・検証するといった使い方ができます。なお、自身のロジカルシンキングについて診断ツールなどで客観的に認識することも有効です。
関連記事:ロジカルシンキングとは?論理的思考の鍛え方・トレーニング方法を紹介
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クリティカルシンキング(批判的思考)との違い
クリティカルシンキングは、前提や結論を批判的に検討し、その妥当性や正しさを判断する思考法です。自分の考えに対しても懐疑的な視点を持ち、客観的に検証する姿勢が特徴です。
ラテラルシンキングも前提を疑う点は共通していますが、正確性の追求よりも、新たなアイデアを生み出すために発想を広げることを重視します。そのため、ラテラルシンキングで多様な発想を生み出し、クリティカルシンキングでその内容を検証し精度を高める、といった使い方が可能です。
なぜラテラルシンキングが注目されているのか
現代のビジネス環境では、市場の変化やテクノロジーの進化が目覚ましく、従来の成功事例だけでは対応しきれない場面が増えています。予測が難しい「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)」の時代において、企業には前例や固定観念にとらわれず、時代に即したアイデアを生み出すことが求められています。
こうした背景から、前例のない課題に対しても柔軟かつ迅速に結論を導けるラテラルシンキングが、イノベーションを生み出すための重要なスキルとして注目されているのです。
ラテラルシンキングのメリット
ここでは、ラテラルシンキングを活用する5つのメリットを紹介します。

前例にとらわれないアイデアが生まれる
ラテラルシンキングの最大のメリットは、既成概念に縛られずに発想でき、前例のない結論を導き出せる点です。過去の成功体験や「業界の常識」に依存しないため発想の自由度が高く、前例のない課題にも柔軟に対応できます。そのため、新商品や新サービスの開発において、大きな効果を発揮することが期待されます。
複数の選択肢を生み出せる
ラテラルシンキングでは、異なる視点から複数の結論が導かれます。その結果、複数の選択肢を順番に検証したり、得られたアイデア同士を組み合わせたりすることが可能です。行き詰まりを感じる状況でも、複数のアイデアがあることで心理的な余裕が生まれ、閉塞感の打破にもつながります。
結論にたどり着くまでのスピードが大きく短縮できる
躍を活用します。直感やひらめきからアイデアを生み出し、それが問題解決に役立つかを判断していくため、結論に至るまでの時間を大きく短縮できます。迅速な意思決定が求められる場面で、ラテラルシンキングは強みを発揮します。
抽象的・複雑な課題にも対応しやすい
ラテラルシンキングは、明確な正解が存在しない抽象的な問題や、複数の要素が複雑に絡み合った課題にも有効です。一見すると論理的に扱いづらい問題であっても、要素を分解したり、要素同士の関係性を捉え直したりすることで、解決への突破口が見えてくる場合があります。
コミュニケーションの活性化につながる
ラテラルシンキングは、チーム内のコミュニケーションの質向上にも寄与します。メンバー一人ひとりが自由に発想し、新しいアイデアや視点を共有することで、それらを起点にさらなる発想が生まれ、議論が活性化します。その結果、チーム全体の創造性が高まり、より豊かなアウトプットにつながるでしょう。
ラテラルシンキングの注意点
ラテラルシンキングを活用する際の主な注意点を3つ紹介します。
課題や目的から逸れてしまう可能性がある
ラテラルシンキングは自由な発想を重視するあまり、議論が散漫になり、本来の課題から離れた結論に至ってしまうことがあります。斬新なアイデアは重要ですが、当初の目的である「本当に解決したい課題」を常に意識し、必要に応じて軌道修正しながら発想することが大切です。
実行可能性や現実性に欠ける場合がある
直感や感情をもとにアイデアを重ねていくと、導き出された結論の実行可能性が乏しく、戦略や製品開発が的外れなものになる場合があります。ビジネスシーンで活用する際には、他の思考法も併用しながら、現実性や実行可能性を丁寧に検証することが欠かせません。
問題解決につながらない可能性がある
複数のアイデアが生まれても、最終的に選んだ結論が必ずしも問題解決につながるとは限りません。中には、論理的な説明や裏付けが難しいものや、即効性に欠けるアイデアもあるでしょう。対策としては、ロジカルシンキングなどの思考法と組み合わせて、有効性を検証しながら活用していくことが求められます。
ラテラルシンキングの進め方
ラテラルシンキングを実践する際は、以下の5つのステップで思考を進めます。
1. 現状の不満に気づく
まず、身近な「不満」「不便さ」「違和感」などをリストアップします。不満の背景には必ず課題が存在するためです。不満を可視化することで、ラテラルシンキングの対象となる解決すべき問題が明確になります。
2. 「なぜ?」を繰り返し、原因を掘り下げる
不満に対して「なぜ?」を繰り返し、その理由を深掘りします。例えば「残業が多い」という課題に対し、「なぜこの業務が必要か」「なぜ不便か」など、日常の「当たり前」に疑問を投げかけます。既成概念を外し、多角的な疑問を持つことで、新たな視点が得られます。
3. 「ならば」と理想の姿を描く
「なぜ?」で明らかになった原因に対し、「どうなれば解決か」「何ならばよいか」と理想像を言語化します。実現可能性は度外視し、直感的に多くの理想を挙げるのがポイントです。多面的な理想像を描くことで、視野が広がります。
4. 「どうやって?」実現方法を発想する
3で描いた理想像の実現策を自由に発想します。ここがラテラルシンキングの核心的なステップです。既存のルールや実現性を無視し、「他には?」などの問いを活用し思いつく限り多くの案を出し、否定せずに一旦受け入れることが重要です。
5. 前提を疑い、プロセスを繰り返す
具体案が出たら、再度前提を問い直します。「この前提は正しいか」「この案は本当に必要か」を確認し、2以降のステップを繰り返します。再考を重ねることで思考が深まり、斬新なアイデアが生まれやすくなります。
ラテラルシンキングの身につけ方・鍛え方
ラテラルシンキングはスキルですので、誰でも身につけ鍛えることが可能です。ここでは3つの鍛え方を紹介します。
前提や「当たり前」を疑う習慣をつける
ラテラルシンキングの鍵である「当たり前」に疑問を持つ習慣を身につけましょう。日常生活で「本当にそれでいいのか?」「他の方法はないのか?」と自問することが重要です。常識や固定概念を外し、多様な視点で物事を見つめ直すことで、思考の枠組みを広げていけます。
複数の視点で考えるクセをつける
多角的な視点を得るには、自分の思考スタイルを意図的に変える練習が必要です。「シックスハット思考法(6つの帽子思考法)」が特に有効で、中立・直感・否定・肯定・創造・俯瞰の6つの視点を切り替えて考えます。普段と異なる角度から問題を捉えることで、新たなアイデアが生まれやすくなります。
新しい刺激や偶然(セレンディピティ)を活かす
「セレンディピティ(Serendipity)」とは、予期せぬ発見が新たな価値を生むことです。好奇心を持ち、異分野の情報に触れたり日常習慣を変えたりすることで、新鮮な視点やひらめきを得られます。リラックスした状態で生じやすいひらめきを活かすため、休息や遊びの時間も大切にしましょう。
関連記事:セレンディピティとは?意味や具体例、ビジネスにおけるメリットを解説
まとめ
ラテラルシンキングとは、当初の目的である「本当に解決したい課題」に対して前提を疑い、既成概念にとらわれない自由な発想でイノベーションを生み出す思考法です。従来のロジカルシンキングやクリティカルシンキングと組み合わせることで、より効果的にビジネスを推進できます。
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