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なぜいま管理職が敬遠されるのか?“罰ゲーム化”を脱却するための企業の打ち手

「管理職になりたくない」と感じる社員の本音に、頭を悩ませている人事担当者も多いのではないでしょうか。かつては出世が大きな魅力として受け止められていましたが、近年は昇進を「リスク」と捉える層も増えています。本記事では、管理職を敬遠する背景にある要因を整理したうえで、社員の前向きな挑戦を後押しするヒントと、企業が今すぐ取り組める具体策を分かりやすく解説します。

目次

管理職になりたくない社員は8割以上

各種調査によると、「現在の企業で管理職になりたい」と回答した社員は16.7%に留まり、8割以上が管理職を希望していない実態があります。管理職は「罰ゲーム」と表現されることもあり、このままでは担い手不足がさらに深刻化しかねません。この状況を個人の意欲低下として片付けるのではなく、管理職が敬遠される要因と、担いたいと思える条件を整理して明らかにすることが、企業の人材戦略において必要となります。

参照:働く10,000人の就業・成長定点調査 – パーソル総合研究所

管理職になりたくない8つの理由

なぜ今、管理職を避ける人が増えているのでしょうか。ここでは、その背景にある主な8つの要因を丁寧に解説します。

仕事の責任・プレッシャーが重すぎる

管理職になると、個人の成果だけでなく、部署全体の目標達成や部下一人ひとりの行動にも責任を負うことになります。部下の育成や突発的なトラブル対応に加え、経営層からの厳しい期待も重なり、心理的負荷は計り知れません。こうした多方面からのプレッシャーを理由に、管理職を避けたいと考える人もいるでしょう。

業務量が増加し、長時間労働になりやすい

管理職は業務範囲が広がるだけでなく、調整や部下育成、会議に多くの時間を割かれます。働き方改革の影響で、部下の残業を減らすために管理職が業務を引き取る場面も少なくありません。プレイングマネジャーとして個人目標も追い続けるケースが多く、結果として拘束時間が増え、長時間労働が深刻化しがちです。

報酬が業務量や責任に見合わない

役職手当がつく一方で、残業代が支給されなくなるケースが多い点も大きな懸念です。管理職は裁量で動く分、労働時間の管理が難しく、法定労働時間の規制も受けにくくなります。増大した責任や業務量に対して給与面のメリットが乏しく、「割に合わない」と感じる状況が、昇進をためらわせる要因になることもあります。

自身の適性や能力に不安がある

「自分には管理職の適性がなく、向いていない」という自己認識が、昇進への消極姿勢につながることもあります。特に、リーダーシップへの不安や、困難な状況でのストレス耐性に自信が持てないケースが目立ちます。また、失敗を避けたいという心理的背景も、管理職を避ける要因として考えられます。

人間関係の負担が大きい

管理職は経営層と部下の間に立つため、双方の板挟みになりがちです。目標達成を求める上層部からの圧力と、現場の切実な事情の両方を受け止める必要があり、精神的な負荷は増大します。他部署との折衝や、部下同士の人間関係の調整、トラブル対応といった対人業務の多さが、大きなストレス要因になることもあります。

仕事とプライベートの両立が難しい

ワークライフバランスを重視する価値観の広がりや副業の普及により、私生活を犠牲にする働き方を避ける傾向が強まっています。育児や介護といった家庭事情から、昇進を断念するケースも少なくありません。特に女性は、出産などのライフイベントと管理職特有の時間的負担が重なることを懸念し、昇進に消極的な実態があります。

キャリア観の変化により管理職が目標になりにくい

年功序列や終身雇用が揺らぐ現代では、昇進そのものの魅力は薄れつつあります。転職が一般化する中で、社内での評価だけでなく社外でも通用する力を意識する人が増え、管理職としての経験が将来の選択肢を広げる一方で、昇進を急ぐ必然性は感じにくくなっています。結果として、一つの企業で昇進を重ねることを前提としない価値観の広がりが、管理職志向の低下に影響を及ぼしています。

ロールモデル不足により管理職像を描きにくい

身近に手本となる存在がいないため、管理職として働く自分を具体的にイメージできないことが、挑戦への心理的な障壁になっている場合もあるでしょう。令和6年度雇用均等基本調査では、管理職等に占める女性の割合は、役員21.1%、部長相当職8.7%、課長相当職12.3%、係長相当職21.1%と報告されており、社内でロールモデルを見つけにくい要因の一つと考えられます。

参照:「令和 6年度雇用均等基本調査」の結果概要

管理職になりたい理由

管理職志向が低下する今だからこそ、管理職を目指す人の動機にも目を向け、その主な理由を把握しておきましょう。

報酬・待遇を向上させたい

昇進を望む理由として最も多いのが、給与アップへの期待です。管理職に就くことで役職手当の支給や報酬・待遇の向上が見込めることは、責任ある立場を引き受けるうえでの大きなモチベーションになっていると考えられます。

自己成長・スキルアップを実現したい

自己成長やスキルアップを目的に、管理職を目指す人もいます。管理職としてチームを導く中で、決断力や判断力、高度な調整力、リーダーシップなど、より高いスキルを磨けることが大きな魅力です。こうした経験は将来的なキャリアアップや転職市場での価値を高めるうえでも、貴重な経験になると考えられています。

責任や裁量のある仕事に挑戦したい

より大きな裁量や意思決定権を持ち、責任ある仕事に挑戦したいという意欲も、管理職への昇進を望む動機の一つです。自らの判断で組織を動かす立場になることで、現場の一社員では得がたい達成感や、仕事の醍醐味を実感できます。

将来のキャリアの選択肢を広げたい

マネジメント経験は社内での昇進にとどまらず、将来のキャリアを広げる強力な武器になります。市場価値を大きく高める要素となるため、異業界・異職種への転職でも有利になり、キャリアの選択肢を増やすことにつながります。

管理職になることを断れるのか

就業規則に基づく昇進が、使用者の人事権の範囲内で合理性があると認められる場合、昇進辞令は「業務命令」としての性質を持ち、原則として拒否できません。 正当な理由のない拒否は、業務命令違反となる可能性もあります。

 一方で、内示段階の打診であれば、辞退について相談する余地はあります。 無理な登用は優秀な人材の離職につながりかねないため、人事担当者には慎重な配慮が求められます。 

内示の際は、業務内容や報酬・待遇、期待役割を具体的に説明し、本人の不安を解消しながら丁寧に合意形成を図ることが重要です。

管理職になりたくない社員を減らすために企業ができる施策

管理職を敬遠する背景には、単なる負担の増加だけでなく、「管理職の役割そのものが大きく変化している」という構造的な要因があります。

かつてのように指示や命令で組織を動かすだけではなく、現在の管理職には、メンバーの自律性を引き出す働きかけや、チームの心理的安全性を高める組織作りなど、より高度で複雑な役割が求められています。こうした変化を前提に、企業側も管理職像をアップデートし、社員が安心して挑戦できる環境を整備していくことが大切です。

管理職の役割変化や新しいマネジメントの考え方については、下記の関連記事でも詳しく紹介しています。ここでは、それらを踏まえたうえで、企業が今すぐ取り組める具体的な施策に焦点を当てて解説します。

関連記事:現代における管理職の役割とその変化 – 組織・人材開発のHRインスティテュート

管理職の業務量を減らす

管理職が敬遠される理由の一つに、業務量の多さがあります。まずは無駄な会議や形骸化した業務を洗い出し、積極的に削減しましょう。 負担を軽減し、本来のマネジメントに集中できる環境を整えることが重要です。

管理職がコア業務に集中できる体制に変える

業務フローの見直しやDXで効率化を図り、分業や権限委譲を進めることで、管理職がコア業務に集中できる体制を整えましょう。 周囲の支援体制を築くとともに、役職に見合う権限を付与し、負担を分散することが重要です。

キャリアを見える化する

管理職としての具体的なキャリアプランや働く姿をイメージできる環境づくりが重要です。会社側が社員自身のキャリアを考える機会を提供し、明確なキャリアパスを提示しましょう。 定期的な対話の場を設けて不安や希望を共有することで、管理職の先にある成長や可能性が可視化され、前向きな挑戦を促しやすくなります。

報酬・待遇を見直す

管理職が敬遠される一因である「責任と報酬の不均衡」を解消するため、業務量や役割に見合った適正な評価・処遇へ見直す必要があります。 「責任だけが増えて給与が見合わない」という不満を放置せず、納得感のある報酬体系を構築しましょう。 処遇を整え、管理職に就くメリットを明確に提示することが、意欲向上につながります。

事前にマネジメント経験の機会を作る

管理職への不安を和らげるため、プロジェクトリーダーなどの役割で、マネジメントを疑似体験できる機会を提供しましょう。責任ある立場で組織を動かす経験は、自身の課題や適性の把握につながり、昇進への心理的ハードルを下げます。実践経験を積み重ねることで自信が育まれ、納得感のあるキャリアアップの実現につながります。

マネジメント研修を行う

管理職としての自信を高めるため、チーム運営や部下育成、タイムマネジメントなどの管理職研修を充実させましょう。 単なる座学にとどめず、実務に直結する具体的なノウハウを学べる内容にすることが大切です。 必要なスキルを事前に習得できる環境を整えることで、管理職登用への不安を軽減し、前向きな挑戦を後押しします。

両立支援など制度・環境面の障壁を取り除く

育児や介護などの事情で管理職を諦める事態を防ぐため、家庭と仕事を両立できる環境整備が不可欠です。 時短勤務や在宅勤務制度の導入に加え、休暇を取得しやすい雰囲気の醸成や、復帰後のフォロー体制の構築を推進しましょう。 ライフイベントを問わず活躍し続けられる柔軟な制度運用が、管理職を目指すうえでの心理的障壁を取り除くことにつながります。

まとめ

管理職を「負担」ではなく「成長の機会」と捉えてもらうには、企業側の環境整備と本人のスキル向上という両軸が不可欠です。求められる役割が変化している今、適切な評価制度の整備や柔軟な働き方の導入に加え、実践的なマネジメントで不安を自信に変えることで、意欲あるリーダーの輩出につながります。

HRインスティテュートでは、現代の管理職に必要な役割やスキルを体系的に学べるマネジメント研修を提供しており、心理的安全性の高いチームづくりから意思決定の質を高める方法まで、実務に直結する内容を学べます。

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関連プログラム:一般管理職研修 – 組織・人材開発のHRインスティテュート上級管理職研修 – 組織・人材開発のHRインスティテュート

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