徹底すべき企業文化

稲垣:AnyMind社の調査で、また面白い結果があるんですが、「従業員から昇給の見直しをしてほしいと言われた場合、適正な期間は」という調査です。
第29話:グローバル化のキーワードは、「徹底すべき企業文化」と「徹底すべきではない企業文化」を見極めること

図1:当社サーベイ 図2:AnyMind

エイムソウルが調べた色んな会社の結果では、3ヵ月ぐらいでようやくポジティブな結果になります。要は、3ヵ月未満で成長することはあまりないということです。ところが、AnyMind社の場合は、1ヵ月目くらいからポジティブな結果になっている。しかも外国人ではなく日本人ということがすごく面白い。森本さんどうですか、日本では昇給の見直しって大体半年~1年ですかね。

森本:大体大企業は1年ですよね。ベンチャーとかの中には年4回、クオーターごとにやりますっていうことをアドバンテージにして採用力を高めるというところもありますが、でも実際1年に1回ですよね。すごい成長意欲が高いですね。

稲垣:しかも日本人がこの短期間での成長マインドを引っ張っているっていうのが面白いと思います。どんな企業マインドなんですか。

水谷:今、日本法人は2019年の30名から2年で250人ぐらいに急成長しています。業績はこの2年間で日本法人だけの売り上げが100億円ぐらいに届いたんです。爆発的に伸びています。会社がこれだけ実績を出しているから、社員も短期間で成長しているという実感があるのは納得できます。当社の給与改定は今、半年に1回なんですが、それだとちょっと遅いなと思っている可能性がありますし、3ヵ月に1回にしてもいいかなとは思いますね。ただ、今のこの流れの弊害として、この2年間でかなり数字重視みたいな文化ができ上がっているところがあります。マインドやマネジメントも重要なので、少しバランスをとっている感じですね。

森本:報酬とか給与もすごくうまくいっていて、定着率も高く、外国人の方もすごくモチベーションも高くて、なおかつロイヤリティが高い、組織ロイヤリティが高いという組織があったので、何を工夫しているんですかと日本人の長の方に聞いてみたことがあります。外国人の方は個人主義が強くて評価に対してはものすごくシビアですよね、自分の報酬にそのまま反映されるから。なので、その評価の体系の2~3割を組織貢献みたいな形でおいておいたらしいんですよ。3割組織貢献をしたらしっかりちゃんと報いるよという形の評価体系に変えた瞬間、結構分かりやすく変わったと言ってました。

稲垣:その話面白いですね。要は企業文化をどう作っていくかというお話だと思います。次の調査結果がまさにそういうことだと思いますが、これは「部下からのフィードバックを依頼される頻度に関する調査」。要は部下からもっとフィードバックをくださいと言われた時に、1週間ごとにするか、1ヵ月ごとにするか。
第29話:グローバル化のキーワードは、「徹底すべき企業文化」と「徹底すべきではない企業文化」を見極めること

図1:当社サーベイ 図2:AnyMind

図1は当社が一般の会社でとった結果ですね。1ヵ月のフィードバックが1番適切という感じです。しかしAnyMindさんはもう1週間からポジティブ。これもすごい特徴的です。少し前に1on1というキーワードが流行りましたけども、フィードバックの企業文化を大事にされていますか?

水谷:1on1は会社として推奨しています。週次で1on1があってフィードバックが全員になされるというサイクルが回っているのと、あとは即時フィードバックですね。何かあった時にここら辺はもうちょっとこうしたほうがいい、これはこうだよねっていう話が日常でなされています。日本の結果はその表れだと思うんですよね。若く成長意欲の高い人達が集まると、上司的な存在からのフィードバックってとても大事になるので、それは総量を増やすことが大事だと思っています。

そういう意味でいうと、コロナ禍においてもどれぐらいWork From Homeをやったかでいうと、当社はかなり少ないほうだと思うんですよね。当然ながら本人が選択できて希望すればできるんですけど、物理的に一緒にいることが即時フィードバックのやりやすさにすごくつながるじゃないですか。なので、感染対策をしながらちゃんと集まるべきメンバーは集まりましょうっていうことで、僕も2月以降に加わりましたが、いわゆるWork From Homeっていう感じのスタイルじゃないですね。昔と一緒のスタイルで出社してやっていますね。

稲垣:先ほどの遅刻に関してはこだわらないけれど、フィードバックの頻度や速さにはこだわっているということですね。

水谷:はい。ここがとても大事です。AnyMindの成長エンジンだと思います。

稲垣:面白いですね。森本さん、まさに今コロナ禍で、直接的なフィードバックの機会っていうのは減ってはいますけども、他の会社はどうですか。

森本:だいぶ今ハイブリッドの中でもオフィスワークの比率をちょっと増やしましたみたいな企業様が増えてきたっていうことと、特にベンチャー企業様ほどコミュニケーションはとても大事だということで、むしろオフィスワークを増やしているっていうところが増加している気がしますね。

稲垣:ベンチャーのほうがオフィスワークを増やしている。

森本:あえて集まることを増やして。日々大事にする指標とかは変わっていくじゃないですか。その日々の変化を共有する、1on1を毎日やるというのは例えばオンラインではなかなか難しいので、その日々の変化を体感してもらう意味でもできるだけオフィスワークを積極的に進めようとしている会社さんが増えている感じがとてもしています。

稲垣:なるほど、それは面白いですね。ベンチャーほどオフィスワークを増やしているっていうのは逆説的ですね。
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