電気メーカーのサムソン電子がASTDで毎回表彰を受けていますが、これまでにリーダー開発や現場教育、理念教育など事例発表がありました。今年は、サムソンの企業内大学のカリキュラムが詳細に紹介されました。その中で、サムソンが独自に開発した「スマートラーニング」が公開されました。これは、自分で必要な学習をサイトを通じていつでもどこでも行うパーソナルサイトです。
学習者の個別化

 これは、スマートフォンのように自分用に必要な情報を集めたり、格納したりでき、社内社外のSNSと連携されいて、必要な
時に業務に活かせるように構成した高度に設計されたeラーニングです。
 学習に必要な知識は、個別の能力に合わせて学習できるようになっています。まさに、学習が対象者全体に行われるのではなく、対象者一人一人に合わせて設計されています。

 このように、ラーニングデザインも、それぞれの能力に合わせて、最適の学習設計を行う傾向にあります。数年前から、学習の世界でもキュレーションという言葉が使われだしました。それぞれに最適な情報を最適なタイミングで提供する意味で使われるようになりました。個別に必要な学習を提供するためには、このキュレーションの機能が必須です。学習デザインもキュレーション機能を意識した設計がこれからの潮流になってきたようです。

 また、教えるだけの教育(トレーニング)は効果がなく、もっと知識を共有したり、コーチングによるサポートをしたりしたほうが効果的と言われることがあります。しかし、改めて考えると『新人』『優秀な人』『経験抱負な人』『マスターレベル』によって学習のあり方は違うはずで、他の学習方法との組み合わせが重要だと思います。

 学習設計の専門家である、マークローゼンバーグは、このことを次のようにまとめています。トレーニングは無駄ではなく、新人からマスターレベルになるほど必要なくなる。反面、ソーシャルメディアはマスターになるほど重要だと言っています。また、コーチングやPS/KM(パフォーマンズ・ナレッジマネジメント)は、新人には必要ないが、『優秀な人』には必要で『マスターレベル』になるほど必要無くなるといことです。

 これも、学習の個別化流れを受けている設計思想だと考えます。


HR総研 客員研究員 下山博志
(株式会社人財ラボ 代表取締役社長/ASTDグローバルネットワーク・ジャパン副会長)

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