不安はありながらも大量のプレエントリーはせず

ここからは視点を変えて、プレエントリーの状況と活用する就職サイトについて見ていきたいと思います。3月調査時点でのプレエントリーした社数については、「1~20社」が最も多く、文系53%、理系では65%にも及びます[図表11]。次いで「21~40社」(文系25%、理系18%)、「41~60社」(文系10%、理系8%)と続きます。「61~80社」、「81~100社」、「100社以上」を合計した「61社以上」となると、文系7%、理系3%と少数派です。
第122回 2022年卒学生の「希望するインターンシップ」や「活用している就職サイト」とは
今回の調査データと、コロナ前の2020年卒業予定者の調査データを比較してみると、文系、理系ともに同様の傾向が見られます[文系:図表12、理系:図表13]。まず目につくのが「0社」の差異です。文系:2020年卒13%→2022年卒4%、理系:2020年卒19%→6%と、いずれも大きく減少しています。[図表2]で見たように、「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」との思いが背景にあると推測されます。
第122回 2022年卒学生の「希望するインターンシップ」や「活用している就職サイト」とは
「0社」が大きく減少した代わりに、「1~20社」が、文系:2020年卒36%→2022年卒53%、理系:2020年卒46%→65%とさらに大きく20ポイント近く増加しています。ただし、それよりも社数の多い区分を見ると、理系の「21~40社」や文系の「61~80社」のようにわずかに2022年卒データのほうが多い箇所が一部ありますが、総じて2020年卒データのほうが多くなっています。「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」との不安な思いは持ちつつも、むやみやたらと大量にプレエントリーをするわけではなく、既に絞り込まれた業界や企業に対してプレエントリーをして姿がうかがわれます。

低迷する従来型就職ナビ、躍進する新興勢力

最後に、活用している就職サイトについて見てみましょう。就職サイトは、従来からの就職ナビに加えて、逆求人型就職サイト、クチコミ就職サイトまでを含みます。まずは、活用している就職サイトを複数選択方式ですべて選択してもらったところ、「マイナビ」がトップで、文系74%、理系72%と、7割以上の学生に活用されています[図表14]。次いで、文系では「リクナビ」62%、「楽天みん就」59%、理系では「楽天みん就」64%、「リクナビ」57%が続きます。
第122回 2022年卒学生の「希望するインターンシップ」や「活用している就職サイト」とは
かつては「マイナビ」「リクナビ」が、就職サイトとして圧倒的な2強を形成し、参考データとして掲載した2018年卒の調査データで分かるように、「マイナビ」は文系91%、理系86%に活用され、「リクナビ」も文系90%、理系89%に活用されていました。それを考えると、現在も活用度の上位を占めているものの、この5年で勢力図が大きく変わっていることが分かります。「キャリタス就活」や「あさがくナビ」も、「マイナビ」などと同様の従来型の就職ナビであり、やはり活用割合は大きく減少しています。

逆に、2022年卒の調査データで活用割合が伸びている、あるいは2018年卒調査では選択肢にも入っていなかった就職サイト群があります。逆求人型就職サイトとクチコミ就職サイトです。逆求人型就職サイトは、文系で2018年卒15%→2022年卒38%、理系でも2018年卒10%→2022年卒31%と伸びている「OfferBox」をはじめ、「キミスカ」、「dodaキャンパス」がこれに当たります。クチコミ就職サイトとしては、今や老舗側に位置づけられる「楽天みん就」のほか、「ONE CAREER」と「就活会議」がランクインしています。「楽天みん就」は、従来型の就職ナビほどの落ち込みは見せていないものの、新興の「ONE CAREER」との差はわずかしかありません。本調査を「楽天みん就」会員を対象に実施している点をバイアスとして踏まえれば、2社の形勢は逆転していると考えられます。

「リクナビ」を超えた「ONE CAREER」

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