大きく掲載社数を減らした『リクナビ2022』

もう一方の『リクナビ2022』はどうかというと、掲載社数は6000社(昨年:9070社)ちょうどで、すべての企業にエントリーが可能となっています。6000社は、『マイナビ2022』を何とか上回るものの、昨年の9000社を超える掲載社数からは大きく数字を落とした形になっています。今年、「インターンシップ・1Day仕事体験応募可能企業数 6年連続No.1 6000社」とのエンブレムを掲載していますが、来年果たして掲載社数のトップを維持できるのか、微妙な感じです。

こちらも掲載内容を見てみましょう。まずは開催時期です。「6月」にインターンシップを実施する企業は479社にとどまり、『マイナビ』の半数以下です[図表9]。「8月」「9月」こそ『マイナビ』に近い掲載社数があるものの、その他の月は「6月」と同様、『マイナビ』と比較するとかなり少ない掲載数となっています。
第111回 2022年卒採用におけるインターンシップの変更点とは
この差はどこから来ているのでしょうか? 掲載企業の従業員規模の違いではないかと推測しています。インターンシップ掲載企業の検索条件に「従業員規模」はありませんので、あくまでも推測になりますが、『マイナビ』に比べて『リクナビ』のほうが大企業の比率が低く、中小企業の比率が高いのではないかと思います。

「8月」「9月」といったサマーインターンシップ(仕事体験含む)のピーク時期は、従業員規模に関係なく、多くの企業がインターンシップを実施しますが、その他の時期にインターンシップを実施できるのは、年間を通して何回もさまざまなタイプのインターンシップを実施する比較的規模の大きな企業が中心となります。特に「6月」や「7月」といった早期には、まだ2021年卒採用で手いっぱいの中小企業では、次年度のインターンシップどころではないでしょう。

こちらも「オンライン(WEB)」の実施有無は検索できないようですので、最後に「1日(1Day)仕事体験」の社数を確認しておきましょう。検索してみると、4711社もあります。こちらも全掲載企業数の6000社から見ると、78.5%と『マイナビ』同様に8割近い社数となっています。「2日間」以上のインターンシップを実施する社数は2200社しかありませんので、6000社からこれを差し引いた3800社(63.3%)は、「1日(1Day)仕事体験」しか予定をしていないということになります。

「インターンシップ」という名称を使用しなくなっただけで、会社説明会まがいの「1日(1Day)仕事体験」が横行する構図は何ら変わらないということのようです。また、開催日ルールについても、両サイトともに長期休暇ではない平日を会期とする情報も散見されます。また、具体的な開催日付を明記しない「上旬/中旬/下旬」「随時」といった表現が横行しています。やはり、企業に開催日ルールを徹底させることは期待できなさそうですね。

今秋から冬、そして来春にかけて、また新型コロナウイルスが猛威を振るい、合同企業説明会や会社説明会の実施ができなくなる事態が再び起こる可能性も否定できません。今年の反省を生かし、採用活動のスタート自体は、今年並み、あるいは今年よりもさらに早期化することも大いにありそうです。

今年、新卒採用市場の需給バランスは、学生の「売り手市場」から企業の「買い手市場」へと潮目が変わったという人もいますが、優秀学生の獲得競争は永遠になくなることはありません。「買い手市場」という言葉に胡坐(あぐら)をかいていると、痛い目に遭いそうです。

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