推薦応募枠の廃止に「困らない」旧帝大クラス

推薦応募枠の廃止に対する所感の理由について、学生からのフリーコメントの内容を一部抜粋して紹介します。大学の知名度の点で推薦がなくなることに不安を感じる地方国立大学の学生が目につきます。一方、推薦応募枠の廃止を気にしない学生は、旧帝大クラスや早慶クラスなど、高偏差値大学の学生の割合が多くなっています。

【非常に困る】
・早期選考で落ちた場合、推薦を頼りにしているから(旧帝大クラス・その他)
・研究で忙しい人のための学校推薦であったのに、廃止が進むと就活に時間をかけて面接がうまくなった人が優先的に行きたい企業に行けてしまう(上位国公立大・電気・電子)
・推薦枠に頼ってスムーズな就職活動を行いたいため。理由としては修士での研究に早く集中したいため、就活を早く終わらせたいからです(上位国公立大・物理・数学)
・もともと面接など自分をアピールすることが苦手な上に、推薦がなくなると有利な部分がなくなってしまう(上位国公立大・電気・電子)
・大学院生は研究が忙しいため、就職活動を短期間で終えられる学校推薦は絶対に必要であると思います。なくすべきではありません(上位私立大・その他)
・大学院での強みの一つである。推薦が使えないから(早慶大クラス・物理・数学)
・行きたい企業の中で推薦枠がある場合、ぜひとも推薦枠を利用してなるべく不安要素をなくして本選考に臨みたいと考えているから(その他国公立大・機械)

【やや困る】
・挑戦した結果としての理系院生の受け皿となっているから。なくなると、膨大な企業にエントリーしなければならなくなる(旧帝大クラス・化学)
・門戸が広く開かれるのは良いことであるとは理解しつつも、志願度合いが強い学生が評価されてほしいという思いもある(上位国公立大・建築・土木)
・推薦がなくなると、大学内の志望企業に偏りができやすくなりそうで、自分の企業の倍率が上がるのが不安だから(上位国公立大・建築・土木)
・最終的に「逃げる」場所がなくなってしまう(中堅私立大・薬学)
・本当に幅広く人材を採用するのか、学歴だけで判断しないか不安(その他私立大・電気・電子)
・大手からの推薦があることは,大学や大学院を選ぶ指標の一つにもなるから(その他私立大・機械)
・私は地方国立大学出身であるため、推薦枠が廃止されると有名大学出身の学生の採用が増えると考えているため(その他国公立大・電気・電子)
・知名度の高くない地方国立大学などは、一般選考で内定をいただきにくいため、確実性を上げるために第一志望は推薦を狙うから(その他国公立大・電気・電子)

【あまり困らない】
・自分の専攻はビジネスの役に立つ確信と証拠があり、実際にアルバイトにて収益増加に寄与したことがあるため(旧帝大クラス・情報)
・実力で内定先が決まるほうが公平であると思うから(上位国公立大・生物・農)
・もともと専門分野に問わずに採用していただける企業様に多様性などの魅力を感じておりましたので、困るというよりかは良い流れと考えております(上位国公立大・物理・数学)
・幅広い業界を選択できる(上位国公立大・機械)
・就職先を推薦で決めることにあまり魅力を感じない。第一候補であればよいが、日が経つにつれて印象の変わる企業も多いため、推薦を出した当時の判断を後悔するのではないかと考えたから(上位国公立大・生物・農)
・推薦枠の企業の中に行きたい企業がないから(その他国公立大・機械)

【全く困らない】
・行きたい企業と自分の価値のマッチングを大切にしているから(旧帝大クラス・生物・農)
・元から推薦枠のない学部・研究室であるため。むしろ本選考の枠数が増えると考えるとありがたい(旧帝大クラス・医学)
・志望先として公務員も検討しているため、推薦枠の廃止によって一般の枠が広がれば併願先として考えやすくなる(旧帝大クラス・電気・電子)
・競争率が高まったほうが就活生にとってもレベルアップにつながるから(旧帝大クラス・生物・農)
・本来の自分自身の能力で評価していただけると考えるから(旧帝大クラス・化学)
・推薦には自由度がなく、選択肢を狭めることになるため(上位国公立大・情報)
・インターン経由で就活を終わらせたから(早慶大クラス・電気・電子)
・研究職希望や高度専門職志望でないため、そもそも企業推薦がほとんどなく関係がない。また、推薦制度の意義に疑問があるので廃止はむしろ望ましいと感じる(早慶大クラス・情報)
・推薦を利用しようとしていないため(その他国公立大・機械)

これまで長年にわたり築いてきた大学、研究室との関係を断ち切ることには、企業には相当な勇気と英断が必要です。採用方針を変革することは簡単なことではないです。ただ、事業構造や取り巻く環境が目まぐるしく変わる現在、いつまでもこれまでのやり方が正しいとは限りません。過去のやり方に縛られていることが、事業戦略を遅らせる最大のリスクになるかもしれません。

一度も直接学生と会うことなく、内定までのすべての選考がオンラインで進むことなど、ほとんどの企業が一年前には全く想像すらしていなかったはずです。でも、やらざるを得ない環境の中では、試行錯誤ながらもやり通すことができたわけです。トヨタ自動車の「推薦枠の廃止」は採用変革のあくまでも一例であり、ほかにも変革の対象は企業ごとにいろいろとあるはずです。いきなり大ナタを振るうのは難しいかもしれませんが、小さなことの積み重ねからでも結構ですので、ぜひ新しいチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。

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