「法定雇用率UP、精神障害者雇用義務化問題など、障害者雇用のこれから」 〜現実の問題として障害者雇用を捉え、実践するために〜
HRプロ 事務局 セミナーレポート
2013/07/01
障害を持つ人にも持たない人にも、仕事を通じた成長の場を
トークセッションでは、「企業に障害者雇用拡大を求める最近の法改正の流れのなかで、企業はこの問題をどう受け止めるべきか。企業側の真の課題は何か」と寺澤が問いかけた。松為氏は「障害を持とうと持つまいと差別せず、共生社会を実現していこうということは、いまや日本全体の共通認識になっている」と応じ、企業が社会の一員としてこの問題に積極的に取り組むことを促す一方、「皆さんが働くことを通じて人生を充実させているように、障害を持つ人たちにも同じ機会を与えていくという認識が必要だ」と、仕事を通じた自己実現・自己成長の場を提供する企業の社会的責任に言及した。また、最近は障害者の人材不足感が拡がっているが、企業が苦労して採用しても、結局、離職となり、また採用しなければならないケースも増えている。宮林氏は障害者の職場定着の難しさに触れ、「面談やカウンセリングも大事だが、最も重要なのは、その職場で本人が働くことに意義や生きがいを感じられるような環境を企業がいかに作っていくかだ」と述べた。障害者雇用がもたらす企業活性化の効果

さらに、これから障害者雇用を進めていく人事担当者に対し、宮林氏は「一番大切なのは情報を知ること。支援機関が実施する企業向けセミナーなどもある。実際に企業がどのように障害者雇用を行っているか、情報を集めるなかで自分たちに合ったものを採り入れ、落とし込んでいくといいのではないか」とアドバイスを送った。松為氏も「高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページでは障害者雇用リファレンスサービスを提供しており、障害者を雇用する日本の数千社のデータベースを参照できる。そこで自分たちと同じ業種、規模などの企業の雇用事例を見てみれば、まず、不安感を払拭できる。こうした情報を経営者や現場の人たちに提供し、理解を求めることも大切だろう」と述べた。
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【講師】
山下貴宏氏
株式会社セールスフォース・ドットコム Sales Enablement(営業人材開発部)部長
福岡県大川市生まれ。日本ヒューレット・パッカードにて法人営業、その後、船井総合研究所、マーサージャパンで組織・人材マネジメントコンサルティングを経験したのち、2012年2月にセールスフォース・ドットコムに入社。 -
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講師
唐池 恒二氏
九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長
1953年4月2日大阪府生まれ。1977年京都大学法学部を卒業後、日本国有鉄道に入社。1987年国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)に入社。「ゆふいんの森」や「あそBOY」等のD&S(デザイン&ストーリー)列車の運行をはじめ、博多〜韓国・釜山間の高速船「ビートル」の就航に尽力。その後、毎年大幅な赤字を計上していた外食事業を黒字化し、子会社化したJR九州フードサービスの社長に就任。2002年には、炭焼創菜(そうさい)料理店、「赤坂うまや」の東京進出を果たす。
2009年6月JR九州の社長に就任後、2011年に九州新幹線全線開業、国内最大級の商業駅ビル「JR博多シティ」開業と、2大プロジェクトも成し遂げた。九州を基盤に魅力あるまちづくりを目指す中で、外食事業の海外進出や農業などの新たな事業分野へも果敢に挑んできた。
2013年10月に運行を開始したクルーズトレイン「ななつ星in九州」は、その企画から運行まで自ら陣頭指揮を執った。2014年6月、JR九州会長に就任。