「リクナビ」を超えた「ONE CAREER」

前項では、活用している就職サイトをすべて選択してもらった結果を見てみましたが、今度は「最も活用している就職サイト」を一つだけ選択してもらった結果を紹介します[図表15]
第122回 2022年卒学生の「希望するインターンシップ」や「活用している就職サイト」とは
文系、理系ともにトップは前項と同様に「マイナビ」で、文系49%、理系41%と、一見すると2018年卒調査(文系47%、理系43%)とほとんど変わらない支持を受けています。ただし、2018年卒調査では、2強を形成する「リクナビ」と1票を争った結果なのに対して、今回の調査ではその「リクナビ」は大きく票を落としています(文系:2018年卒39%→2022年卒13%、理系:2018年卒43%→2022年卒13%)。つまり、今回の結果は、「リクナビ」も含めた従来型就職ナビの代表としての支持に近いと考えられ、従来型の就職ナビの支持自体が下降傾向にあることがうかがえます。

今回の結果で注目すべきは、新興のクチコミ就職サイトである「ONE CAREER」が、僅差であるとはいえ、かつて「マイナビ」とトップを争った「リクナビ」を文系、理系の両方で上回り、2位にランクインしたことでしょう。クチコミ就職サイトの先人である「楽天みん就」をも大きくリードしており、調査対象のバイアスを問題としない勢いがあります。また、トップ10入りした就職サイトを見ると、2018年卒調査では特定のサイトに集中していたのに対し、今回の結果では従来型の就職ナビ、逆求人型就職サイト、クチコミ就職サイトが乱立し、最近のはやり言葉で言えば「多様化」していることが分かります。

以下に、新興勢力の就職サイトを推す学生の理由コメントを紹介しますので、参考にしてください。

【ONE CAREER】
・過去の選考を突破したESや面接・グループディスカッションで扱った内容が細かく書かれており、数としても最も豊富であり、非常に参考になっていると感じるため(文系・早慶大クラス)
・会社説明会やコンテンツも興味深いものが多いし、マイナビなどに比べると、企業数は少ないのかもしれないが、とても見やすく、使いやすいため(文系・その他国公立大)
・選考情報について詳しく載っているから(文系・旧帝大クラス)
・掲載されている企業が魅力的なため(文系・上位私立大)
・内定者のESやインターンシップの参加後のレビューなどが見やすくて情報が多いから(理系・旧帝大クラス)
・エントリーシートの作成に便利である(理系・旧帝大クラス)

【OfferBox】
・かなりオファーが来るので自分に自信がつく(文系・その他国公立大)
・良い企業からオファーが来る(文系・上位国公立大)
・しっかりとプロフィールを読んでくださった企業かどうかの判別がつきやすいのと、わりと読んでくれている率が高いから(理系・その他国公立大)
・評判が良かった、先輩が利用していたため(理系・上位国公立大)

【キミスカ】
・逆スカウトということで、企業から興味関心を持っていただいている以上、他のサイトよりも選考に進める確率が高いと感じているから(文系・上位国公立大)
・実際にスカウトを承認し、インターンシップに参加したため(文系・その他私立大)
・ネット記事でオススメされていた(文系・早慶大クラス)

【就活会議】
・リアルタイムの声を見ることができるから(文系・早慶大クラス)
・就活速報で自分より先に選考した人の体験談がすぐに見ることができるから(文系・上位私立大)
・企業とのマッチ度や難易度が目安として分かるので参考になる(文系・早慶大クラス)

【外資就活ドットコム】
・自分自身が最も興味のある会社について取り扱っているから。また選考体験記や、就活に関するコラムが非常に豊富だから。さらに、Web版においてもアプリ版においても非常に使いやすいUI・UXであり使用していて不便感をあまり感じないから(文系・早慶大クラス)
・いわゆる上位層のための就活に特化していて、志望する企業がそろっているので(文系・旧帝大クラス)
・外資企業やコンサルティングなど最初から見ていた業界が多く掲載されていたため(理系・早慶大クラス)

かつて就職情報会社に身を置いていた人間の一人として、就職情報誌時代からずっと断トツのトップに君臨し続けた「リクナビ」を、数年前に「マイナビ」が抜いてトップに立ったときには、第三者ながら興奮を覚えたものです。そして今、就職情報誌時代を知ることもなく、また、大学キャリアセンターと関係を持つこともない新興勢力が、就職情報業界の勢力図をこれまでと全く違うものに書き換えていく様にもワクワクしています。今後さらに、どんな新しい発想のサービスが登場してくるのかを楽しみにしたいと思います。

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