「厳選採用」はできなくなる

新卒採用の大変革期を迎えて
2つ目は、選考プロセスの効率化です。学生の方も短期間に集中して活動するわけですから、何度も面接に呼ぶというやり方をしていれば批判が出ます。間違いなく、選考期間の短縮化の圧力がかかるでしょう。もともと20年前のほうが選考期間は短かったのですが、バブル崩壊後、買い手市場になったため「厳選採用」で長期化したのです。
面接で聞かれることは、どの企業もだいたい「学生時代に何に力を入れたか」「入社後に何をしたいか」です。1次面接でも2次面接でも、最終面接でも同じことを聞いている例は多いのです。効率が悪いですね。もともと日本は面接の比重が高いのですが、グローバルで見ると面接、学業成績、筆記試験、インターンシップなどの実務実績を総合評価して判定しています。大切な戦力を補充するのに、面接だけで評価するのは怖くないですか。選考方法を見直しつつ、もう少し採用活動を効率化できないかという要望は必ず出てくるでしょう。
余談ですが、インドは会社説明から内定までを1日で行います。企業が学校へ行き、説明をして、コンピュータ上で学力試験や適性診断をし、面接をして内定を出します。もっとも入社後に業績の悪い社員には報酬を据え置きます。彼も「ここは自分に向かない」と自主的に辞めていく。そんな労働慣行があるからできるのですが。

複数のルートを設ける動き

3つ目は、エントリー受付方法の見直しです。現状は、エントリーシートを受け付けて母集団を作り、選考プロセスで絞り込んでいくという単線のプログラムです。しかし、この流れでは、満足な採用ができなくなるかもしれません。では満足いく採用をするために、企業はどのような動きをしているか。新卒採用ならインターンシップの活用、リクルーター制度の復活などをしています。さらには、中途採用の比率アップ、新卒も中途も一緒にした通年採用といった動きも見えます。
これまでは「当社に興味を持ったらエントリーしてください」という「待ち」の姿勢でしたが、「見出した学生にリクルーターが接触する」という「攻め」の姿勢へと転換が進むでしょう。

ターゲットとなる大学を明確化する動きがある

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