「Z世代」とは、アメリカで生まれた言葉で1990年代中盤以降に生まれた世代のことを指す。1960年代中盤〜1980年頃生まれの世代の「X世代」、1981年〜1990年代前半生まれの「Y世代(ミレニアル世代)」に続くものとして名付けられたものだ。2020年の時点でZ世代は世界における人口の約4分の1を占めている。日本でも、Z世代が社会に進出する年代に入ってきたことで、企業としても、この世代とのコミュニケーションの仕方やマネジメントについて把握する必要が生じている。彼ら・彼女らがどのような働き方を求めているか、そして採用において気をつけるべき点などについて解説する。

「Z世代」とは何か

「Z世代」とは、1990年代中盤以降に生まれた世代を指している。この世代は、1975年〜1990年代前半に生まれた「Y世代(ミレニアル世代)」とは、考え方や行動様式が異なっているのが特徴だ。ミレニアル世代との違い、そして、Z世代の特徴について紹介する。

●ミレニアル世代との違い

「Z世代」は、生まれた時からインターネットや数多くの電子機器が身近にあった世代である。また、物心がついてからは、東日本大震災やリーマンショックなどの大規模な自然災害、経済不況を経験した世代でもある。このような理由もあり、1975年〜1990年生まれのミレニアル世代(Y世代)と比較すると、価値観や行動様式に大きな違いがあるのだ。

最も大きな違いは、小さいころからスマートフォン(以下「スマホ」という)を持っており、SNSネイティブであるという点だ。ミレニアル世代は携帯電話を持ち始めた世代だが、Z世代は子どもの頃からスマホが身近にあった世代。また、SNSを使いこなしており、常に誰かとつながっているということが当たり前という世代でもある。

では、次にZ世代の特徴について具体的に紹介していこう。

●「Z世代」の特徴について

・デジタルリテラシーが高い
「Z世代」が生まれた頃には、すでにインターネットや携帯電話・スマホが普及していた。インターネットを使いこなして生活することが日常の世代である。情報収集はもちろん、連絡や娯楽などもインターネット経由で行うことは当たり前。そのため、インターネットに対しての抵抗がなく、ミレニアム世代以前と比べると情報検索や収集をスムーズにこなせるという特徴がある。

・消費に対して消極的
生まれた時から不況の中で育ってきたZ世代は、無駄な消費は好まないという特徴がある。安定志向で、コストパフォーマンスを重視する傾向も顕著だ。ただし、自分が本当に欲しいと思うものには出し惜しみはしない。

・SNSによる情報収集が日常
ミレニアム世代以前の人々が「Google」などの検索エンジンを使って情報収集をしているのに対し、Z世代は「Instagram」、「Twitter」などのSNSを使って情報収集を行う。SNSではタグをたどり情報を収集していくため、自分の興味があることを深掘りする傾向が強い。

・社会への意識が強い
SNSを通じて世界の情報を知ることができるため、社会問題に対しての意識が強いのもZ世代の特徴だ。これは日本だけでなく世界的な傾向でもある。貧困問題や環境問題に対し、何らかのアクションを起こしている人もおり、就職先を探す際はその企業の社会貢献度まで調べる人も多い。

・新型コロナの社会を経験している
Z世代は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大いに受けている世代でもある。学園祭や体育祭、サークル活動など、皆で団結して何かを行う機会が非常に少なかったこともあり、人との絆を重視する意識が非常に高い。

・義務教育時代からキャリア教育を受けている
Z世代は以前の世代とは異なり、小学生の頃から職場見学や体験などの「キャリア教育」を受けている。そのため、将来の働き方や理想を明確に持っている人も多い。就職先を探す際も、企業の規模や安定度、待遇だけでなく「この会社では何ができるか」を考えて決定する傾向がある。

・ダイバーシティや自分らしさを大事にしている
Z世代は、小さい頃からインターネットで世界の情報に触れている人も多いため、自分とは違う価値観を尊重する傾向が強い。また、学校でも、自分と他人との違いを認め、尊重するように教育を受けている世代でもある。働く際も、「自分らしく働くことができるか」、「各従業員の価値観を尊重してもらえるか」を重視する。

「Z世代」の働き方に対する価値観

「Z世代」の特徴を確認してきたが、働き方についてはどのような考えを持っているのかについても確認していく。

●平等を重視

Z世代は学校でも「男女平等」という教育を受けてきた世代だ。そのため、性別にとらわれず平等に昇進の機会がもらえることや、結婚後の共働きについても当然の権利と考えている。また、インターネットで社会問題に触れてきたこともあり、「誰でも平等」という考えも浸透している。

問題意識を持つことが当たり前となっているため、根拠のない会社からの命令には納得しない傾向も強い。プライバシーを大事にしてくれることはもちろん、価値観を尊重してくれる企業に魅力を感じる世代といえる。

●オープンなコミュニケーションを重視

SNSで多様なコミュニケーションを取ることに慣れている世代であるため、自分を開示することにも抵抗がない場合が多い。上司や先輩社員にも同様のコミュニケーションを求める傾向にあり、問題点や疑問点に関してもすぐに返答をもらえる環境を望む人が多い。「上意下達」の組織ではなく、オープンでフラットなコミュニケーションが取れる組織に魅力を感じる世代といえるだろう。

●やりたいことや安定感を重視

終身雇用制度を廃止する企業や就職氷河期で就職に苦労する人々のニュースを見て育ったため、安定感を重視するという特徴がある。一方、様々な働き方についてインターネット・SNSで学んでいるため、安定した雇用環境のことを「成長の機会を確保する手段」と考えている人も多い。

この世代は定年まで働くことや昇進を到達点として考えていないため、定着してもらうためには「会社にいることが成長につながる」、「会社は多様なキャリアを認める」という点を実感させることが重要となる。

●ワークライフバランスを重視

インターネットやSNSで、仕事も生活も楽しむ人の事例を多く見ていることも影響して、ワークライフバランスを重視する。プライベートを犠牲にして会社に貢献する、という考え方を選択しない傾向がある。そのため、「会社の飲み会」など、勤務外のイベントについても納得できなければ参加しない、という場合も多い。会社のイベントへの参加を促したい場合は、「イベントを行う理由」を明確にすることが必要だ。

●社会貢献を重視

貧困問題、環境問題社会への意識が非常に高いのもZ世代の特徴だ。就職先を決定する場合も、社会貢献をしているかを重視する傾向がある。自身でも何らかの社会貢献をしている人も多い。Z世代に向けて採用活動をする場合は、「会社はどのような社会貢献をしているか」を前面に出し、アピールすることも有効である。

「Z世代」を採用するうえでのポイント

Z世代を採用するうえで押さえておきたいポイントについても具体的に解説する。

●口コミを意識する

インターネットを使いこなすZ世代は、就職活動においても企業の評判や口コミを必ずチェックしている。評判が悪い企業への就職を避けるためだ。採用活動を行う際は、インターネット上での自社の評判をチェックしておきたい。

もし事実でないことが書かれているのであれば、運営サイトに連絡して削除を依頼する、自社の実態を就活中の学生に直接伝える場を設ける、といった改善策や努力が必要となる。

●メールやチャットを意識する

Z世代はメールやSNSでのコミュニケーションが主流の世代のため、電話に抵抗があるという人も多い。応募・問い合わせ窓口を作る際は、電話だけでなく、メールやチャットツール、SNSなども準備しておくと良い。

●SNSを活用してリアルを伝える

動画での情報収集に慣れているZ世代のために、ホームページの採用活動コーナーでは文章での案内だけでなく、社員や社内の様子を動画で伝えるようにすると効果的だ。

●キャリアパスや業務がどう社会に役立っているかなどを明確に伝える

Z世代は社会貢献への意識が高い世代ともいえる。自社ではどのような社会貢献を行っているかだけではなく、この会社で仕事を続けることでどのようにキャリアを積んでいけるかなどを先輩社員の例を挙げながら、具体的に伝えられるように準備しておきたい。

●飲み会は自由参加などオープンな社風を伝える

合理的で無駄のない行動を好むZ世代は、「会社の飲み会」といった業務外のイベント参加を避ける傾向がある。就活生から質問が出る前に、「業務外のイベントは自由参加」などオープンな社風であることをアピールすると良いだろう。

●ダイバーシティや女性活躍の施策や事例などを伝える

Z世代は「誰もが平等」という教育を受けてきた世代であるため、“男女の待遇の差がない企業”、“誰もがワークライフバランスを保ちながら働ける企業”などを選ぶ傾向がある。待遇については就活生でも聞きにくいことが予想されるため、企業側から自社の従業員の働き方について具体的に言及すると好感を持たれやすい。

「Z世代」をマネジメントするうえで何をおさえておくべきか

今後、「Z世代」に該当する従業員と共に働く機会はますます増えていく。Z世代をマネジメントするにあたり、おさえておきたいポイントについて説明する。

●仕事の意味や目的をわかりやすく伝える

これまでの世代の場合、上司は指示・命令をするだけで部下は動いてくれた。しかし、Z世代を相手にする場合は、仕事の指示と同時に「この仕事にはどのような意味があるか」、「目的は何か」を明確に伝えることも必要になってくる。

自分の仕事が勤務先や社会にどのように貢献しているのを理解してもらうことで、やる気アップにもつながる。また、Z世代の従業員が将来のビジョンを明確に描いている場合は、「この仕事をすることで、キャリア形成にどう役立つか」を示すことが重要となる。

●コミュニケーションは傾聴を意識する

SNSを駆使してきたZ世代は、「自分の考えをまとめる力」、「考えを表現する力」に長けている。しかし、「空気を読む」傾向もあるため、意見があってもその場の雰囲気を読み取ってしまい、言わずに済ませてしまうことも多い。

Z世代と対話する際は傾聴を意識し、思っていることやしたいことを話してもらう雰囲気を作ることが重要だ。Z世代の従業員がしたいことと、企業側がしてもらいたい仕事が合致すれば、双方の満足度が高まることも期待できる。

●自分と比較するのではなく、個性に注目する

Z世代は学校で「平等」や「キャリア」についての教育を受けている世代だ。これまでの世代とは大きく異なり、企業風土に合わせるのではなく、「自分らしく」を重視する人も多い。上司・先輩の世代と比較して足りない点を叱りながら指導するのではなく、個々の従業員を見て良いところを褒めるという手法が有効となる。
「Z世代」は、小さいころからSNSに触れながら育ってきた世代であるため、常に誰かとつながっていることが当たり前の世代といえる。そのため、空気を読む力が非常に高いのが特徴だ。また学校では「平等」や「キャリア形成」についての教育も受けているため、性別や環境に関わらず自分らしく働くことを求める傾向もある。

また、インターネットでは世界中の情報にアクセスしているため、社会問題に対しての意識も高い。社会の中で自分がどのように貢献できるかを考える人も多く、勤務先を選択する際も、「どのような社会貢献をしているか」を重視して決めるという特徴がある。

Z世代の従業員と接する場合は、「自分の仕事が会社だけでなく、社会にどう役立っているか」を示し、やる気を引き出すことが必要だ。仕事を与える際も、一方的に指示・命令を出すのではなく、「仕事の目的や意味」を明確に伝え、キャリア形成に役立つことを伝えるのも重要だろう。
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