HRテクノロジーによる採用の自動化で、何が実現するのか?
第二回
人事がより価値の高い業務に専念するために
母集団を集めること自体が目的化し、非効率化が進む新卒採用の現場。こうした問題を解決するためには、必要な人材を定義し、採用ブランドを築き上げ、動機形成へとつなげる――いわゆる「タレント・アクイジション(Talent Acquisition)」の活用が不可欠だ。そして、その鍵となるのが、HRテクノロジーである。ロボティクスをはじめとする先端のテクノロジーは、人事の仕事に果たして何をもたらすのだろうか。前回に引き続き今回も、日本データビジョン社長の太田氏と、慶應義塾大学大学院教授の岩本氏にご登場いただき、お話を伺った。
アドテクノロジーを
採用の領域に応用する
寺澤前回は、新卒採用における現状と課題についてお話いただきましたが、今回は課題解決の大きな鍵となるHRテクノロジーをテーマにお話いただきたいと思います。まずは岩本先生のほうから、日本におけるHRテクノロジーの現状や今後の展望についてご説明いただけないでしょうか。
岩本グローバルでは欧米企業を中心に、データを活用した論理的な人事が定着してきていますが、残念ながら日本では、まだまだ人事の領域で論理的な対策がなされていません。多くの企業はいまだに人材マネジメントを勘と経験に頼っています。もちろん勘と経験が悪いというわけではなく、要はバランスです。勘と経験と、データに基づいたロジカルな対策をバランスよく使うことが重要でしょう。しかし私はこうした日本の現状を見ていて、楽しみでもあります。なぜなら、ちょっとテクノロジーを使うだけで新しい発見がすぐに見つかるほど、ビジネスとしてのポテンシャルが大きく、企業にとってもテクノロジーを活用する意味が大いにあるからです。例えば、人事が経営陣と話をする際、データで検証されたエビデンスがあれば、説得力が高まりますよね。つまりHRテクノロジーを効果的に活用すれば、経営の変革にも大きく貢献できるというわけです。
寺澤そうした中、HRテクノロジーの最先端にあるのが採用の領域だと言われています。特に新卒採用の市場において、その可能性は広がっていますが、テクノロジーを活用することによって、具体的にどのようなことが可能になっていくのでしょうか?
太田第一にアドテクノロジーによる母集団の形成です。今や学生のほとんどがスマホを所有していますが、その中で彼らが日頃からどのようなことに興味を持って、どのような行動を取っているのか、もっと言えば、彼らがどのような会社を狙い、どのような就活をしているのかまでが、ビッグデータの解析によって端末単位で把握できます。これにより、今までのようにおしなべてではなく、欲しい人材だけにターゲットを絞って自社の情報を送れるようになるのです。一方で、AIを使って、自社で活躍する社員=成功事例を分析。求める人物像を明確にし、それをアドテクノロジーと連動させます。つまりターゲットを決めて、その行動特性や関心などを解析したうえで、その人たちにビッグデータを使って広告を送り、ホームページ等で会社を知ってもらう。テクノロジーの活用によって、従来のような“待ちの採用”から“攻めの採用”に転換できるというわけです。一方、学生にとっても、「この会社を受けておけば良かった」と後悔しないように、事前にきちんと企業研究する機会が得られるというメリットがあります。
寺澤従来のようにエントリーしているかどうかなど関係なく、極端に言えば大学1年生でも高校生でもターゲットになり得ると。しかも本人が知っている企業に対して企業研究するのではなく、普段ネットを活用している中で、その人の行動特性に合った情報を表示して知ってもらうことで、企業理解が徐々に高まり、志望動機が徐々に醸成されていくということですね。
太田おっしゃる通りです。もちろん2年生だけに送る、3年生だけに送ると区切ることもできますが、逆に言うと、可能性のあるもっと広い層の人たちに、企業研究をする時間や機会を与えることができます。
寺澤ある意味、時間をかけて“濃い池”を作っていくわけですが、実際の採用プロセスに入ったときに、その池の中に入った人たちの情報は引き継げるのですか?

「ロボティクスが人事の仕事を変える」など、
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