企業規模で異なる、終了企業の内定充足率
今度は、「(ほぼ)終了した」企業を対象として、採用計画数に見合う内定者数を確保できているのかどうかを見てみましょう。まずはメーカーからです[図表4]。「(ほぼ)終了した」と聞くと、今後の内定辞退を見越して採用計画数に対して「100%以上」の内定者を確保しているか、少なくても「90%以上」の内定者を確保しているイメージを持ちがちですが、実態は少し異なります。大企業では、すべての企業が「90%以上」というわけではないものの、「70%未満」との回答は1社もありません。それに対して、中堅企業では「50~70%未満」の企業が6%、中小企業にいたっては「50~70%未満」の企業(7%)だけでなく、「30%未満」という企業も7%あります。採用計画数まではほど遠いものの、採用活動自体は終了しようというものです。これ以上継続したとしても、本来自社が求める人材を採用できそうにないとのあきらめ感からなのでしょう。
内定充足率が低くても採用活動を終了する非メーカー
次に非メーカーを見てみましょう[図表5]。メーカーに比べると全体的に内定充足率は低くなっています。内定充足率「90%以上」の企業の割合は、メーカーの大手企業では86%に達していたのに対して、非メーカーでは大手企業でも77%にとどまります。中小企業で比較してみても、メーカーでは79%なのに対して、非メーカーは68%しかありません。いずれも約10ポイントの差があります。中堅企業の差はもっと大きく、メーカーの89%に対して非メーカーは69%と20ポイントも低くなっています。ただ、企業側にも新しい動きが出てきています。「入りたい学生」から採るのではなく、「採りたい学生」から採ろうとする動きです。極論すれば、志望動機などは不要というものです。有名なところでは、富士通の「チャレンジ&イノベーション採用(一芸採用)」がこれに当たります。金太郎飴のような人材の集団にならないためにも、こういった動きがもっと広がってくることを期待したいですね。
活動継続企業の内情は、企業規模によって大きく違う
「活動継続中」企業についても内定充足率を聞いています。こちらはメーカー、非メーカーで分けずに全体の企業規模別のデータで見てみたいと思います[図表6]。今回のデータは8月末時点の調査になりますが、現時点で再度継続状況の調査を行ったとしたら、企業規模によって大きく傾向が異なることが予想されます。大手企業では継続企業でも残っている採用枠の割合は少ないので、採用活動を終了している企業が大きく伸びているでしょう。また、採用活動継続企業にとっても10月1日の内定式は一つの大きな節目になっています。内定者は充足していなくとも、この日までに採用活動を終了する企業は少なくありません。