緊張をほぐす雰囲気づくりやフィードバックを評価

4位のジェーシービーと5位の日鉄ソリューションズは、就職人気企業ランキングではあまり上位にランクインする企業ではありません。今回の調査でランクインしている他の企業と比較すると、面接した学生のユニークな人数は、多分少ないと思われます。にもかかわらず、このランキングに名前を連ねていることを考えれば、別の計算式、例えば「得票数÷面接したユニーク学生数」で集計し直してみると、もしかしたら1位、2位になるのかもしれません。それぞれに向けた学生のコメントを見てみると、学生の緊張をほぐした上で、学生の内面を深掘りしようとする姿勢がうかがえます。

まずは、ジェーシービーへのコメントです。

・寄り添って内面を見てくれた(文系・上位私立大)
・緊張をほぐそうとしてくださり、またその場で面接の合格をいただいた(文系・中堅私立大)
・笑顔でフランクに質問してくださる方が多い(文系・上位私立大)
・パソコンの不具合で、面接時間に間に合わず少し遅れてしまったが、決まった時間で終わらせず、規定の時間を超えても面接を続けさせていただけた(文系・上位私立大)

続いて、日鉄ソリューションズへのコメントです。

・話を親身になって聞いてくれ、相互にコミュニケーションができていると感じた(理系・旧帝大クラス)
・非常に和やかな雰囲気をつくっていただいた(理系・旧帝大クラス)
・素が出るような雰囲気づくりをしてくれた(文系・上位私立大)
・こちらの話が長くなってもうなずいて聞いてくれた。作文に対するフィードバックをいただけた(理系・旧帝大クラス)

同じく5位のニトリでは、前回紹介したインターンシップの好感度ランキングでのコメントにもあったように、「フィードバック」という言葉が多く使われています。

・自分の話を受け入れて楽しそうに聞いてくださり、今後のためにフィードバックもしてくださった(文系・上位国公立大)
・フィードバックをくれましたし、常に笑顔で対応してくれました(文系・上位私立大)
・的確なフィードバックをもらえた(文系・上位私立大)
・私の話を最後までしっかり聞いてくださり、次の面接に向けてのアドバイスももらうことができた。皆さん笑顔でリラックスさせるよう促してくれた(理系・その他私立大)
・こちらを試すのではなく、一緒に考えてくださる姿勢があった(文系・早慶クラス)

「傾聴力」養成がカギ

7位はソニーグループ、8位には富士フイルム、旭化成、パナソニックと、メーカーがずらりと並ぶ形になりました。それぞれのコメントをまとめて紹介します。

[ソニーグループ]
・緊張してうまくしゃべれない中でも、自分の良さを引き出してくれるような雰囲気があった(理系・上位国公立大)
・しっかり、自身の強みや研究について聞いてくれる企業だった(理系・その他国公立大)
・自分の話を丁寧に、興味を持って詳しく聞いてくれた(理系・中堅私立大)

[富士フイルム]
・学生の話に興味を持って聞いてくださり、緊張もほぐしてくださった。面接官同士の会話からも関係性の良さを感じた(文系・旧帝大クラス)
・話しやすく、会話しているかのように面接に挑める話題も振ってくれた。この人の下で働くのは楽しそうという期待感を持てた(文系・中堅私立大)

[旭化成]
・こちらの回答に対して積極的に理解してくれる姿勢を見せてくれていた(文系・旧帝大クラス)
・研究内容や学業以外での活動に耳を傾け、話を引き出していただいた(理系・旧帝大クラス)

[パナソニック]
・自分のことを引き出そうとしてくれた(理系・上位国公立大)
・笑顔で話を聞いてくれたため,話がしやすく,聞いてくれているんだなという実感が得られた(理系・その他国公立大)

これまで見てきた企業に共通するキーワードは、「傾聴力」と言ってよいでしょう。学生が話しやすい「雰囲気づくり」から始まり、絶えることのない「笑顔」、しっかり話を聞いていることを伝える「うなずき」、そして決して圧迫面接とは受け止められない巧みな「聞き取りの話術」。

面接官は、人事や経営層だけでなく、初期の面接では人事部門以外の部署の社員に協力を仰ぐことも多いでしょう。ただ、目の前の面接官が人事部門の社員なのか、非人事部門の社員なのかは、面接官が自己紹介をしない限り、学生からは全く判別できません。面接に携わるすべての社員に向けて、学生の内面を探るためのこれらの「傾聴力」を養成する必要がありそうです。

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