推薦応募枠の廃止に「困る」は4割

理系特有の応募方法である「推薦応募」(学校推薦・教授推薦の両方を含む)の傾向を見てみましょう。「推薦応募する予定」の学生が22%なのに対し、「推薦応募しない予定」と回答した学生は46%と、推薦応募しない意向を持つ学生が半数近くとなっています[図表8]。残り32%は「決めかねている」としており、そのうちの一部は推薦利用へと流れるとしても、過半数の学生は推薦応募を利用しない就職活動を送ることになるでしょう。
第120回 推薦応募枠廃止の動きを理系院生はどう捉えたか
推薦応募を利用する理由としては、「希望の企業の推薦枠があるため」が最多で67%、次いで「自由応募よりも推薦のほうが内定につながりやすいと思うため」が59%、「一般よりも推薦のほうが早く選考が進むため」が47%などと効率的に早く希望の企業から内定を得られるメリットに注目している学生が多数派であることが分かります[図表9]
第120回 推薦応募枠廃止の動きを理系院生はどう捉えたか
一方、推薦応募を利用しない理由としては、そもそも「希望の企業の推薦枠がないため」が最も多く54%、次いで「推薦での内定は内定辞退しにくいため」が50%などとなっています[図表10]。理系院生の中でも、希望する企業と推薦枠のある企業が一致する学生は決して多くはなく、推薦枠はあったとしても、推薦応募のリスクともいえる「内定辞退しにくい」ことを敬遠する学生も多いことがうかがえます。
第120回 推薦応募枠廃止の動きを理系院生はどう捉えたか
そして、昨年11月にトヨタ自動車が発表した「推薦応募枠の廃止」を受けて、今後、推薦応募枠を廃止する企業が増える動きがあった場合に対する理系院生の所感としては、「非常に困る」(10%)と「やや困る」(29%)を合計した「困る派」が39%と4割となっています[図表11]。推薦応募を利用する意向を明確にした学生は2割にとどまるものの、「(推薦応募の利用を)決めかねている」学生も3割以上おり、理系院生にとって「推薦応募枠の廃止」は奥の手としてキープしておきたい武器でもあるのでしょう。
第120回 推薦応募枠廃止の動きを理系院生はどう捉えたか
ただし、残り6割以上の学生は「困らない派」(「あまり困らない」と「全く困らない」の合計:61%)であり、推薦応募を利用しないと決めている、あるいは多分利用しないだろうと考えている層だと推測でき、推薦応募の利用意向は[図表8]よりも、こちらの[図表11]のほうがよく表れているのかもしれませんね。

推薦応募枠の廃止に「困らない」旧帝大クラス

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