精神的なインセンティブをいかに充実させるか

次に、プレイフル・マネジメントのドライバーとなる4つの原則をご説明したい。まず、夢・ビジョンは仕事に対して強い想いを持つこと。それをチームとしてやっていくためには、その想いを使命にまで高める必要がある。同時に、利己的にならず、周囲のいろいろなステークホルダーのためにというところをミッション、ビジョン、バリューにしていくことが大事だ。そして、夢・ビジョンをどうコミュニケーションしていくかだが、ポイントは「共感」だ。共感ができればつながりができ、絆ができる。そうすればみんなで一体となって困難に立ち向かえる。また、場と環境を考えること、これはワークプレイスマネジメントだと考えている。実現したい組織像やサービスにリンクさせて意図的に場と環境を作れば、これら全てがメッセージ(コミュニケーションツール)になる。最後に、インセンティブは金銭的な報酬も大事だが、精神的な報酬をいかに充実させるかがポイントだ。プレイフル・マネジメントでは、メンバー同士がいろいろなものを与え合う互恵関係を設計することに工夫を凝らす。これは、会社単位でなく職場単位で行える。

の前の仕事を、仲間と一緒に面白くしてしまおう

「プレイフル・マネジメント(遊びの如く仕事に熱中して結果を出す)4つの原則」
以上のような考え方に基づき、私なりのマネジメントの仕組みをいろいろ作って運用している。従来からの仕組みに新しい意味合いを持たせ、ネーミングにも工夫したものが多いが、たとえば「週・造」は週を新しく造るクレド・ミーティングで、端的に言えば朝礼だ。自分たちの言葉で組織のミッション、ビジョン、バリューを考え直し、それを全員で唱和して、前の週にやったいいこと、素晴らしかったこと、学んだことを1人2~3分でプレゼンし合う。あるクライアント企業では、エリアマネジャー研修に「週・造」の仕組みを採り入れたところ、6カ月後には全員が目標を達成する結果を出していただいた。

 また、「サンクスシャワー」は、ちょっとしたことでも社内で感謝の気持ちを伝え合うインセンティブの仕組みで、小ぶりのカードにメッセージを手書きし、各自のロッカーに設けたカードホルダーに入れる。これを月1回集計して感謝数No.1の人を表彰している。ほかにも、営業のアポ取りをインセンティブ付きキャンペーンに仕立てた「世界のなべアポ」、1泊2日で会社の新しい取り組みをみんなで議論して決める「Aじゃないか!」など、さまざまな仕組みがある。

 最後に、プレイフル・マネジメントの基本メッセージは次のようなものだ。
「仕事で成果を出すのも能力。仕事を面白くするのも能力。面白い仕事を探すのをやめて、目の前の仕事を仲間と一緒に面白くしてしまおう」。

 プレイフル・マネジメントを実践し、まるで遊ぶが如く、個人でワクワクしながら、チームでワイガヤしながら仕事を楽しんで、高業績を達成していただきたいと思っている。

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