創造性の高い人材を採用する方法を考える

クリエイティブ系の職種であれば、これまでの作品のポートフォリオを見れば、創造性の高い人材かどうかはなんとなくわかります。ですがそれ以外の職種で、創造性の高い人材を採用する方法は確立していないと思います。なぜなら一般的な面接では、論理的で簡潔に物事を説明することが求められるからです。では、クリエイティブ以外の職種で創造性の高い人材を求める場合はどうすればよいのでしょうか。

まずは「自社にとっての創造性とは何か」を考える必要があります。これまで様々な企業の人事担当者とお話した中で「創造性が必要だ」とおっしゃっていた方のほとんどは、新規事業創造力やイノベーションを起こす力を求めていたように感じます。また、企画を立てられることや、積極的な提案ができる問題解決力を求めている場合もありました。

一方で、問題解決力だけあれば、よい解決の仕方ができるとは限りません。よくあるデザイン思考の問題で「高層ビルのエレベーターの待ち時間をどう解決するか?」というものがあります。多くの方は「エレベーターを増やす」、「偶数階用と奇数階用のエレベーターに分ける」という回答をしがちです。しかし、デザイン思考では問題の本質をとらえて、問題自体を変えます。その結果、「エレベーターホールでリラックスできる音楽を流して待ち時間を感じさせない」という答えを導くのです。

このように考えてみると、大企業が求める創造性の高い人とは、見方を変えることができる人、人とは違うアイディアを大胆に出すことができる人ということになります。日本企業では「出る杭は打たれる」傾向が強く、残念ながらこのような能力を持つ人は本当に少ないと感じます。少なくとも、通常の組織の中で真面目にコツコツと業務に取り組んでいる方の中で、創造性が育まれるとは言えないでしょう。

大企業で真に創造性を求めるなら、業務以外に会社を変えるプロジェクトに取り組んできた方、組織の外で自らプロジェクトを立ち上げてきた方など、既存の枠組みにとらわれない経験をされてきた方を採用するとよいでしょう。こういった方は、変革力や問題を再定義する力が非常に高いですが、一方で「アウトロー」の資質を持っています。自らの感性を保つために、組織の中に埋没するような行動はしないはずです。ですので、個性を認める前提で採用することが不可欠です。

これから日本企業のV字回復を考えるなら、大胆な発想は不可欠です。企業に一人は創造性の高い「アウトロー」がいてもいいのではないでしょうか。
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